シャーロッキアン!とは? わかりやすく解説

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シャーロッキアン【Sherlockian】


シャーロッキアン!

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/01/25 23:56 UTC 版)

シャーロッキアン!』は、池田邦彦による日本漫画作品。双葉社発行の『漫画アクション』にて連載中。

シャーロッキアンとは、アーサー・コナン・ドイルが創作した名探偵シャーロック・ホームズを実在した人物と仮定し、作品内の矛盾点や疑問点を独自の解釈で研究する熱狂的なファンの総称であり、この作品は愛里・車の2人のシャーロッキアンがその知識を生かして周囲の人々の様々な問題を解決し、また心の傷を癒す物語である。

あらすじ

シャーロック・ホームズシリーズの大ファンである女子大生・原田愛里は、ふとしたきっかけで同じ大学の教授である車路久が、自分と同じホームズファンではないかと推理する。最愛の妻を亡くし失意の底にあった車を慰めるため、愛里は大学のテストで思わぬ行動を取る。愛里の推理仮定自体はまったくの的外れだったが、車は失意から立ち直り、同じシャーロッキアンとして愛里と心を通わせる。その後、2人は様々な出来事に遭遇して行く。

登場人物

原田 愛里(はらだ あいり)
主人公。エル文化大学の3年生。9歳の頃に病床で読んだ『シャーロック・ホームズの冒険』がきっかけでホームズファンとなる。困っている人や悩みを抱えてる人を見ると放っておけない性格で、傷心の車を元気づけるため、テストの解答用紙に自分のホームズに対する思いを書き連ねるなど、突拍子もない行動に出ることもある。ホームズ物語の知識はそれほど深くなく、熱心に薀蓄を語る車に引いてしまったりなど、真の意味でのシャーロッキアンには、まだなりきれていない面もあるが、その独自の感性から、車をも凌駕する活躍を見せることもある。様々な出来事を経て、車に対し次第に恋心を抱くようになる。名前の由来は『ボヘミアの醜聞』に登場する女性アイリーン・アドラーから。
車 路久(くるま みちひさ)
エル文化大学の教授。専門は論理学で、自作の著書も出版している。筋金入りのシャーロッキアンで、服装・髪型・パイプに至るまでホームズを模倣している。同じくシャーロッキアンだった妻を病気で亡くしたことにより心に深い傷を負っていたが、愛里の行動によって立ち直る。以来、愛里とは単なる教授と教え子の関係を越えた、シャーロッキアンの同志となる。優れた観察力・洞察力・推理力の持ち主であり、悩む愛里にその都度的確な助言をしては問題解決に導く。愛里の自分への気持ちを知ってからは、亡き妻への思慕と愛里への思いの板挟みになり苦悩するが、最後には愛里の思いを受け入れた。名前の由来はシャーロック・ホームズ(車路久を音読みすると「しゃ・ろ・く」となる)。
車 美佐子(くるま みさこ)
車の妻で故人。夫婦でベーカー街を訪れた際にはホームズの扮装で写真に納まるなど、車と同じく熱心なシャーロッキアンだった。
橋本 陽子(はしもと ようこ)
エル文化大学に通う女子大生で愛里の親友。両親の不仲に心を痛めており、中学時代から「仲の良い両親」という嘘をつき続けていたが、そのことが原因で高校2年の時に親友を失った過去を持つ。以来、絶対に嘘はつかないと心に決め、愛里にも両親の不仲を隠さず話していたが、無意識のうちに虚言癖が出てしまい激しい自己嫌悪に陥るものの、愛里の友情によって救われる。ボランティアグループに所属しており、老人ホームで朗読や慰問の活動をしている。
是方 洋(これかた ひろし)
陽子の幼馴染みで、エル文化大学のミステリー研究会に所属している。シャーロッキアンではあるものの「ホームズ物語は、あくまでコナン・ドイルによる創作物」との立場から「R(リアリスト・現実主義)のシャーロッキアン」を自称している。
高見(たかみ)
エル総合医療センターに勤務する医師。車とは旧知のシャーロッキアン仲間で、車からは「ドクター」と呼ばれている。第14話「青い紅玉は語る」の出来事以来、愛里に対して深い感謝の念を抱いており、愛里の思いを一方的に拒絶した車の態度を激しく叱責する。
BSI
ベイカー街遊撃隊(Baker Street Irregulars)ならぬ「馬場3丁目イレギュラーズ」
馬場3丁目の小学生たちで結成された団体。「BSI」と書かれたバッチを着用している。
独り暮らしの老人宅にいたずらをしているかのように思え、その解決に乗り出した原田、車と知り合う。後に、車は名誉会員1号に、原田は同2号として仲間入りする。

使用された参考文献

  • 創元推理文庫 シャーロック・ホームズ・シリーズ 東京創元社
  • 『シャーロック・ホームズ読本〜ガス灯に浮かぶ横顔』 エドガー・W・スミス編 鈴木幸夫訳 研究社 ※絶版
  • 『シャーロック・ホームズ ガス燈に浮かぶその生涯』 W・Sベアリング=グールド 小林司・東山あかね訳 河出書房新社 ISBN 4-309-46036-4
  • 『シャーロック・ホームズの見たロンドン 写真に記録された名探偵の世界』 チャールズ・ヴァイニー編・著 田中喜芳訳・解説 JICC出版局(現・宝島社ISBN 4-880-63896-X

単行本

外部リンク


シャーロキアン

(シャーロッキアン! から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/01 02:25 UTC 版)

シャーロキアン (Sherlockian) とは、アーサー・コナン・ドイルが書いた『シャーロック・ホームズシリーズ』の主人公シャーロック・ホームズの熱狂的なファンを指す。イギリスではホームジアン (Holmesian) 、アメリカ合衆国日本ではシャーロキアンと呼ばれる。シャーロキアンと表記することも多い。

特徴

シャーロック・ホームズら作中の登場人物たちを実在の人物と見なし、『シャーロック・ホームズ』シリーズを正典 (Canon、Conanアナグラムでもある) または聖典と呼んで、各種の研究を行う。これはキリスト教における聖書研究を意識的にパロディ化した行動様式である。これに限らず、シャーロキアンの使う用語には宗教用語をもじった言葉が多い。『シャーロック・ホームズ』シリーズの多くはホームズの相棒であるジョン・H・ワトスンが執筆したという設定でドイルが書いたが、シャーロキアンはワトスンを実際の執筆者と見なし、本来の執筆者であるドイルはワトスンの出版エージェントもしくはゴーストライターと位置づける。

シャーロキアンは事情を良く知らない部外者に対し、自分たちがホームズを実在の人物であると本当に信じ込んでいるかのように装ってからかう傾向がある。

研究ごっこ

シャーロキアンの研究テーマは多岐にわたる。「事件関係者のプライバシーやスキャンダル性を考慮して、日付・地名・人物名を変更している」もしくは「ホームズが何らかの理由で事件の真相を伏せ、ワトスンに偽の真相を教えた」と考え、事件の真相を探り出そうとする研究が多い。これは通常の文学研究における登場人物のモデル探しとは異なり、空想と現実を意図的に混同した研究ごっこである。

おそらくはドイルのミスによって発生した矛盾(『唇のねじれた男』で、ワトスン夫人がなぜか夫を「ジェームス」と呼んだ事など、ちなみにドイルはあえて訂正しなかった)を合理的に解釈する試みも行われている。ここでは「いかに斬新な新解釈を打ち出すか」「いかに自説が正しいと巧みにこじつけるか」が求められる。まじめ一辺倒の研究は敬遠される傾向があり、発想の柔軟さと屁理屈とユーモアが求められる一種の知的パズルである。決して実際の文学研究と同一視してはならない。あくまでそのスタイルを借りて遊んでいるだけである。ただし、日本シャーロック・ホームズクラブでは、文学社会学など「大真面目な」研究が多い。

中にはそのような研究を潔しとせず、全てが書かれた通りに起きたとするシャーロキアンもいる。この一派はファンダメンタリストを自称する場合があるが、これには宗教的な意味は全くない。

このようなシャーロキアンの活発な研究成果によって、ホームズは架空の人物でありながら、伝記が何冊も出版される異例の地位を得ている。

団体

シャーロキアンの組織は世界中にあり、最も古いのは1934年アメリカ合衆国ニューヨークで設立されたベイカー・ストリート・イレギュラーズである。イギリスロンドンにはシャーロック・ホームズ協会がある。日本には日本シャーロック・ホームズ・クラブがあり、論文集『ホームズの世界』を発行している。

シャーロキアンの研究テーマ (主なもの)

ホームズの性別
ホームズが女性であったと主張する研究・主張。
ホームズの収入
ホームズがどれだけの収入を得ていた、収入がどう推移したかを推測する。
バスカヴィル家の特定
バスカヴィル家の犬』に登場するバスカヴィルホールという屋敷が、ダートムア地方にあるどの屋敷かを特定する。
大空白時代
最後の事件』でホームズがジェームズ・モリアーティ教授と共にライヘンバッハの滝に落ちて死亡したと思われてから、『空き家の冒険』で帰還するまで(大空白時代)、どこで何をしていたかを研究する。
バリツ
ホームズがライヘンバッハでモリアーティ教授と戦う際に使った日本の格闘技バリツの正体と使用した技についての研究を行ったり、体得を試みる。通説の柔道のほかに相撲などがある。
年代学
物語の中に書かれた天候や事件の前後の出来事の記述から、各事件の起きた正確な年代と日付を特定する。ウィリアム・ベアリング=グールドは、独自の調査に基づいて60件の事件の年代を特定し、事件の発生順に再配置したシャーロック・ホームズ全集を編集している(日本ではちくま文庫から訳本が出版されている)。
時速53マイル半
白銀号事件』でホームズが自分の乗っていた列車速度を述べた際、ホームズが用いた計算方法を推測する。
ワトスンのミドルネーム
ワトスンのミドルネームは頭文字の「H」しか記述されていないので、それがどのようなミドルネームかを推測する。
ワトスンの結婚
物語にワトスンが妻を亡くしたと解釈できる箇所と、結婚の時期が一致しない箇所があるため、ワトスンが複数回結婚したと考え、その回数と結婚相手を特定する。
小惑星の力学
モリアーティ教授が書いたとされる論文小惑星の力学英語版』の内容を推測する。原子核反応カオス理論多体問題の解法、小惑星帯の起源、アステロイドなど様々な解釈がある。
鉄道
物語中で登場人物が乗った列車と路線・乗降駅・乗換駅を特定する。
語られざる事件
物語中で事件名だけが言及されている事件について、どのような事件かを推測する。パスティーシュの創作を含む。
ヴィクトリア朝一般
物語を良く理解する上で、当時の社会階級文化風俗政治経済技術など背景事情を全般的に知るための研究。シャーロキアンの金融アナリストが本職の専門知識を生かして当時の金融政策を論じるなど、専門的な研究が多い。

著名なシャーロキアン

シャーロキアンを扱った作品

  • シャーロッキアン! - シャーロキアンを主人公とした漫画作品。作者の池田邦彦もシャーロキアンであり、作中でホームズの研究テーマに関する独自の見解や既存の説を取り上げている。
  • ケータイ刑事 銭形泪 - 『シャーロキアンは知っている~「赤毛連盟」殺人事件』というエピソードを放送。主役の銭形泪及び鑑識の柴田太郎はシャーロキアンという設定。
  • シャーロック・ホームズの口寄せ - 清水義範の短編小説。出版社の企画として、シャーロック・ホームズの口寄せをするというイタコを、著者の分身である小説家とシャーロキアンである医師が取材するという内容。イタコの口寄せの内容が矛盾するものであってもシャーロキアンの医師はかなり都合良く解釈していたが、最後にはフォローができなくなるというオチ。『深夜の弁明』(講談社文庫)に収録(なお著者は、シャーロキアンをホームズの実在を信じている人と解釈している)。
  • 名探偵コナン - 主人公の江戸川コナンがホームズの大ファンであり、テレビアニメ57話〜58話『ホームズフリーク殺人事件』(単行本12巻File.7「マイクロフトでの集い」〜13巻File.1「本当の姿」)にて、ペンションに集まったシャーロキアンの間で殺人事件が発生する。また、テレビアニメ684話〜685話『泡と湯気と煙』(単行本77巻File.3「部屋にいた痕跡」〜File.5「商売道具」)にて、登場人物の1人沖矢昴が「えぇ…シャーロキアンですから…」と呟くシーンがある。
  • ゴルゴ13 - 『シャーロッキアン』(第433話、第131巻収録)。とあるシャーロキアン達の長年にわたる男女の愛憎劇と、彼らがゴルゴ13に関わったがために悲劇的結末を迎えるまでを描いた作品。なお、この作中でゴルゴ13は「まだらの紐」の直筆原稿を入手しているが、すぐさま売却して現金化している。
  • QEDシリーズ - 高田崇史による推理小説シリーズ。QED ベイカー街の問題及びQED 〜flumen〜 ホームズの真実の両作品にて、シャーロキアンクラブ内で発生する殺人事件について取り扱っている。
  • ルパン三世 - ロンドンが舞台の一つである、アニメ『ルパン三世PART6』にて、ロンドンで活躍するルパン三世の因縁の相手としてホームズが登場する。
  • MASTERキートン - 舞台がロンドンのこの作品だが、主人公である太一の探偵事務所がベイカーストリートにある。また、作中でホームズの話が出てくることも時折ある。

脚注

  1. ^ 130年前から「名探偵といえばホームズ」と言われる本当の理由 現代にも通用するキャラクター造形”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) (2020年11月20日). 2020年11月24日閲覧。

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