シャーシ構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/26 09:28 UTC 版)
「住江製作所・フライングフェザー」の記事における「シャーシ構造」の解説
シャーシは、古い時代の自動車らしく梯子形フレームを用いている。ただし、構造は極力簡略化され、コの字型断面の薄い鋼材を用いて最小限の部材で構成した。 サスペンションはそれなりに進歩的であった。前後輪とも横置きリーフスプリングを用いた独立懸架とし、操縦性や乗り心地に配慮していたのである。フロントは三枚重ね一段、リアは三枚重ね二段としている。一方、ブレーキは後2輪だけに効く機械式ドラムブレーキという、1920年代以前の自動車並みの貧相さであった。軽量車なのでこれでも制動は可能という考え方であったようだが、小型自動車でも四輪油圧ブレーキが常識化しつつあった当時、時代遅れなのは否定できなかった。 タイヤはシトロエン・2CV同様に、細く、直径の大きなタイヤを使うことで転がり抵抗低減とバネ下重量軽減を狙った。しかし日本では、シトロエンのように4輪車用の良質な軽量タイヤ(たとえばシトロエン・2CVにはミシュラン製のラジアルタイヤがその初期から供給された)を得ることは叶わず、試作時にはリヤカー用のタイヤが使われ、量産型ではオートバイ流用のワイヤースポークリムにやはりオートバイ用の19インチタイヤが用いられた。ステアリングシステムはボール・ジョイント式である。 エンジンは半球形燃焼室を持つ空冷4ストローク・90°V型2気筒OHV・350cc、圧縮比6.0で、当時の三國商工がライセンス生産し、オートバイやオート三輪用に多用された英国「アマル」タイプのキャブレターを装備、最高出力12.5仏馬力/4,500rpm、最大トルク2.2Kgm/2,500rpmであった。住江自社製エンジンであるが、ピストンなどのパーツには、4気筒でほぼ2倍の排気量があったダットサン・エンジンのパーツを流用した(4気筒を2気筒に減らし、シリンダーのストロークを若干変えれば、軽自動車規格の排気量が得られたのである)。また3段マニュアル式変速機のギアなどにもダットサンのパーツが利用され、ファイナルギアにはウォームギアを用いていた。 このような大手メーカー製品の部品流用や、バイク、リヤカーなどの汎用部品利用によるコストダウンは、当時多数存在した中小零細メーカー製のオートバイやオート三輪にはよく見られたことである。これは前時代的な生産体制の裏返しでもあった。 なお、電装系の補機類の多くには同時期の日産車同様に日立製作所製部品を用いている。当時一般的だった6V電装仕様であった。
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