sinister
「sinister」とは、「邪悪な」や「不吉な」「縁起の悪い」などのように人間の性格やものごとの性質のマイナス面を表す際に用いられる英語表現である。
「sinister」とは・「sinister」の意味
「sinister」とは、「左」を意味するラテン語に由来する英単語で、「不吉な」「悪意のある」「腹黒い」「運の悪い」などの意味となる言葉である。人間の性格やものごとの性質の負の面を表す際に用いられる表現であるが、これは「左」というラテン語にこめられたメタファーに起因する部分が大きい。ラテン語とは、古代ローマ帝国の公用語で、ヨーロッパ共通の文章語として中世では広く用いられていた言語であり、フランス語やイタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ルーマニア語などの母語となった言葉である。そのため英語の形成にも大きな影響を与えている。このラテン語を用いていた古代ローマ人は、「右」側を健全なる部分と解釈し、「左」側は邪悪な部分であると信じていた。これは手を使って道具を用いる際、右利きの人が圧倒的に多く、左利きの人がごく少数であったことに関係しているとされる。右が正しく、左は邪悪という二元論は、聖書の記述に見られる宗教的背景によっても強化された。「主よ。あなたの右の手は力に輝く。主よ。あなたの右の手は敵を打ち砕く(出エジプト記15)」、「主は、私の主に仰せられる。『わたしがあなたの敵をあなたの足台とするまでは、わたしの右の座に着いていよ』(詩篇110)」などは「右」を聖なるものとした根拠を如実に示す一節であり、「右」の反対でものごとのマイナス面を表す「左」に「邪悪な」や「不吉な」といった宗教的視点が含まれている理由でもある。
不吉なものの象徴である「左」という意味の「sinister」は汎用性を持ち、「邪悪な」「不吉な」などと用いられる以外にも、文字通り「左の」という意味で使われるほか、「(紋章の)左側にある」とも訳される。これは、紋章の盾形の左上から右下にかかる帯のさまをさし、「bar sinister」などと表記して「非嫡子であることの印」の意味で用いる表現である。また「sinister」は「Sinister look」のような成語もつくり、「見た目に険がある」「見た目にすごみがある」「人相が悪い」のような意味を表す。「He has a sinister look in his eyes.(彼は目にすごみがある)」などのように使う。このほかにも「sinister」は、ラップミュージックなどのスラングとして否定的な意味を示す言葉として使われることが多い単語である。
「sinister」は文法的に形容詞の用法に限られているため、「悪意のある状態で」「不吉に」「邪悪に」などのように副詞として用いる場合には「sinisterly」を、「邪悪さ」「悪意」などのように名詞として用いる場合には「sinisterness」を使う。
「sinister」の語源
「sinister」の語源は、9世紀から14世紀にかけて用いられていた古フランス語で、「陰気な」「不吉な」を意味する「sinistre」である。この「sinistre」はまた、ラテン語で「左」の意味となる「sinister」に由来している。「sinister」の発音・読み方
「sinister」の発音記号は「sínəstər」となり、日本語読み風にカタカナ表記した場合は「シニスター」と読む。「sinister」の覚え方
「sinister(シニスター)」の覚え方としては、語呂合わせで「死にスター」と記憶すると忘れにくい。「占い師は彼に、今は大スターでも来年は人気の落ちた死にスタ―になると不吉なことを言った」などを例文として挙げることができる。「sinister」の類語
「sinister」の類語には、「悲惨な」「恐ろしい」の意味となる「dire」、「縁起の悪い」「不気味な」という意味の「ominous」、「邪悪な」「道理に合わない」などの意味を示す「perverse」などがある。「sinister」の使い方・例文
「sinister」の使い方・例文としては、「I could see nothing sinister about him.(私は彼から悪い印象をまったく受けなかった)」、「Our country has been taken over by dark and sinister forces.(我々の国は、暗く邪悪な勢力によって乗っ取られてしまった)」、「She is sinister in everything she does.(彼女はやることなすこと全てが腹黒い)」などを挙げることができる。- シニスターのページへのリンク