グラハム家の受爵
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「モントローズ公爵」の記事における「グラハム家の受爵」の解説
グラハム氏族は、スコットランド中央部のハイランド・ローランドにまたがるパースシャー(Perthshire)に本拠を持つスコットランドの氏族である。グラハム氏族の初期の著名な人物に、愛国者のサー・ジョン・ドゥ・グラハム(Sir John de Graham)がいる。彼はサー・ウィリアム・ウォレスの友人にして右腕であったが、1298年のフォルカークの戦いで戦死した。 その後一族の所領や影響力は増大し、1415年にパトリック・グラハムはグラハム卿に叙された。1488年のソーキバーンの戦いにおいてグラハム氏族は国王ジェイムズ3世側について戦った。 第3代グラハム卿ウィリアム・グラハムは、1505年にジェイムズ4世によってモントローズ伯爵に叙された。彼が1513年9月9日のフロドゥンの戦い(Battle of Flodden Field)で戦死すると、長男のウィリアムが襲爵した。2代伯の成人した最年長の息子であるロバートは1547年9月10日のピンキーの戦い(Battle of Pinkie Cleugh)で戦死したため、その息子のジョン(John Graham)が3代伯となった。4代伯となったジョンは、3代伯の長男である。続いてその長男のジェイムズが5代伯となった。 5代伯は国民盟約の結成を主導し1639年と1640年の主教戦争でイングランド王兼スコットランド王チャールズ1世と戦い、続く清教徒革命の最中に勃発したスコットランド内戦(英語版)では盟約派から王党派に鞍替え、チャールズ1世に代わって王党派を率いて盟約派と戦った。1645年にインヴァロッヒーの戦いとキルシスの戦いで盟約派に勝利したがフィリップホフの戦いで敗れて大陸へ亡命、1649年にチャールズ1世がイングランド議会派に処刑されるとチャールズ2世に仕えて1650年に再起を図り帰国したがカービスデイルの戦い(英語版)で敗れて捕縛・処刑された。5代伯は1644年にモントローズ侯爵に叙されており、一人息子のジェイムズが襲爵、2代侯(6代伯)となった。 2代侯が死去するとその息子のジェイムズが3代侯に、続いて3代侯の一人息子のジェイムズが4代侯となった。4代侯はイングランド・スコットランドの合併を定める1707年の合同法の制定にスコットランド枢密院長(Lord President of the Council of Scotland)として尽力し、その功績によりアン女王によって同年モントローズ公爵に叙された。彼が1742年に死去すると、一人息子のウィリアム(William Graham)が2代公となった。 3代公となったジェイムズ(James Graham)は、2代公の長男である。彼は初め庶民院議員となり、襲爵によって貴族院に移った。ウィリアム・ピット内閣で商務院総裁(President of the Board of Trade)となったほか、主馬頭(Master of the Horse)や王室侍従長(Lord Chamberlain; 宮内長官)といった職も務めた。また1782年には1747年のハイランドドレス着用禁止法を廃止させた。 3代公が死去すると、その長男のジェイムズ(James Graham)が公位を相続した。彼も政治家で、王室副侍従長(Vice-Chamberlain of the Household)・王室家政長官(Lord Steward; 王室家令長)・ランカスター公領大臣(Chancellor of the Duchy of Lancaster; ランカスター公領大臣)・逓信公社総裁(Postmaster General)を歴任した。 続いて4代公の長男のダグラス(Douglas Graham)が5代公に、5代公の長男のジェイムズ(James Graham)が6代公となった。 6代公が死去すると、その長男であるジェイムズ(James Graham)が7代公となった。彼はイギリスの植民地であった南部アフリカで生涯の大半を過ごし、1965年の北ローデシアのローデシア・ニヤサランド連邦からの「独立」宣言にはイアン・スミス内閣の農業大臣として署名し、後には国防大臣を務めた。 現在のモントローズ公爵は、1992年に襲爵した8代公ジェイムズ(James Graham)である。7代公の長男である彼は保守党の政治家で、1999年貴族院法成立後に世襲貴族から選出された92人の貴族院議員の一人であり、紋章院総裁(Earl Marshal)として議席の世襲が認められたノーフォーク公爵を別にすれば貴族院唯一の公爵である。
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