クルクミンの生体吸収性改善の試みについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 15:21 UTC 版)
「クルクミン」の記事における「クルクミンの生体吸収性改善の試みについて」の解説
2007年には、クルクミンの高分子ナノ粒子を用いたカプセル化製剤(ナノクルクミン "nanocurcumin")が製剤化された。この製剤は、フリー体(遊離体)のクルクミンに付き物の、難水性や低い生物学的利用率(バイオアベイラビリティー)といった欠点の多くを回避できる可能性が期待できる。 このナノクルクミン粒子は平均100 nm未満のサイズであり、ヒト癌細胞株モデルにおいて、フリー体のクルクミンと比べて優れた効果に相当する結果を示している。しかしながら、このナノ粒子での実際のin vivoでの吸収はまだ示されていない。 2008年7月には前述のUCLAの神経学の研究者たちが、50回の臨床試験を重ねることで、脳内 (in vivo) で5 μM以上の濃度を得られる脂質化クルクミンの形成について結果を報告している。 また一方では、2006年にクルクミンのバイオアベイラビリティー増加させる手法(大豆リン脂質との混合物を作成する簡易な手順を含む)が特許出願されている。この手法を用いた場合、血漿中クルクミン濃度が、フリー体のクルクミンで約5倍、グルクロン酸抱合体では20倍増加しているとの報告がある(対照コントロールとしての等モル量の未製剤化クルクミンと比較すると、フリー体の場合、血漿中濃度が33.4 nM/6.5 nMとなり、グルクロン酸抱合体の場合、4420 nM/225 nMという実測値となった)。 2010年には、食品用の高分子ナノミセルの封入システムにより、クルクミンの水への溶解性およびin vitroでの抗がん活性が向上することが示された。通常、風味等を封入する用途に用いられる疎水性の変性デンプンが、高分子ナノミセルを形成することが明らかになった。よって簡単な高速ホモジナイズ法を用いて、クルクミンを疎水性のコア(核側)の部分に充填し、クルクミンの可溶化を行うことができる。検証のためのHepG2細胞株を用いた細胞培養実験では抗がん活性の増幅が明らかになった。ただしバイオアベイラビリティーの比率の観点で見た、有効性のさらなる証明には、in vivoでの追加試験が求められる。 日本でも、細粒化技術により生体への吸収性を改善したクルクミン製剤が開発されている。本製剤では血中濃度でのフリー体クルクミンでの約30倍の濃度増加を確認している(セラクルミンの項を参照)。
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