キャスティングにまつわる論争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 07:03 UTC 版)
「SAYURI」の記事における「キャスティングにまつわる論争」の解説
中心人物を日本人が演じていない。キャスティングは奈良橋陽子が担当しているが、主演のチャン・ツィイーとコン・リーは中国人、ミシェル・ヨーはマレーシア人である。 また、このキャスティングは中国のインターネット・コミュニティーで物議を醸した。中国政府と一部の煽動により反日感情が伴って喜ばしく思わない人々がいたのだが、特に芸者を売春婦と誤解していることも原因のひとつである[要出典]。 昔の中国には、芸者と同様の職業が存在している[要出典]。彼女たちは芸術、文学、歴史、社会慣習に通じていた。売春宿に住んではいたが、体を売って生活していたわけではなく、音楽やチェス、書画などで男性のゲストをもてなしていたのである。中国語ではこれを"賣藝不賣身(体の代わりに芸を売る)"と呼ぶ。彼女たちは高度に洗練され、名声がある(無数の中国の詩歌、文学、伝説、民間伝承に登場する[要出典])一方、日本の芸者のような地位を得ることはなく、この文化の違いに馴染んでいない人々が、芸者を否定的に誤解したのである[要出典]。 これは、芸者に対する中国語の名称で説明される。日本語では"芸者"と書かれるが、中国語では"藝伎/艺伎"と書かれる。日本語の“芸妓”は、「芸者(女芸者)」、「芸子(げいこ)」と呼ぶのが古い言いかたであるが、明治以降、「芸妓(げいぎ)」という呼名も行われるようになった。しかし、多くの人が、故意ではないにしろ[要出典](過激な国家主義者の場合は故意にだが[要出典])、"藝妓/艺妓"と書く。この二つの非常によく似た文字 "伎" と "妓" の現代中国語のおける違いは、前者が芸術、技術の専門家を意味し、後者は売春婦を意味する点にある[要出典]。しかしながら、古典中国語では両方とも正しく[要出典](“伎”は男性用、"妓"は女性用です)、ともにチャン・ツィイーが『LOVERS』で演じたような、音楽と踊りで男性客をもてなすことを職業とする女性を表すのに使われた。文化の特定の一部分であることと"妓"の意味が変化したことは、中国の人々にとって、「チャン・ツィイー、コン・リーが日本関係の映画に出演するのはかまわない[要出典](実際チャン・ツィイーは、鈴木清順監督作『オペレッタ狸御殿』で主演している)が、売春婦役は受け入れられない」という間違った議論を招いた。この為、中国での反日感情を煽るとの理由から中国での同映画の上映中止が決まった[要出典]。 否定的な反応の一部は、「中国映画では、有名女優が売春婦を演じることは比較的稀なためである」という意見もある[要出典]。香港でさえ、ミシェル・ヨーは、「なぜこのような選択をしたのか」と彼女に問いつめるリポーターに囲まれた(しかし、たとえばセシリア・チャンが『ワン・ナイト・イン・モンコック』(2004年)で売春婦を演じたときは論争はなく、大部分の中国人は気にしなかった)。 アメリカでも批判が起き、「日本を舞台にした映画で、日本人が主人公なのに日本人を使わないのか」「主人公は日本人でハリウッドデビューを果たした栗山千明や小雪を使うべきだった」という意見もあった[要出典]。しかしこのキャスティングは、ハリウッド映画業界での組合協定のためである。
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