ガソリン車改造LPG車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 22:25 UTC 版)
「LPG自動車」の記事における「ガソリン車改造LPG車」の解説
LPG車の製作手法のひとつとして、市販されているガソリン車をディーラーや架装メーカーで改造するレトロフィット(英: retrofit)と呼ばれる方法がとられる場合がある。この場合、国や地域によっては申請を行ったり認可を受けたりする必要がある。ヨーロッパでは輸入業者が改造し、販売地域の事情に応じて改造後の保証も含めて輸入業者の責任で行い、OEMモデルとして市販するケースも多くある。日本ではLPG化改造を行う事業者の業界団体としてLPG内燃機関工業会があり、LPG改造認定工場によって改造が行われる。 エンジン本体の構造は同じ火花点火内燃機関であることから、燃料供給装置を変更して点火時期などを調整する程度で改造でき、韓国Hana Engineering社や伊Landi Renzo社などから改造用の部品が販売され、日本へも輸入されている。また、LPG内燃機関工業会が開発したイタリアロバート社(ランディレンゾ傘下)では、現在は「FAST内工会方式」による改造や、各社の独自開発のシステムによる改造が行われている。 燃料供給装置には従来はガスミキサーと呼ばれる装置が用いられていたが、電子制御燃料噴射方式に移行しつつあり、欧州では気体噴射方式と液体噴射方式、日本では気体噴射方式が主流となっている。LPG噴射装置の制御用として、別途コンピュータ(サブコン)が増設される。 レトロフィット向けとして販売される燃料タンクは搭載する車両に応じて形状の異なる製品が製造されていて、欧州ではトランク内のスペアタイヤのスペースに収まるように円錐曲線回転体の形状をしたタンク(トロイダルタンク、英: toroidal tank)や分割して複数の小型容器を組み合わせたタンクが流通している。 LPGはガソリンに比べて燃焼温度が高く、排気温度が高くなるため排気バルブに問題を生じる場合があり、関連する部品を対策品に交換する場合もある。タクシー等長距離走行(生涯25–50万キロ)をする車両では、ガソリンエンジン用のバルブ、バルブシートでは、潤滑性の低いLPG燃料による磨耗、熱劣化が大きく、バルブクリアランスが取れなくなる。日本国外の改造車ではバルブとバルブシートの対策品への交換が行われたり、同様な性質を持つCNG車やアルコール燃料使用車と同じ強化エンジンバルブ、バルブシートに対応するケースも多い。日本の自動車メーカーの国内向けのガソリン車を改造すると動弁系の問題が出たが近年ではガソリンでの低燃費実現の為、希薄燃焼に対応し強化・改善されてきている。輸出向けのガソリン車ベースでもそのまま改造を行っている。日本国内では走行距離を10万キロ程度と判断し、長距離走行や燃料品質の一定しない日本国外向けには強化タイプのバルブ・バルブシートを使用している場合もある。日本国外のBMW、ボルボ、ヒュンダイ、キア等では、もともと地域毎に異なるガソリン品質での課題や、北米、南米でのアルコール混合ガソリン使用の問題から、ガソリンエンジンであっても対策バルブが使用されており、問題が発生しないと言われる。このため欧州を中心としたマーケットではレトロフィットによる改造が盛んで、ディーラー等でカーオーディオ取付並みに純正部品があり改造されている。 日本でのLPG改造事業者の例 インテグラル マイカープラザ エフケイメカニック ケイテック
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