カンボジアの美術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/04 21:00 UTC 版)
カンボジアの芸術と文化には数世紀に遡る豊かで多様な歴史があり、インドの影響を強く受けてきた。次にカンボジアはタイ、ラオスと大いに影響を与え合った。カンボジアの長い歴史を通じて、主要なインスピレーションの源は宗教であった。ほぼ二千年に亘って、カンボジアは先住民のアニミズム的信仰とインドの宗教である仏教、ヒンドゥー教の習合からクメール独自の信仰を育んできた。 言語や芸術などのインドの文化と文明は、西暦1世紀頃には東南アジアの本土に及んだ。海上の商人がインドの習慣と文化を、タイランド湾沿いと太平洋沿岸の港に持ち込んだと一般に信じられている(チャイナとの交易の一方で)。最初にこれを受けた国が扶南国だった。あらゆる時代でカンボジア文化は、ジャワ、中華、ラオス、タイの各文化からも要素を吸収した。 カンボジア美術の歴史は古代の工芸にまで世紀を溯り、クメール美術はアンコール期に頂点に達した。伝統的なカンボジアの美術と工芸には、布地、織物、銀細工、石彫、漆器、陶器、ワットの壁画、凧作りなどがある。1940年代までには現代美術の伝統が始まったが、20世紀の後半に伝統芸術も現代美術も幾つかの理由(クメール・ルージュによる芸術家の殺害など)により衰えた。カンボジアは、政府、NGO、外国人観光客の支援が増え、近年は芸術の復興を遂げてきている。 クメール彫刻は、今のカンボジアの基となる領域を治めたクメール王朝の石彫刻のことを言うが、今より大きくて、9世紀から13世紀に斯けての王朝である。最も著名な例は、その中心地であったアンコール遺跡で見られる。 7世紀には、クメール彫刻はヒンドゥー教の影響(グプタ朝以前の仏像とパッラヴァ朝のヒンドゥーの神像)から離れ始める。そして様式の絶え間ない進歩を経て独創性を発展させるようになり、10世紀が完全で決定的な時期だと考えられている。 クメール彫刻で見られる神々はインドの二大宗教、仏教とヒンドゥー教のものである。
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