カトリック教会の典礼暦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/11 05:55 UTC 版)
カトリック教会においては、典礼暦はその一年が待降節から始まり、翌年の待降節の前日(土曜日)で終わるサイクルになっている。典礼暦にしたがって、ミサ中の朗読の配分、典礼色などが決まっている。 主日(日曜日)の朗読配分は3年周期である。西暦の年数(上述の通り典礼暦上の一年は待降節から始まるため、開始時点の年数に1を加えた数)を3で割った場合に、1余る年をA年、2余る年をB年、3で割り切れる年をC年と呼ぶ。A年にはマタイ、B年にはマルコ、C年にはルカの各福音書がおもに朗読される。週日(月~土曜日)の朗読配分は2年周期である。西暦の奇数年を第1周年、偶数年を第2周年と呼ぶ。ただし、2年周期になっているのは「年間」の第1朗読だけで、福音書朗読および待降節・降誕節・四旬節・復活節の第1朗読については1年周期であり、毎年同じ箇所が朗読される。また、1年を通して特定の日に聖人を記念する(カトリック教会の聖人暦を参照)。その際の朗読配分は基本的に1年周期で、毎年同じ箇所が朗読される。 現行の典礼暦は、基本的に以下のような構成になっている。 待降節 典礼暦上の一年の始まりである。主の降誕 (12月25日)の4つ前の日曜日から主の降誕の前晩のミサの直前まで。無原罪の聖マリア 12月8日。日曜日にあたる場合は12月9日。祭日。 降誕節 主の降誕の前晩のミサから始まり、「主の洗礼」をもって終わる期間。主の降誕 12月25日。祭日。伝統的には、前晩(12月24日の日没後)・夜半(25日午前0時)・早朝(25日未明)・日中(25日午前)の4回のミサが行われる。ただし多くの教会では、夜半のミサを24日の晩に前倒しして祝っている。 聖家族 12月26日~31日の間の主日で、その期間に日曜日がない場合は12月30日。祝日。 神の母聖マリア 1月1日。祭日。 主の公現 1月6日。日本を含む宣教地では、司牧上の配慮から1月2日から8日の間にある主日に移動する。祭日。 主の洗礼 「主の公現」の次の日曜日(主の公現を1月7日または8日に祝った場合はその翌日)。祭日。 年間 待降節・降誕節・四旬節・聖なる過越の3日間・復活節以外の期間は「年間」と呼ばれる。四旬節に入るといったん中断し、復活節の後に再開する。主の奉献 2月2日。祝日。年間の主日に優先して祝われる。 四旬節 灰の水曜日から始まり、聖木曜日の主の晩さんの夕べのミサの直前まで。灰の水曜日 復活の主日の46日前の水曜日。 聖ヨセフ 3月19日。日曜日にあたる場合は3月20日。聖週間中にあたる場合は3月19日より前の可能な日(通常は3月18日)。祭日。 神のお告げ 3月25日。日曜日にあたる場合は3月26日。聖週間中にあたる場合は復活節第2月曜日。祭日。 受難の主日(枝の主日) 復活の主日の1週間前の日曜日。この日から「聖週間」に入る。聖週間 受難の主日(枝の主日)から「復活の主日・復活の聖なる徹夜祭」の直前までの期間。 聖なる過越の3日間 「聖木曜日・主の晩さんの夕べのミサ」にはじまり、復活の主日の晩の祈りで終わる3日間。第1日目 - 木曜日の日没後に「聖木曜日・主の晩さんの夕べのミサ」が祝われ、金曜日の日中に「聖金曜日・主の受難の祭儀」が行われる。「聖金曜日・主の受難の祭儀」は金曜日の午後3時ころを目安に行われるが、信徒の便宜に配慮して金曜日の夜に行う教会も多い。 第2日目 - 聖土曜日 原則としてミサを含め一切の秘跡が行われない。 第3日目 - 復活の主日 春分の日の後の最初の満月の次の日曜日。日曜日の夜明け前に「復活の主日・復活の聖なる徹夜祭」が祝われ(ただし多くの教会では土曜日の晩に前倒しされている)、日曜日の夜明け後に「復活の主日・日中のミサ」が祝われ、日没前の晩の祈りで終わる。 復活節 復活の主日から聖霊降臨の主日までの50日間。主の復活の8日間 復活の主日から次の復活節第二主日(神のいつくしみの主日)までの8日間。すべて祭日。 主の昇天 本来は復活の主日の40日後(木曜日)だが、日本ではその後の日曜日に祝われる。祭日。 聖霊降臨の主日 主の昇天の木曜日から10日後の日曜日。祭日。 年間 聖霊降臨の主日の翌日から、中断していた「年間」の時期が再開する。三位一体の主日 聖霊降臨の主日の1週間後の日曜日。祭日。 キリストの聖体 本来は三位一体の主日の次の木曜日であるが、この日が休日でないなど不都合な場合は次の日曜日。祭日。 イエスのみ心 聖霊降臨の主日から19日後の金曜日。祭日。 洗礼者聖ヨハネの誕生 6月24日。祭日。 聖ペトロ・聖パウロ使徒 6月29日。祭日。 主の変容 8月6日。祝日。年間の主日に優先して祝われる。 聖母の被昇天 8月15日。祭日。 十字架称賛 9月14日。祝日。年間の主日に優先して祝われる。 諸聖人 11月1日。祭日。 死者の日 11月2日。祭日でも祝日でもないが、年間の主日に優先する。 ラテラン教会の献堂 11月9日。祝日。年間の主日に優先して祝われる。 王であるキリスト 年間の最終主日。祭日。「年間」は「王であるキリストの主日」とそれに続く土曜日までの一週間で終了し、再び待降節から新しい典礼暦上の一年が始まる。 他にも聖人の祝日・記念日が特定の日にあてられている。ただし、それらが上記の祭日・祝日及び年間の主日と重なった場合、上記の祝祭日及び年間の主日を優先して祝う(その教会の献堂日や名前の日、教区や修道会など共同体の守護聖人の日など、特別の事情がある場合には、祝日及び年間の主日に優先する)。
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