カトリック教会の分類と規制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 02:33 UTC 版)
「聖遺物」の記事における「カトリック教会の分類と規制」の解説
カトリック神学では、神のみが崇拝の対象である。そのため、聖遺物は崇拝ではなく崇敬の対象である。聖ヒエロニムスは次のように「創造主よりもむしろ創造物に屈するべきであることを恐れて、私たちは礼拝をしない。崇拝することはないが、殉教者を崇敬するために聖遺物を崇敬する」と宣言した。 カトリック教会は遺物を3つの等級に分類している: 第1級の聖遺物 キリストの生涯の出来事(かいばおけ、十字架など)または聖人の遺物(骨、髪、頭蓋骨、四肢など)に直接関連する遺物。伝統的に、殉教者の遺物は、多くの場合、他の聖人の遺物よりも重んじられている。その聖人の生涯にとって重要な部分は、より価値のある聖遺物である。例えば、ハンガリーの聖イシュトヴァーン1世の右腕は、支配者としての地位のために特に重要である。有名な神学者の頭は、その人物の最も重要な聖遺物といえるであろう。(聖トマス・アクィナスの頭は、彼が死んだフォッサノヴァのシトー会修道院の修道士によって切り離された)聖人が多くの旅をした場合、足の骨が賞賛されるかもしれない。カトリックの教義では、聖遺物が典礼で使用される場合、聖遺物を小さな部分に分割することを禁止している。(すなわち祭壇のように。教会と祭壇の奉献の儀式に記載されているルーブリックを参照) 第2級の聖遺物 聖人が所有しているか頻繁に使用していた遺物。(例えば、十字架、ロザリオ、本など)また、聖人の生涯の中でより重要な部分は、より重要な聖遺物である。時折、第2級聖遺物は聖人が身に着けていたもの(シャツ、手袋など)の一部で、Ex indumentis(英語版)(「衣服から」という意味のラテン語)として知られている。 第3級の聖遺物 第1級または第2級聖遺物に接触したあらゆる物。ほとんどの第3級聖遺物は小さな布であるが、紀元1千年紀の油は人気があった。Monza ampullae(英語版)は、キリストの生涯の主要な場所の前で燃えているランプから集められた油を含んでおり、いくつかの遺物には、油を再び出し入れするための穴があった。多くの人々は、聖人の骨に触れた布を “ex brandea” と呼んでいる。だが、“ex brandea” は厳密には身体や使徒の墓に接触した衣服の一部を指す。それはそのような目的にのみ使用される用語であり、第3級の聖遺物の同義語ではない。 教会法第1190号では、使徒座の許可を得ずに他の手段で聖遺物の売買を行うことは厳重に禁じられている。聖遺物は、御聖体(ミサでの奉献後のキリストの体と葡萄酒を示す)のための祭壇の上に置くことはできない。
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