エレベーター閉じ込め
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 08:57 UTC 版)
「千葉県北西部地震 (2005年)」の記事における「エレベーター閉じ込め」の解説
東京・千葉・埼玉・神奈川で地震時管制運転装置を備えたエレベーター総数の約44%に相当する約64,000台のエレベーターで地震時管制運転装置が作動して走行中のものは最寄階で停止し、停止中のものは停止を継続して休止した。これら約64,000台のエレベーターの点検や復旧作業には約24時間を要し、乗客の閉じ込めは78台(内73台は地震時管制運転装置付)、救出要請46件、故障・損傷は44台(内19台は脱線)に及んだ。閉じ込めからの救出時間は、通報を受けてから最大170分、平均は約50分弱であった。しかも管理人や乗客が保守会社へ電話または非常ボタンでコールしようにも電話回線の輻輳により通じない場合が多かった。東京都庁第一本庁舎では展望室直行のエレベーターが自動停止し、地上45階の展望室にいた約200名が、約1時間半に渡って降りられなくなるトラブルがあった。 この教訓を受け、2005年10月28日10:00-12:00に国土交通省4階特別会議室で開催された社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会(第三回)の中間答申では『エレベーターの地震防災対策に関する対応方針(案)について』が示され、基本的考え方として、エレベーターの耐震安全性の確保、「地震時管制運転装置」の確実な作動、早期救出・復旧体制の整備等、適時適切な情報提供が挙げられた。またエレベーターの地震防災対策に関する対応方針(案)も示され、P波感知型地震時管制運転装置やリスタート運転機能の付加、自動診断・復旧システム(仮称)といった新しい安全システムや「1ビル1台」の早期復旧による効率向上、エレベーター保守会社の車両について事前に緊急通行車両の確認を受けられるよう関係機関と調整を行う事が提案された。 また問題点も提起され、大手5社に於いて700種を超える機種があり、装置、部品及び工具等に関する規格がなく、ライフサイクルの平均が約30年と長く古い機種が残っていること、復旧作業に必要な運転操作方法等が会社ごとであり、同じ会社でも年代ごとや機種ごとに違うため、保守員の事故に繋がるおそれが大きい事や誤操作により機器損傷の可能性やそれに伴うユーザーへの補償を要するであろうとしている。これに伴い、教育・訓練に多大の時間が必要であり日頃の保守経験が技術習得のために大きな要素を占めていると結論した。しかし技術習熟度が低いために総合効率は落ちる可能性が高いと警告している。
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