エネルギア
名称:エネルギア(Energia)
開発機関・会社:旧ロシア/ロシア宇宙庁(RKA)(現在のロシア航空宇宙局[Rosaviakosmos])
開発機関・会社:ソ連科学アカデミー
運用機関・会社:ソ連科学アカデミー
打ち上げ場所:バイコヌール宇宙基地(チュラタム射場)
運用開始年:1987年
運用終了年:1988年
月を目指すアメリカとの競争の中で、ソ連は西側でN−1と呼ばれた超大型ロケットの開発を進めました。しかし、あいつぐ失敗の中で、この計画は放棄され、1976年に開始されたソ連版スペースシャトル、ブランの打上げ用に製造されたのがエネルギアです。
ブランそのもののデザインも、エネルギアの側面にブランを取り付けるという方式も、アメリカのスペースシャトルをまねたものですが、外部タンクの燃料を本体のエンジンで燃やすシャトルと違って、日本で計画されているHOPEと同じく、軌道修正用のロケットだけが装備されています。
エネルギアとブランの開発は遅れに遅れましたが、1987年に第2段ロケットを装着したエネルギアの最初の実験がおこなわれた後、1988年に無人のブランの打上げがおこなわれ、見事な成功をおさめました。ブランを使った場合には30t、使い捨ての2段ロケットを代わりに使えば、90t近くの重量を地球低軌道に運べる能力は画期的でしたが、国内の政変の影響を受けて、どちらの計画もその後に中止されてしまいました。
1990年代に入ってから、エネルギアの方は、一部が民営化された、同じ名前の開発機関RSCエネルギアによって、アメリカとの合弁による新型の開発計画が提案されましたが、現在は中断状態にあります。
1.どんな形をし、どんな性能を持っているの?
エネルギアは、ソユーズ・ロケットと同じく、1段目の周囲に補助用のゼロ段にあたるブースター・ロケット4基をとりつけた打ち上げロケットで、1.5段型に相当します。
全体の全長82.47m、直径8m、打ち上げ時の総重量は2419t、実効推力3582tです。
第1段ロケットは、全長37.7m、直径8m、燃料を含む発射時の総重量は905t、推力800.3tです。サリュート打ち上げロケットとして、のちに使われた、ゼロ段にあたるブースター・ロケットは全長37.7m、直径3.9m、全幅4.2mで、燃料を含む発射時の各重量は355t、各推力806t、燃料としブースター・ロケットは液体酸素とケロシンを、第1段は液体酸素と液体水素を使っています。
最初の打上げ実験では2段目のロケットが、2度目にはブランが、コアの部分の側面、ブースター・ロケットの間に装着されました。
ブランは全長36m、全幅24m、胴体部の直径5.6m、総重量135tで、積載貨物室の容積は73m3、30tの貨物を積めるようになっていました。
2.打ち上げや飛行の順序はどうなっているの?
エネルギア/ブランの無人打ち上げの際には、以下のような打ち上げ手順がとられました。
まず、打ち上げよりも8秒前に本体のロケットが点火され、続いて、4基のゼロ段ロケットに点火、発射から195秒後、145秒の噴射を終えたブースターが切り離されました。本体のロケットはなおも噴射を続け、発射からおよそ8分後、480秒間の噴射を終え、高度160kmのところでブランを分離しました。この後、ブランは軌道修正ロケットで遠地点高度256km、近地点高度252kmの衛星軌道に移行、エネルギアは大気圏に再突入して消滅、ブランは地球を2周したところで大気圏に再突入、翼をグライダーとして使い、出発点であるバイコヌールへの無人着陸に成功しました。
3.どんなものを打ち上げたの?
エネルギア自体の運用は2度の飛行ともに成功しましたが、最初の飛行では2段目の点火に失敗、2段目とともにペイロードも大気圏に落下したため、結局、打ち上げに成功したのはブランだけという結果に終わりました。
固有名詞の分類
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