ウクライナのブークによる撃墜との主張
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「マレーシア航空17便撃墜事件」の記事における「ウクライナのブークによる撃墜との主張」の解説
2015年5月、ノーヴァヤ・ガゼータ紙はロシア軍事技術者グループの名義入り報告書を発表した。航空機の機体破片と損傷パターンの分析に基づいて、彼らは旅客機が9M38M1ミサイルのブーク発射台によって撃墜されたと結論付けた。彼らは、ミサイルがスニジネからではなくザロシチェンスケから発射されたもので、その当時ウクライナの対空部隊がそこにいたと主張した。2015年6月、この報告書が記者会見の対象となると、モスクワに本社があるアルマズ・アンテイの技術部長ミハイル・マリセフスキー(ブークミサイル製造者)の責任だとされた。ウクライナ保安庁は、この説明には不正確さがあると述べ、報告書の一部を偽物と称した。ロシアの軍事専門家は、爆発の瞬間時におけるロケットの空間的指向は報告書が主張したようなスニジネからの発射可能性を排除していない、とTV Rainで論じた。また、報告書は墜落の原因としてブークミサイルを認めており、ロシアメディアで流布された墜落に関する以前の理論(Su-25など)を信用できないとしていることを指摘した。ウクライナ・プラウダ紙はウクライナの対空部隊に関する主張に疑問を呈し、撃墜当日にザロシチェンスケは親ロシア勢力の支配下にあったと述べた。ノーヴァヤ・ガゼータ紙は分析を公表し、アルマズ・アンテイの見解を否定したほか、当時村にはウクライナ軍もブーク発射台も無かったというザロシチェンスケ住民へのインタビューも掲載した。ベリングキャットによると、ロシアの衛星画像は6月からで、編集の痕跡が見られた。独紙ビルトはロシアの衛星画像を「偽物」と表現した。 2018年9月17日、ロシア国防省は記者会見を開き、オランダの調査官がミサイルの一部とそのシリアル番号を表示した後に自分達はブークミサイルを生産した研究センターの記録を調査して機密解除した、とミサイル砲兵総局長官のニコライ・パルシン将軍が語った。パルシンは、ロシアの記録ではこれら部品から作られたミサイルが1986年にウクライナ西部の軍事部隊に輸送されたことを示しており、ロシアの認識ではウクライナを離れたことがないと発言した。当局はまた、旅客機を撃墜したとされるミサイルがロシアからウクライナに移動したことが映っているという合同調査団 (JIT) の提示したビデオ証拠は捏造されたものだと主張した。 JITは、2018年5月にロシアにより回収されたミサイル部品に関する詳細を要求したのに、返答を貰えていないと応じた。ロシア国防省からの情報は、2018年5月に要請され2016年に国連安保理が要求したように文書が入手可能になりしだい慎重に調査されるだろうと述べた。JITは、ロシアが提供する情報を常に慎重に分析していたと主張するが、一般公開された情報はいくつかの点で不正確だった。(というのも)ロシアはどうやってMH17が撃墜されたかについて、時間経過と共に異なる説明をつけていたのである。例えば、ウクライナの戦闘機が空対空ミサイルをMH17に発射した証拠(レーダー画像)を持っていると主張したりもしていた。 ウクライナ国家安全保障・国防会議の書記オレクサンドル・トゥルチノフは2018年9月、ロシアの主張が「犯罪を隠蔽するためロシア政府が捏造したもう一つの失敗した虚偽報告であることが、公式調査および独立した専門機関によって証明された」と述べた。
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