イギリスでの出版と評判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 09:36 UTC 版)
「ハリー・ポッターと賢者の石」の記事における「イギリスでの出版と評判」の解説
ブルームスベリー社は本書を受け入れ、ローリングに2,500ポンドの前金を支払い、カニンガムは本書の発売時に引用できる批評を得るために、慎重に選ばれた作家、批評家、書店に校正刷りを送った。彼は、本の長さについては気にしておらず、それよりも著者の名前を気にしていた。彼には書名が少年向けのように聞こえたが、少年は男性作家の本を好むと彼は信じていたためである。そこでローリングは、出版直前にJ・K・ローリングというペンネームを名乗るようになった。1997年6月、ブルームスベリー社は『賢者の石』をハードカバーで500部発行し、そのうち300部が図書館に配布された。1999年9月までのすべてのイギリス版の著作権ページには、彼女の本来の名前である「Joanne Rowling」が記載されている(1998年のアメリカの初版では「Joanne」の表記は完全に削除されている)。初刷が少ないのは処女作では標準的であり、カニンガムは書店員がこの本を読んでお客様に薦めてくれることを期待していた。この初刷の例は、2007年のヘリテージ・オークションズで33,460ドルという高値で落札されている。 本のカバーに刷られた推薦文の1つを以前に提供していたLindsey Fraserは、1997年6月28日付の『ザ・スコッツマン』紙に、最初に発行されたと思われる批評を書いている。彼女は『ハリー・ポッターと賢者の石』を「非常に面白いスリラー」と記し、またローリングを「子供のための一流作家」と記した。また、『ヘラルド』紙に掲載された初期の批評では、「この本を手放せた子供はまだ見たことがない」と書かれている。スコットランド以外の新聞でも本書は注目され始め、『ガーディアン』紙や『サンデー・タイムズ』紙には熱烈な批評が掲載され、1997年9月には児童書専門誌『ブックス・フォー・キープス』がこの小説に5つ星のうちの4つ星をつけた。『サンデー・タイムズ』紙は「ダールとの比較は、今回、理にかなっている」と述べ、また『ガーディアン』紙は「創意に富んだ知力で放たれた豊かな質感のある小説」と見なし、そして『ザ・スコッツマン』紙は「傑作のすべての資質」があると述べた。 1997年、イギリス版はBritish Book Awardsと、Nestlé Smarties Book Prize(ネスレ・スマーティーズ賞)の9歳から11歳の部で金メダルを受賞した。子供の投票で選ばれるスマーティーズ賞は、多くの児童書が何年も掛かるところ、出版から6ヶ月以内で本書を有名にした。翌年、『賢者の石』は、子供が決める他のほとんどすべての主要なイギリスの賞を受賞した。また、大人が審査員を務める児童書の賞の最終選考にも残ったが、受賞には至らなかった。サンドラ・ベケットは子供に人気のある本は多くを求められず最高の文学水準ではないと見なされていると批評した。たとえば、ローリングの本が登場するより前に子供たちから圧倒的な人気を誇っていたダールの作品を、文壇は見下していた。2003年には、この小説はBBCの調査「ザ・ビッグ・リード」で22位に掲載された。 『ハリー・ポッターと賢者の石』は、文学的な価値より販売面で評価される出版業界の2つの賞、British Book Awards Children's Book of the Yearと、Booksellers' Association / Bookseller Author of the Yearを受賞した。1999年3月までに、イギリス版は30万部余りを売り上げ、この物語は2001年12月にも英国で最も売れた本だった。点字版は1998年5月にScottish Braille Press社から出版された。 ホグワーツ特急がロンドンから出発した9と3⁄4番線ホームが記念され、実在するキングス・クロス駅に看板や、壁を通り抜けているように見える台車が設置されている。
※この「イギリスでの出版と評判」の解説は、「ハリー・ポッターと賢者の石」の解説の一部です。
「イギリスでの出版と評判」を含む「ハリー・ポッターと賢者の石」の記事については、「ハリー・ポッターと賢者の石」の概要を参照ください。
- イギリスでの出版と評判のページへのリンク