『国語論集』誌上での論争とは? わかりやすく解説

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『国語論集』誌上での論争

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 23:50 UTC 版)

赤い靴」の記事における「『国語論集』誌上での論争」の解説

文化人類学者山口昌男は、その著書『「敗者」の精神史』(岩波書店 1995年7月 分冊文庫本ISBN: 978-4006001445)の中で、情の『青い目の人形』と『赤い靴』について論じている。この山口本に触発され亀井秀雄市立小樽文学館館長)は、北海道教育大学釧路校国語科教育研究室が刊行している『国語論集・9』(2012年3月)に、『「赤い靴」をめぐる言説』を投稿した。 この論文の中で亀井指摘する。『赤い靴』の像を建立した人々は、自分作っているのは『赤い靴』から誘発され虚構の像であることを認識している。しかし、その想像力赤い靴の少女異人さんとの暮らし向かわず平民農場における母子再会という虚構物語構築して、この母子の不幸を癒しやる方へのみ向かっている。そして、その出発点には岡そのがいて、そのの新聞投書『幻の姉「赤い靴女の子」』こそ情の童謡から言葉借りた表現であり、ここから菊地寛のドキュメント山口昌男論文各地での記念像建立動き始まった結論づけている。 これに対して阿井渉介反駁試み、『国語論集10』(2013年3月)に『「赤い靴」をめぐる言説」について』を投稿した。ただ阿井は、記念像建立携わった者はすべて菊地説を妄信しているとして、「テレビ低劣なこしらえ物を基に、高次文学論争をすることに意味があるとは思えない」「文芸的ではない人々文芸的思惟囲い込まないほうがいい」としている。岡そのも菊地被害者とみており、阿井論文中では実名一切使わず□ □□」としている。岡そのの投書を、赤い靴現象根幹とする亀井立論はまった無視されている。 一方で阿井は、自らが唱えていた「赤い靴赤い箱車=社会主義」説は撤回すると言い出している。「赤い箱車」についての自らの立論が、鈴木志郎社会主義運動対す情の共感前提とする点では菊地説と同根であると、亀井論文を読むうち遅まきながら気づいたとしている。そして、『赤い靴』の発表情と鈴木志郎出会いから14年後のことであり、その間情は鈴木志郎忘れずにたとする山口昌男憶測は安易ではないか、とする亀井指摘尤もだという。 『国語論集11』(2014年3月)には福地順一(元・札幌拓北高等学校校長)が『童謡赤い靴」のモデルについて』を投稿改めて、きみは『赤い靴』のモデルにはなりえないと考証している。阿井らが既に指摘していたことに加えてさらに、 野口雨情鈴木志郎(および石川啄木)が小樽日報社に入社したのは事実だが、それより前、三人札幌北門新報社で同僚だったとする岡そのの投稿には誤りがある。同社勤めていたのは志郎啄木であり、情が勤めていたのは北鳴新報社である。 岡そのは、情と志郎札幌山鼻一軒家借りてたとするが、その言葉の裏づけは皆無である。 菊地は、岡そのの証言の矛盾解消するため、志郎が北鳴新報社に勤めていた時期があるとする説を唱えているが、この新説の裏けもない情は1945年昭和20年)に亡くなるまで、きみが『赤い靴』のモデルであるとは一言言及していない。 の諸点である。

※この「『国語論集』誌上での論争」の解説は、「赤い靴」の解説の一部です。
「『国語論集』誌上での論争」を含む「赤い靴」の記事については、「赤い靴」の概要を参照ください。

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