『名婦の書簡』とは? わかりやすく解説

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『名婦の書簡』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 08:06 UTC 版)

オウィディウス」の記事における「『名婦の書簡』」の解説

ヒロイン意味する『ヘーローイデス』( Heroides )と略称されることもある『名婦の書簡』( Epistulae Heroidum )はエレギーアの韻律を持つ対句連なる詩、全21からなる詩集である。一編の詩各々は、ギリシャ神話登場する女性が自らの良人恋人宛てて書いた手紙体裁を取る。手紙には別れて暮らすことへの恨みつらみ恋人戻ってくるように願う思いなどが表現されそれぞれの神話結末暗示するような、その後彼女ら行動についても書かれているオウィディウスは本詩集で、過去文学類例見ない斬新な文学類型生み出した。なお、本詩集一部ないし全部ほんとうにオウィディウスの作であるのかというオーセンティシティ問題に関しては、疑問呈されたこともあった。しかしながら『愛の歌』(at Am. 2.18.19–26)におけるオウィディウス自作解題で、本誌集に係る書簡についての言及があることをもって異議耐えうる考え研究者大勢である。 前半14通の書簡初版時点から詩集含まれていたと考えられている。その14通はペーネロペーピュリスブリーセーイスパイドラーオイノーネーヒュプシピュレーディードーヘルミオネーデーイアネイラアリアドネーカナケー、メーデーア、ラーオダメイアヒュペルムネーストラー不在良人又は恋人宛てた手紙である。15通目は歴史上の人物サッポーパーオン英語版)に宛てたのである偽作可能性がある(『愛の歌』言及はある in Am. 2.18)。その理由長さ不自然なことと神話的主題との統合を欠くこと、そして中世写本でこの部分見当たらないことが挙げられる残り16通目から21通目は恋人の手紙とそれへの返事の手紙の対で構成されるパリスヘレネーヘーローとレアンドロス、アコンティオスとキューディッペーそれぞれのパートナー宛てた手紙である。これらはオウィディウス自身による言及がないため、後年になって詩集に付け加えられたものと考えられている。真作偽作かは両説がある。 『名婦の書簡』はスアーソーリアやエトポエーイアといった雄弁術駆使した演説法の影響顕著に見て取れる。スアーソーリア、エトポエーイアはともに説得力のある演説なし得るように行われる雄弁術練習方法一つであり、スアーソーリアは神話歴史上特定の場面想定した上でそこに登場する人物行動賛否弁論すること、エトポエーイアは歴史上の人物などの他人になりきって弁論することを意味する。ヘーローイデスの主人公たちの弁論大まかな決まり事に従ってなされる第一にほとんどの手紙ではその書き手重要な役割演じ文学作品への言及が行われる。例えば、ディードー場合は「アエネーイス」への言及が、アリアドネー場合カトゥッルス詩集64歌への言及が行われる。第二叙事詩悲劇登場人物から、エレギーア恋愛詩の登場人物へと、性格付け転換が行われる。

※この「『名婦の書簡』」の解説は、「オウィディウス」の解説の一部です。
「『名婦の書簡』」を含む「オウィディウス」の記事については、「オウィディウス」の概要を参照ください。

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