『優しい歌』とは? わかりやすく解説

『優しい歌』(『ヌヌ ― 完璧なベビーシッター』)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 15:12 UTC 版)

レイラ・スリマニ」の記事における「『優しい歌』(『ヌヌ ― 完璧なベビーシッター』)」の解説

2016年第二作『優しい歌』(邦題『ヌヌ ― 完璧なベビーシッター』)を発表同年ゴンクール賞受賞した113人の受賞者のうち、女性では12人目である。世界44国語翻訳され2019年3月時点)、邦訳も『ヌヌ ― 完璧なベビーシッター』として2018年3月刊行された。家事育児手伝いとして若い夫婦雇用され女性が、面倒を見ていた二人の子どもを殺害するという衝撃的な事件描いたこの作品は、2012年ニューヨークでプエルトリコ人のベビーシッター(ヌヌ)が子供たち惨殺したという三面記事から発想得たのであるスリマニ日本でのインタビューで、ヌヌまたはヌーヌー (nounou) は「ベビーシッター」とは「少し違い」、「乳母 (nourrice)」のことであるとし、フランスでは子どもを祖父母預けることがあまりないうえに、保育園狭くて受け入れ人数限られているし、女性たち労働時間長い保育園利用するのも難しい、このような状況では、子どもの面倒を見てくれる「ヌヌ」に頼らざるを得ない、したがって「ヌヌがいないと働けず、自立もできなければ自由も得られないし、社会生活も営めない」と説明している。また、ヌヌはその社会的価値評価されず、資格必要な仕事であるせいもあって、特に大都市のヌヌは大半移民、特にマグレブ移民女性で、低賃金雇われているという。本書のヌヌは貧し白人女性で、逆に雇用者夫婦移民である。スリマニパリ10区に住むこの若い夫婦弁護士の妻と音響アシスタントの夫)をボボ(ブルジョワ・ボヘミアン)として描いている。これもスリマニ自身の定義によると、「ヒッピー的な精神持ち主で、中流階級で、パリ中心にある昔の大衆的な地域住んでいて、オープンマインドで、環境問題に対して意識高く左派で」、社会問題に深い関心持っているが、これはあくまで「理論理想であって、「実際に日常生活貧し人々移民接すことはない」人々であり、彼女はこうしたボボの「社会的偽善」を表現したかったという。本書このように人種、性、階級職業等における差別家事労働過小評価保守派台頭移民政策、「女性による女性搾取」など多く問題提起する作品である。 なお、「優しい歌」アンリ・サルヴァドール曲名でもあり、別名「雌鹿騎士さん」として知られるフランスでは誰もが知っている子守唄」である。また、作品冒頭の「赤ん坊死んだ」の一文は、「きょう、ママン死んだ」で始まるカミュの『異邦人』を想起させるという指摘もある。スリマニ執筆の動機になったと言う、ヌヌと母親ママン」との「曖昧な関係」を示唆するものである。 『優しい歌』は当初マイウェン監督映画化する意向表明したが、「個人的にとても辛い時期」があって別の作品取り組むことにしたとし、リュシー・ボルルトー(フランス語版監督がこの企画引き継いだ映画原題のまま『優しい歌』として2019年11月27日フランスで封切られた。主演カリン・ヴィアールである。一方、すでに演劇作品としてコメディ・フランセーズ2019年3月14日から4月28日まで上演されたが、『ル・モンド』紙は、舞台での上演は難し作品であると評している。

※この「『優しい歌』(『ヌヌ ― 完璧なベビーシッター』)」の解説は、「レイラ・スリマニ」の解説の一部です。
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