「安全」の用法や定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 23:14 UTC 版)
安全の用法や定義は、領域ごとに定義の仕方が異なっている。各国ごとの個別の歴史・地理などを踏まえるとどのように考えられるようになっているかまた、最近世界でどのように整合化が進みつつあるのか、ひとつひとつ見てゆく。 国語辞書での用法説明 とりあえず、国語辞書(定義宣言や意見表明をするのではなく、基本的に、当該言語圏である言葉が使われてきた実際の歴史や、現状で一般の人々の間で頻度の高い使用法(言葉の用法)は実際はどのようなものなのか学問的に説明する役割・任務があるとされている書物)の説明を見てみる。 (大辞泉)「危険がなく安心なこと。傷病などの生命にかかわる心配、物の盗難・破損などの心配のないこと。」としている。 (広辞苑)「安らかで危険のないこと。平穏無事。」 「物事が損傷したり、危害を受けたりするおそれのないこと。」 文部科学省 科学技術・学術審議会 (第12回)配付資料(2004) 「人とその共同体への損傷、ならびに人、組織、公共の所有物に損害がないと客観的に判断されることである。ここでいう所有物には無形のものも含む。」 技術界の国際的定義 一般社団法人 電子情報通信学会によれば、『1950年代前半にアメリカ軍を中心にして信頼性の研究が開始され、1980年代後半になり信頼性研究から安全性研究が独立するようになった。』1990年、国際基本安全規格第1版(ISO/IEC GUIDE 51:1990)が発行され、安全(safety)とは「受容できないリスクがないこと(freedom from unacceptable risk.)」と国際的定義がなされた。2014年、国際基本安全規格 (ISO/IEC GUIDE 51:2014)で定義が改定され、安全とは「許容できないリスクがないこと(freedom from risk which is not tolerable NOTE For the purposes of this Guide, the terms "acceptable risk" and "tolerable risk" are considered to be synonymous.)」としている。また、同規格では「許容可能なリスク(tolerable risk)」は、「level of risk which is acceptedin a given context based on the current values of society (その時代の社会の価値観に基づき、特定の(所与の)コンテキストにおいて受け入れられている水準のリスク)」と定義している。また、リスク(risk)は「危害の発生確率及びその危害の程度の組合せ」。危害 (harm) は、「人の受ける身体的傷害若しくは健康傷害,又は財産若しくは環境の受ける害」と定義している。 「リスク」および「危害」も参照 労働管理での定義 労働安全衛生マネジメントシステムの国際標準はOHSAS18001であったが、2014年時点では、ISO/CD 45001:2014(労働安全衛生マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引)が審議されており、安全の定義は、国際基本安全規格ISO/IEC GUIDE 51:2014の「許容できないリスクがないこと」に統一される見込みである。福岡労働局・労働基準監督署は、配布物「絶対安全はあり得ません!」において、「リスクアセスメントに取組み 安全で快適な職場づくりを目指しましょう」と書いている。
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