「千代田」と「初月」を撃沈
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「ローレンス・T・デュボース」の記事における「「千代田」と「初月」を撃沈」の解説
レイテ沖海戦でのデュボースの第13巡洋艦部隊は、フレデリック・C・シャーマン少将(アナポリス1910年組)の第38.3任務群に属した。10月24日、第38.3任務群は栗田健男中将率いる第二遊撃部隊への反復攻撃を行っていたが、日本機の反撃で空母「プリンストン」 (USS Princeton, CVL-23) が大破して爆発を起こし、救援で付き添った「バーミングハム」もスプリンクラー被害を受けて戦線から離脱した。「プリンストン」はミッチャーの指示で処分された。栗田艦隊は反復攻撃でいったん西航したが、空襲が収まったのを見て反転。しかし、ハルゼーは念のために第38任務部隊から戦艦と巡洋艦を抽出して第34任務部隊を編成し、ウィリス・A・リー中将(アナポリス1908年組)に部隊を与えてサンベルナルジノ海峡に張り付かせた。ところが、夕刻になって偵察機が小沢治三郎中将率いる機動部隊を発見したことでハルゼーの考えが変わった。「栗田艦隊が万が一再反転してレイテ湾に向かっても手負いだろうから、キンケイドの第7艦隊で対処できるだろう」と。討議を重ねたあと、ハルゼーは全艦艇を小沢艦隊の撃滅のために差し向ける決定を下して北方に向かわせたが、これはハルゼーの罠に志摩がはまらなかったのとは対照的に、小沢の罠にハルゼーが釣られたことを意味した。 10月25日、ハルゼーは朝から小沢艦隊を滅多打ちにすべく攻撃を反復させたが、これと相前後してサンベルナルジノ海峡を突破した栗田艦隊が第7艦隊の護衛空母に対して猛攻を仕掛け、キンケイドはただでさえ狼狽したが、ハルゼーが北方に全力投球していることを知りさらに仰天した。キンケイドの悲鳴を聞いてもいまだ余裕だったハルゼーではあったが、太平洋艦隊司令長官チェスター・ニミッツ大将(アナポリス1905年組)から「第34任務部隊はどこにいるか?世界が訝っている(実際は、後方の1文は、「暗号解読防止の為の本文と無関係な1文」だったが、受信した通信員が本文に続くものと誤断して、そのまま伝えたものであった)」との電文を受け取って今度は自身が落ち着きをなくし、平静を取り戻したあと、第34任務部隊の大部分を反転させて栗田艦隊に差し向けた。そして、デュボースの第13巡洋艦部隊に巡洋艦と駆逐艦を足して残的掃討にあたらせた。歴戦の空母「瑞鶴」をはじめとする小沢艦隊の大部分は叩いたと判断されたが、「千代田」が単艦、放棄されたかのように取り残されていた。ところが、空母「レキシントン」 (USS Lexington, CV-16) 攻撃隊の指揮官機が「千代田」の近くを飛来した際、「千代田」が対空砲火を撃ちあげたため、「千代田」は放棄されていないと判断される。「レキシントン」指揮官機は第13巡洋艦部隊に「千代田」健在を伝え、デュボースは指揮下艦艇に「千代田」撃沈を令した。第13巡洋艦部隊に追加された重巡洋艦「ウィチタ」 (USS Wichita, CA-45) と「ニューオーリンズ」 (USS New Orleans, CA-32) が先制攻撃を行い、「サンタフェ」と「モービル」もこれに続いた。4隻の巡洋艦から砲弾を浴びた「千代田」は横転沈没。この瞬間、デュボースは1940年6月8日にイギリス空母「グローリアス」 (HMS Glorious, 77) を撃沈した第三帝国海軍のヴィルヘルム・マルシャル中将、「千代田」撃沈の約半日前に護衛空母「ガンビア・ベイ」 (USS Gambier Bay, CVE-73) を撃沈した栗田に続く、3人目かつ最後の「水上砲戦で空母を撃沈した提督」となった。 小沢艦隊の残党は「千代田」だけではなかった。軽巡洋艦「五十鈴」と駆逐艦「若月」および「初月」は、「千代田」を探し求めたり「瑞鶴」の生存者の捜索にあたっていた。「千代田」を片付けたデュボースの第13巡洋艦部隊は、夜に入って3隻をレーダーで探知し、先制攻撃を開始する。デュボースは日本艦の雷撃を警戒して巧みに反転を繰り返しつつ砲撃を続けさせ、間もなく「初月」が反転して第13巡洋艦部隊に挑戦してきたため、集中砲火を浴びせて「初月」を討ち取った。「五十鈴」と「若月」にも至近弾を浴びせたが、「初月」を始末している間に振り切られた。第13巡洋艦部隊は再び第38.3任務群に合流し、10月30日にウルシーに帰投。ここで司令官の交代が行われ、デュボースは司令官の座をモートン・デヨ少将(アナポリス1911年組)に譲って「サンタフェ」を去った。 デュボースはレイテ沖海戦の戦功で3度目の海軍十字章に代わる2個目の金星章を授与されたが、受賞対象は「千代田」と「初月」の撃沈ではなく、第30.3.1任務群での逃避行であった。
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