「アラブの哲学者」キンディーとは? わかりやすく解説

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「アラブの哲学者」キンディー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 09:39 UTC 版)

イスラーム哲学」の記事における「「アラブの哲学者」キンディー」の解説

最初にイスラーム哲学史に登場する人物アラブ人哲学者ヤアクーブ・イブン・イスハーク・アル=キンディー801年頃 - 866年頃)ある。彼は別称として「アラブ哲学者」と呼ばれている。いちいち、アラブ人であることを言及されるのは、前述のように、長らく哲学などの思想関係ではシリア系やイラン系といった人々活躍目立ち純粋にアラブ系出身者はむしろ稀なケースであったからである。 その名前が示す通り、彼はジャーヒリーヤ時代にあたる5世紀後半アラビア半島中央部ナジュド高原大勢力を誇りキンダ王国築いたアラブ遊牧民キンダ族血筋であった。彼は前項翻訳時代バグダード活動中心にして莫大な量の翻訳著作を手がけ、その数は250超えたといわれている。(しかし、現存するもの40作品程度である)。キンディー哲学者経験界のあらゆるものの本質を究めなくてはならないという百科全書的考え持っており、地理・歴史数学音楽医学政治など広範なジャンル渡り知識持ち合わせていた。彼自身ギリシア語を解さなかったようだが、ギリシア語文献からの翻訳依頼や、生粋アラブ名族ひとりとして豊富なアラビア語知識生かしたその翻訳指導にあたっていた。特に、アラビア語による哲学語彙確立多大な貢献をしている。アリストテレス関連言えば『形而上学』や『神学』(しかし実際これは、アリストテレス著作ではなくプロティノスの「エネアデス」である。)からプトレマイオスの『地理学』など重要なものが多かったキンディーは、人間知性4つにわけ、能動的知性可能態における知性獲得され知性現実態における知性と後のイスラーム哲学基礎になる知性論を展開した(すでに、この時点アリストテレスではなくネオプラトニズム考え方になっている)。彼は、神を真理ハック)と認識し哲学独自の目標を「人間能力限界内において可能な限り事物真にあるがままに認識すること」であるとし、このように獲得した真理(これはイスラーム信者のみに保証されるものではないという)こそ普遍であると主張したまた、神による無からの創造啓示優位性など、「完全なる一者」から創造はじまったとするプロティノス系の流出論優位となる後世哲学者たちには見られない思想的特徴を持つ。このようにキンディーイスラーム哲学に独自の道を開いた人物であるといえる

※この「「アラブの哲学者」キンディー」の解説は、「イスラーム哲学」の解説の一部です。
「「アラブの哲学者」キンディー」を含む「イスラーム哲学」の記事については、「イスラーム哲学」の概要を参照ください。

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