『形而上学』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/21 08:17 UTC 版)
アリストテレスの『形而上学』中のΖ(第7巻)では、アリストテレスの実体観がより詳細に述べられている。 そこではアリストテレスは、第一実体としての「個物」は、「質料」(基体)と「形相」(本質)の「結合体」であり、また真の実体は「形相」(本質)であると述べている。 第一実体 : 「個物」(結合体) --- 主語になる「質料」(基体) 「形相」(本質) 第二実体 : 種・類の概念 --- 普遍 --- 述語になる また、用語集である第五巻(Δ巻)第8章においては、この「ウーシア」(希: οὐσία, ousia)(実体)という語は、 単純物体。土、火、水のような物体や、それによる構成物、及びその部分。述語(属性)にはならず、主語(基体)となるもの。 1のような諸実体に内在している、そのように存在している原因となるもの。例えば、生物における霊魂。 1のような諸実体の中に部分として内在し、それぞれの個別性を限定・指示するもの。これが無くなれば、全体も無くなるに至るような部分。例えば、物体における面、面における線、あるいは全存在における数など。 そのものの本質が何であるかの定義を言い表す説明方式(ロゴス)それ自体。 といった列挙の後、 (上記の1より)他の主語(基体)の述語(属性)にはならない、窮極(究極)の基体(個物)。 (上記の2・3・4より)指示されうる存在であり、離れて存在しうるもの。型式(モルフェー)、形相(エイドス)。 の2つの意味を持つ語として、定義されている。 このように、「ウーシア」(希: οὐσία, ousia)(実体)という語は、今日における 「物理的実体」「物質」(physical substance) 「化学的実体」「化学物質」(chemical substance) それも「究極基体的な物質」(今日の水準で言えばちょうど「素粒子」(elementary particle)に相当する)を含む、「実質」(substance)という意味から、それをそれたらしめていると、人間が認識・了解できる限りでの側面を強調した(観念的・概念的・言語的な面も含む)「本質」(essence)という意味までを孕んだ、多義的な語であった。
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