細菌学的特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 05:21 UTC 版)
菌体の周囲に4本の鞭毛(周毛性鞭毛)を持ち、これを利用して水中などで運動する。ただしこの鞭毛は25℃培養では観察されるが、37℃ではしばしば失われる。ヒツジまたはウサギ血液寒天培地では、弱いβ溶血性を示す。この溶血は黄色ブドウ球菌によるCAMP試験によって増強され、これらが本菌種を同定する上で重要である。この溶血性は溶血素(ヘモリジン)の一種であるリステリオリジンOによる。
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細菌学的特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 16:12 UTC 版)
グラム陰性のらせん菌であり、そのらせん形態は科や属ごとにそれぞれ特徴がある。一般には0.1 - 0.5×4-250 µm程度の細長い菌体がらせん状になっているものが多いが、中には500 - 600 µmほどの大型のものもある。 スピロヘータ科 0.1 - 0.3×5 - 250 µm程度の右巻きまたは左巻きの規則正しいらせん状で、菌体の両端付近に1 - 20本程度ずつの鞭毛を持つ。中には90 - 150本の鞭毛を持つ属もある。微好気性、通性嫌気性または偏性嫌気性。 セルプリナ科 0.2 - 0.4×4 - 9 µm程度のゆるやかで粗大ならせん状で、菌体の両端付近に4 - 15本ずつの鞭毛を持つ。偏性嫌気性。 レプトスピラ科 0.1×6 - 12 µm程度でスピロヘータの中では最も微細。規則正しい右巻きのらせん状で、菌体の両端または一端がフック状に湾曲する。菌体の両端付近にそれぞれ1本の鞭毛を持つ。偏性好気性。 スピロヘータは他の細菌とは異なる独特の構造を持ち、その基本構造は、細胞体、鞭毛、エンベロープという3つから構成される。菌体の両端からそれぞれ伸びた鞭毛に、ちょうど菌体(細胞体)がらせん状に巻き付くような恰好となり、それらすべてをエンベロープと呼ばれる被膜構造が覆った状態になっている。このため他の鞭毛を持つ細菌とは異なり、鞭毛が直接外部の環境に接することはない。このような特徴から、スピロヘータの鞭毛は、軸糸 (axial filament)、細胞内鞭毛 (endoflagella)、ペリプラズム鞭毛、軸繊維などとも呼ばれる。 スピロヘータの細胞壁は薄いため細胞体は柔軟であり、またエンベロープも流動性に富んでいる。この柔軟性と鞭毛の働きによって、スピロヘータは活発な運動性を示す。スピロヘータの鞭毛は、他の原核生物の鞭毛と同様、菌体と接する部分を基点にして回転しているが、この鞭毛の回転によって鞭毛と接している細胞体とエンベロープも回転し、菌体全体がコルク抜きのように回転することで、前方への推進力を得る。他の生物の鞭毛による運動の場合は、粘度の高い溶液の中では鞭毛を動かせずに運動が停止するが、スピロヘータのこの回転運動の場合は粘稠な溶液中でも運動することが可能である。また、この回転運動以外にも、鞭毛の働きと菌体の柔軟性によって、スピロヘータは屈曲したり、固体の表面を這うように移動したりすることも可能である。 この他、属ごとに他の細菌にはあまり見られない特徴を有するものも見られる。例えばトレポネーマ属やレプトネーマ属には細胞体の中に細胞内微小管と呼ばれる、真核細胞の微小管とよく似た構造が見られる。ボレリアの細胞膜には動物細胞の膜脂質成分であるコレステロールが含まれており、この点でマイコプラズマと類似した特徴を持つ。またボレリアの中には、他のほとんどの細菌のゲノムが環状DNAであるのに対して、線状DNAをゲノムとして持っているものがある。
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細菌学的特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/08 14:21 UTC 版)
シュードモナス属に属する、0.7 x 2 µm程度の大きさのグラム陰性桿菌である。芽胞は形成せず、菌体の一端に1本の鞭毛(まれに2-3本)を持ち活発に運動する。また菌体の一端には線毛を有する。 緑膿菌は、土壌、淡水、海水中など、自然環境のいたるところに生息する環境中の常在微生物の一種であり、湿潤な環境を特に好む。またヒトや動物の消化管内部にも少数ながら存在する腸内細菌の一種であり、健康な成人の約15%、病院内では30-60%が本菌を保有していると言われる。 偏性好気性であり、通常は酸素のない環境では生存できない。これはもっぱら呼吸によってのみエネルギー産生し、発酵を行わないためである。他の病原細菌と比べて、発育には特殊な栄養を必要としない(栄養要求性が低い)ため、増殖しやすい細菌である。微量の有機物でも増殖が可能であり、長期保存している蒸留水の容器にすら、混入したわずかな有機物を栄養源として緑膿菌が増殖することがある。人工的に培養する場合にも、アンモニウム塩を含む無機塩培地に、炭素源となる一種類の有機物があれば培養が可能である。至適発育温度は37℃前後で、42℃程度の高温でも増殖可能であるが、低温(4℃以下)では増殖しない。有機物を分解して、アミンの一種であるトリメチルアミンを産生するため、独特の臭気(腐った魚のような臭い)を生じる。 緑膿菌は、熱に対する抵抗性は他の細菌と同程度で比較的弱い部類に属する(55℃1時間処理で死滅)が、消毒薬や抗生物質などに対しては、広範かつ強い抵抗性を有している(薬剤抵抗性の節に詳述)。このため、長期間放置されている手洗い用の消毒液などの中からも分離されることがあり、院内感染などとの関連から特に医療分野で注目されている。
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細菌学的特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/09 04:13 UTC 版)
現在では分子生物学が発展し、DNAやRNAにより菌の遺伝学的性質や代謝について明確に分類できる。しかし、かつては培地・培養温度による発育の違い、化学物質の代謝の違いなどを用いる事でしか、菌を分類することができなかった。そのため結核菌と癩菌が典型的な抗酸菌であり、その他の抗酸菌は非定型な特殊な抗酸菌とみなされていた。技術の発展に伴い、分子生物学的に多くの抗酸菌が分類されることとなり、むしろ結核菌群と癩菌群が特殊な菌であり、いわゆる「非定型抗酸菌」が抗酸菌としての一般的な性質をもつことが判明したため、「非結核性抗酸菌」と呼ばれるようになった。 小川培地ナイアシンテストを用いて小川培地上で培養すると、抗酸菌の種類により発色が異なる。結核菌はナイアシン産生能が高いことを利用している。
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細菌学的特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/22 09:30 UTC 版)
化膿レンサ球菌は、レンサ球菌属に属するグラム陽性球菌で、顕微鏡下では連鎖状の配列をとる。鞭毛を持たないため非運動性であり、菌株によっては莢膜を有するものもある。芽胞は形成しない。通性嫌気性菌であるため、酸素の存在下でも、酸素が存在しない環境でも生育しうるが、やや嫌気性の環境を好む。他のレンサ球菌同様、栄養要求性が若干高いため、普通寒天培地での生育はやや劣るが、血液寒天培地ではよく生育する。 他のレンサ球菌属菌とは、溶血性と、ランスフィールド抗原分類群別と呼ばれる菌体表面の抗原性の違いから鑑別される。β溶血性(完全透明な大きい溶血帯が観察される)で、ランスフィールドA群のレンサ球菌が化膿レンサ球菌に該当し、この二つの性状から、ヒトから分離される頻度の高い他のレンサ球菌属菌との鑑別が可能である。またこの他、バシトラシン(枯草菌が産生する抗生物質)に対して感受性であることも、病原性のB群β溶レン菌であるストレプトコッカス・アガラクチアエ(S. agalactiae, GBS)との鑑別に利用される。 化膿レンサ球菌は細胞表面のMタンパク質の構造により、数多くの血清型に分類される。血清型により、起こしうる感染症の種類なども異なっている。伝染性膿痂疹を起こす血清型、咽頭炎を起こす血清型、糸球体腎炎を惹起する血清型、リウマチ熱を惹起する血清型など(一部重複あり)が知られている。
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細菌学的特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 15:42 UTC 版)
腸内細菌科(ブドウ糖を嫌気的に発酵する、芽胞を持たない、通性嫌気性のグラム陰性桿菌)に属する細菌であり、大きさは0.5×1-3µmぐらいの棒状で、鞭毛を持たないため運動性がない。運動性の有無の他、リジン脱炭酸を行わない点や、大部分がラクトースを分解しない点で、近縁の大腸菌やサルモネラとは生化学的に鑑別される。酸に対する抵抗性は比較的高い。このことは胃酸による殺菌を受けにくく、少量(10-100個程度)の菌でも発病することに関与している。 赤痢菌属は大腸菌属ときわめて近縁な関係にある。これまで形態的、生化学的、病理学的な観点から、別種だと考えられてきた赤痢菌属と大腸菌属は、最近の分類に用いられているDNA-DNA分子交雑法では両者を区別することができず、遺伝子に基づく分類学上ではこれらは同種という位置づけになることが明らかになった。しかし医学上の観点からは、赤痢菌は大腸菌に比べて重篤な疾患の原因になることが多く、両者は医学上区別する必要があるという判断から、両者にはそれぞれ別々の学名(危険名)が与えられ、別種として扱われている。 赤痢菌属は、生化学的な特徴や抗原性の違いから、A~Dの4つの亜群(subgroup)に分けられており、これらがそれぞれ独立した種として扱われている。 A亜群: S. dysenteriae (志賀赤痢菌) B亜群: S. flexneri (フレキシネル赤痢菌) C亜群: S. boydii (ボイド赤痢菌) D亜群: S. sonnei (ソンネ赤痢菌) 赤痢菌属の分離培養には、SS寒天培地やDHL寒天培地などの選択分離平板培地が用いられる。
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細菌学的特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 03:34 UTC 版)
サルモネラ属は、腸内細菌科(ブドウ糖を嫌気的に発酵する、芽胞を持たない、通性嫌気性のグラム陰性桿菌)に属する細菌であり、大きさは0.5 × 2 µmぐらいの棒状で周毛性鞭毛を持ち運動性がある。サルモネラ属の細菌は乳糖を分解せず、またほとんどの菌株は硫化水素を産生し、リジンを脱炭酸し、クエン酸を炭素源として利用できる。これらの生化学的性状は、同じ腸内細菌科の腸管病原性細菌(大腸菌、赤痢菌など)と鑑別する上で重要である。また、サルモネラ菌はマラカイトグリーン、胆汁酸、亜セレン酸に抵抗性があるため、培地にこれらの物質を加えたものを選択培地として用いることで、サルモネラを優先的に検出することが可能である。熱や酸には弱いが乾燥や低温には強く、冷凍しても不活化しない。この性質は冷凍食品からもサルモネラ食中毒が発生するということに関連している。
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