星雲
「星雲」とは、宇宙空間で重力によってガスや塵などが高密度に集まっている雲状の集まりのことである。今日では単に「星雲」といえば特に銀河系内にあるものを指し、銀河系外にあるものは「銀河系外星雲」もしくは「銀河」という。星雲は一個の天体として扱われる。
わかりやすくいえば「星雲」とは「雲のように見える天体」の総称である。
星雲は、宇宙に散財する無数の宇宙塵や星間ガスなどが、重力によって集まったもの、あるいは集まりつつあるものである。この塵やガスが、さらに長い時間をかけて密集し、最終的には星になると考えられている。
星雲の形や大きさは多種多様である。大きな星雲は最大幅が1光年を超えるともいわれている。
「散光星雲」と「暗黒星雲」
星雲は、大きく「散光星雲」と「暗黒星雲」の2種類に区分される。「散光星雲」は、高温のガスや近くにある恒星の反射によって、何らかの光を放っている星雲である。「暗黒星雲」は、自ら光を放つことはなく、近くに恒星もない星雲である。遠く背後にある星の光を遮る等の現象として観測されることが多い。散光星雲はさらに「反射星雲」や「輝線星雲」に細分されることもある。
星雲の具体例
固有名が知られている星雲の例としては、「オリオン大星雲」「馬頭星雲」「亜鈴星雲」「ばら星雲」「かに星雲」などが挙げられる。固有名がなかったりそれほど有名ではなかったりする 星雲は、番号で区別される。一般的には「メシエカタログ」または「NGCカタログ(ニュージェネラルカタログ)」が参照される。併記されることも多い。
「メシエカタログ」は、ナポレオンの時代にフランスの天文学者メシエ(Charles Messier)が制作した天体カタログである。星雲や銀河などが収載されている。「M42」のように先頭に「M」を付けた番号で記録されており、「M1」から「M110」まで110の天体が記載されている。
「NGCカタログ」は、19世紀後半にまとめられた天体カタログである。天体観測技術の発展に伴い天体数は「メシエカタログ」より格段に増えており、しかも「NGCカタログ」は現在も更新されている。項目数はすでに1万を優に超えている。
暗黒星雲については「バーナードカタログ」と呼ばれる天体カタログが参照されることが多い。「Barnard 33」のような表記で記載されている。
「星雲」に関連する用語の解説
反射星雲とは
「反射星雲」とは、散光星雲(可視光で観測できる星雲)のうち、周囲の恒星が発する光が星雲に反射して届くことで見えている星雲のことである。M78星雲とは
「M78星雲」とは、「ウルトラマン」をはじめとする一連の特撮ドラマシリーズ(ウルトラシリーズ)において、ウルトラマンたちの故郷として登場する、架空の天体である。ウルトラマンの故郷はM78星雲の中にある「光の国」あるいは「ウルトラの星」と呼ばれる星とされる。地球がある銀河系からは300万光年離れたところに位置するとされる。
メシエカタログにも「M78」の番号が振られた星雲はあるが、これと架空のM78星雲は直接の関係はない。メシエカタログ上の「M78」は、銀河系から1600光年離れたところに位置する星雲である。
「M78星雲」と「星雲」の語まで含めて表記される場合は、もっぱらウルトラマンの故郷である架空の天体を指す語として用いられる。
M87星雲とは
「M87星雲」は、ウルトラマンたちの故郷として登場する架空の天体「M78星雲」の、当初の設定である。もともと「M87星雲」であったが、誤表記がきっかけで「78」の方が採用され定着したといわれている。馬頭星雲とは
「馬頭星雲」は、オリオン座の方角にある暗黒星雲の通称である。暗黒星雲の代表例として広く知られている。地球から馬頭星雲を観測すると、背後に位置する散光星雲「IC434」の光を遮る形となり、馬の首のような形をした馬頭星雲の一部が黒く浮かび上がるように見える。
かに星雲とは
「かに星雲」は、おうし座の方向にある星雲である。超新星爆発によって生まれたとされ、細い繊維がいくつも伸びているように見える。星雲の中央部分には、超新星爆発の名残の中性子星がある。その中性子性は「かにパルサー」と呼ばれ、強いX線を放っている。せい‐うん【星雲】
星雲
作者Yoshihito
収載図書あいから始まるショートストーリー―in other words,I love you
出版社新風舎
刊行年月2005.8
星雲
星雲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/13 15:45 UTC 版)
みずがめ座R星の周りには、二重の構造を持つ星雲が広がっている。星雲は砂時計状の形をしており、長く伸びた軸の方向は、外側の星雲が東西方向に2分程度、内側の星雲は南北方向に1分程度だが、共通の中心がみずがめ座R星にあり、膨張していることもわかっているので、みずがめ座R星から放出された物質によって形成されたと考えられる。星雲の年齢は、外側がおよそ650年、内側がおよそ240年くらいとみられる。 みずがめ座R星周りの星雲は、ミラ型星から放出された物質が白色矮星に降着し、その物質が臨界[要曖昧さ回避]を超えて新星のような爆発を起こしたことで飛散したと考えられる。みずがめ座R星で発生した新星を探す試みもなされており、『明月記』に登場する930年の客星や、1073年或いは1074年に朝鮮で記録された客星が、その候補として挙げられた。しかし、力学的に見積もられた星雲の年齢は、それより若いものになっている。
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星雲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/13 15:38 UTC 版)
おうし座T星の近くに、「ハインドの変光星雲」として知られる反射星雲NGC 1555がある。この星雲は、おうし座T星からの光を散乱して輝いているので、おうし座T星の変光に伴って明るさが変化している。19世紀後半には、20年以上にわたって見えない時期が続き、1890年にバーナードとバーナムが再発見した後も長い間暗かったが、1930年代以降は明るい状態が続いている。 1868年には、オットー・フォン・シュトルーベ(英語版)がNGC 1555の西4分のところに小さな星雲NGC 1554(英語版)を発見した。NGC 1554もおうし座T星に関係があるとされるが、1877年には見えなくなり、「シュトルーベの失われた星雲」と言われる。 NGC 1555の再発見と合わせて、バーナムはおうし座T星自体を包む小さい星雲を発見した。楕円形で見かけの大きさが4秒程度のこの星雲の核心は、ハービッグ・ハロー天体(HH 225)であり、反射星雲ではないとみられる。
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星雲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 07:41 UTC 版)
『星座の書』でアッ・スーフィーは、アンドロメダ銀河の存在についても記録しており、アンドロメダ座の解説の中で、アンドロメダ座からうお座にまたがる2本の星の列の起点に「雲のようなシミ」がある、と記述されている。これが、アンドロメダ銀河に関する最古の記録とみられる。他にも、アッ・スーフィー星団の異名を持つコリンダー399や、ほ座ο星団についても、現存する最古の記録は『星座の書』とみられる。なお、大マゼラン雲を初めて記録したのも『星座の書』といわれているが、『星座の書』の中で大マゼラン雲のある辺りについて解説した記述には、多くの明るい星がある、とあるだけで「雲」とは書かれておらず、アッ・スーフィーが書き残したのは大マゼラン雲ではない可能性が高い。
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星雲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/08 21:34 UTC 版)
おおぐま座BE星の周囲には、見かけの大きさ4分程度の星雲が発見されている。この星雲は、点対称または軸対象に近い形状で、バルマー線や2階電離酸素の禁制線でみえることから、惑星状星雲と考えられ、おおぐま座BE星は惑星状星雲核にも分類されている。
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星雲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 10:38 UTC 版)
冬の夜空に見えるオリオン座のオリオン大星雲(M42)などが比較的観望しやすい。大半の星雲は、微かな光を放っているため、天体望遠鏡や双眼鏡を活用しないと観望はしづらい。
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星雲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/02 05:12 UTC 版)
はくちょう座Q星系の周囲には、小さい円盤状の星雲の存在が報告され、そのために惑星状星雲候補として、ニュージェネラルカタログにも収録された。しかし、後の観測では星雲の特徴がみられず、改定の際に「存在しない」天体とされた。
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星雲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/03 02:57 UTC 版)
星雲は星間ガスが濃く集まり、我々から観測できる状態にある天体である。 散光星雲輝線星雲 反射星雲 暗黒星雲 惑星状星雲 超新星残骸
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星雲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/23 03:56 UTC 版)
1950年、ラドクリフ天文台での観測から、サッカレー(英語版)はりゅうこつ座AG星の周りに楕円形の星雲状構造があることを発見した。この星雲は、この1万年以内に中心星から大規模な質量放出が起きた結果形成されたものと考えられ、平均して70km/sの速さで膨張している。また、楕円の短軸方向に沿って、ジェット状の双極構造があることもわかっている。赤外線では、熱い塵から放射される近赤外線はほとんどみられず、恒星風により一掃されていると考えられるが、より長い波長の赤外線で、低温の塵の分布を調べると、可視光でみた星雲状構造と整合するような殻状の分布を示すが、もう少し円に近い形状をしている。電波でも、同じような分布を示す。 りゅうこつ座AG星を取り巻く星雲の組成を調べると、窒素が過剰に存在し、酸素は欠乏している。この傾向は、内部の核融合反応がCNOサイクルとなっている恒星から放出された物質であることと辻褄が合うが、LBVで予想されるCNO平衡状態を仮定した場合よりも、窒素の過剰も酸素の欠乏も低水準である。これは、りゅうこつ座AG星で大規模な質量放出が起きたのが、まだLBVへ進化する前の段階であったことを示唆する。また、可視光での観測から推定した星雲のガスの質量は、太陽の4.2倍程度である一方、赤外線から見積もった塵の質量は太陽の0.2倍程度となっている。一般的なLBVの星周物質における、ガスと塵の存在比を当てはめると、塵の質量が太陽の0.2倍程度なら、ガスは太陽の15倍程度の質量と予想され、観測から求めたガスの質量との間に矛盾が生じる。このことも、りゅうこつ座AG星で質量放出が起きたのが、LBV段階ではないことの証拠の一つとみられる。
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星雲
出典:『Wiktionary』 (2021/08/07 00:29 UTC 版)
発音(?)
- せ↗ーうん
名詞
関連語
翻訳
- アイルランド語: réaltnéal (ga) 男性
- アラビア語: سَدِيم (ar) (sadīm) 男性
- アラビア語エジプト方言: سديم (arz) (sadīm) 男性
- アルメニア語: միգամածություն (hy)
- イタリア語: nebulosa (it) 女性
- イド語: nebulozo (io)
- インターリングア: nebulosa (ia)
- ウェールズ語: nifiwl (cy) 男性
- ヴォラピュク: silefog (vo)
- ウクライナ語: тума́нність (uk) 女性
- ウルドゥー語: سحابیہ (ur) (sahābi)
- 英語: nebula (en)
- エストニア語: udukogu (et)
- エスペラント: nebulozo (eo)
- オランダ語: nevelvlek (nl) 女性
- カタルーニャ語: nebulosa (ca) 女性
- ガリシア語: nebulosa (gl) 女性
- カンナダ語: ನೀಹಾರಿಕೆ (kn)
- ギリシア語: νεφέλωμα (el) 中性
- グジャラート語: નિહારિકા (gu) 女性, નેબ્યુલા (gu)
- グルジア語: ნისლეულები (ka)
- スウェーデン語: nebulosa (sv)
- スペイン語: nebulosa (es) 女性
- スロヴァキア語: hmlovina (sk) 女性
- スロヴェニア語: meglíca (sl) 女性, nébula (sl) 女性
- セルビア・クロアチア語: маглина (sh) 女性, maglina (sh) 女性, маглица (sh) 女性, maglica (sh) 女性
- タイ語: เนบิวลา (th)
- タガログ語: bigha (tl), ulanag (tl)
- タミル語: நெபுலா (ta)
- チェコ語: mlhovina (cs) 女性
- 中国語:
- 朝鮮語: 성운 (ko)
- デンマーク語: stjernetåge (da) 通性
- ドイツ語: Nebel (de) 男性, Wolke (de) 女性
- トルコ語: nebula (tr)
- ノルウェー語(ブークモール): stjernetåke (no)
- バスク語: nebulosa (eu)
- ハンガリー語: csillagköd (hu), nebula (hu)
- ヒンディー語: नीहारिका (hi) 女性, नॅब्युला (hi)
- フィンランド語: kaasusumu (fi), tähtisumu (fi), nebula (fi)
- フェロー語: stjørnutoka (fo) 女性
- フランス語: nébuleuse (fr)
- ブルガリア語: мъглявина (bg) 女性
- ベトナム語: tinh vân (vi)
- ヘブライ語: עַרְפִילִּית (he) (arfilit) 女性
- ベラルーシ語: тума́ннасць (be) 女性
- ペルシア語: سحابی (fa) (sahâbi)
- ベンガル語: নীহারিকা (bn)
- ポーランド語: mgławica (pl) 女性
- ポルトガル語: nebulosa (pt) 女性
- マケドニア語: маглина (mk) 女性
- マラヤーラム語: നീഹാരിക (ml)
- ラテン語: nebula (la) 女性
- ラトヴィア語: miglājs (lv) 男性
- リトアニア語: ū̃kas (lt) 男性
- ルーマニア語: nebuloasă (ro) 女性
- ロシア語: тума́нность (ru) 女性
「星雲」の例文・使い方・用例・文例
- その星雲はブラックホールに融合した。
- この写真は星雲状態に囲まれた2つの赤い星を示している。
- 私は星雲や星団を観測するために屈折望遠鏡が欲しい。
- 渦巻き星雲.
- 乙女座の星団はアンドロメダ星雲の 16.5 倍も遠い.
- 星雲説
- 銀河(特に我々の銀河系星雲)の、または、銀河(特に我々の銀河系星雲)に関する
- 銀河系外星雲
- 星雲の、に関する、あるいは、に似ているさま
- 太陽系の起源の星雲説
- 太陽系は高熱のガス星雲から現れたという学説
- '銀河系外星雲'は'銀河'の昔の名称である
- かつては惑星をもった1つの恒星と考えられていたが、現在では膨張する電離ガスに包まれた高温の星であるとされている星雲で、そのガスは星の発する強力な放射線によって蛍光性の光を放っている
- 米国の天文学者で、星雲の後退速度がそれらの観察者からの距離で増加する(宇宙が拡大している)ということを発見した(1889年−1953年)
- フランスの数学者、天文学者で、太陽系の起源に関して星雲説を定式化し、確率論を展開した(1749年−1827年)
- 米国の天文学者で、太陽黒点と星雲を調査した(1818年−1889年)
- 渦巻星雲という星雲
- 渦巻き状の星雲
- 蟹星雲にあってパルス状電波を放射している天体
- 宇宙空間にある,原始星雲というガス塊
星雲と同じ種類の言葉
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