ブラックボックス
内部的な仕組みを理解・把握していなくても使用でき、意図した通りの入出力操作ができる装置のこと。内部構造がわからない、再現できないシステム等もブラックボックスといえる。
内部構造を使用者に解析されないように、製作者側が敢えて装置を密閉し、使用者には機能(利用の結果)のみを得られるようにした装置もブラックボックスと呼ばれる。とりわけ兵器などにおいて中核的な技術はブラックボックス化されることが多い。
また、航空機(旅客機)に搭載される、操縦士の会話の記録(ボイスレコーダー)と飛行記録(フライトレコーダー)も、ブラックボックスと呼ばれる。航空機事故では乗員乗客がすべて死亡してしまうケースが多く、自己の手がかりをつかむことが困難となるため、事故当時の状況把握の手段としてブラックボックスが重要視されている。
ブラック‐ボックス【black box】
読み方:ぶらっくぼっくす
1 機能は知られているが、内部構造が不明の装置やシステム。電子回路などで、内部構造を問題にせずに入力と出力、原因と結果だけを扱う場合の、その過程や回路・装置。⇔ホワイトボックス。
2 転じて、処理過程が部外者には不明な仕組みや機構。また、他人が簡単には真似のできない専門的な技術領域。「原価計算は複雑な要素が絡み合って—と化している」
3 航空機のフライトレコーダーやボイスレコーダーのこと。また、そのような装置を保管するための、耐震・耐熱性のある箱のこと。
ブラックボックス
ブラックボックス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/10 15:49 UTC 版)
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ブラックボックス (Black box) とは、内部の動作原理や構造を理解していなくても、外部から見た機能や使い方のみを知っていれば十分に得られる結果を利用する事のできる装置や機構の概念。転じて、内部機構を見ることができないよう密閉された機械装置を指してこう呼ぶ。
概要
一般消費者にとって、今日の工業製品の大半はブラックボックスだと言える。例えばテレビ受像機を例にとると、一般消費者でテレビ受像機の動作原理を理解している人は限られている。さらに、たとえ部品が全て揃っていても、テレビの回路図を読んでテレビ受像機を組み立てられる人は、一般消費者の中では非常にまれな存在だと言える。しかしテレビの電源を入れ、見たい番組にチャンネルを合わせることは幼児でもできる。つまり内容や仕組みを知らないで、その効果を利用しているので、これをブラックボックスという。スマートフォン、タブレット、あるいはパソコンなどのコンピュータも、ほとんどの場合ブラックボックスであるといえる。
反面、テレビ受像機の設計を専門とする技術者にとっては、テレビの内部構造は常識的な知識である。しかし、例えば『原始家族フリントストーン』に登場する「石器テレビ」のように「全く未知の機構によって」たまたまテレビ受像機と同じような動作をする装置は、現用のテレビの構造を知る技術者にとってもブラックボックスである。
また今日では、多くの電子機器がICやLSIといった複数の機能を提供する集積回路(内容は電極で構成された抵抗器やコンデンサーやトランジスタ)が樹脂パッケージによって密封されており、専門の技術者であっても大規模な集積回路の内部動作の詳細を完全に理解している者は限られる。これは集積回路の設計を担当する技術者以外からは内部構造は不明ながら、所定の入力に対して一定の動作を行なう、言い換えれば「内部構造は省みられない」という意味で、ブラックボックスである。
こういった複雑化や高度化に伴うブラックボックス化は、それを扱うユーザーの理解度にもよるが、古くは内部構造が単純であったために、一般ユーザーのうちにも幾許かの知識で修理などが可能であった家電が、利便性の追求や多機能化、あるいはメーカーの差別化戦略にもよって複雑なものとなり、ユーザーはなおのこと電器店でも手に負えなくなっていった経緯に顕著である。
一般的に考えられているブラックボックスの概念は以上のようなものであるが、今日の技術進歩の過程においては様々なものがブラックボックスとなり得る。
技術の変化に伴うブラックボックス化
技術体系の変化に伴って、旧来の技術がブラックボックス化することもある。最も顕著な例としては、日本の電卓(電子式卓上計算機)が挙げられる。
電卓という装置は、ボタンを叩いて計算式を入力し、内部の電子回路の働きによって計算結果を画面に表示する。この装置は1960年代から急速に小型化と低価格化が進んで普及した。このようなコモディティ化が進んだ結果、電卓は利益の少ないありふれた商品となった。そのため、日本の電卓メーカーは1990年代後半からは生産拠点を海外へ移し、さらには開発技術者までも現地で採用するようになり、海外で設計製造することが一般的になった。その結果、電卓よりもはるかに複雑で高機能な電子回路を設計できる技術者は国内にいるのに、電卓のように単純な電子回路を低消費電力や信頼性・低生産コストといった求められる性能・条件を満たして適切に設計できる技術者が、日本国内にいなくなってしまったという話さえ出ている。こうなると日本国内では、電卓はブラックボックス化してしまったと言える。
失われた技術によって作られた機械装置は、ブラックボックスの中でも、特に解析が困難なものである。
ソフトウェアとブラックボックス
なおこの概念は、物理的な機構を持つハードウェアに限らない。初期のマイコンではユーザー自身がソフトウェアを作成していたが、今日のパソコンなどのコンピュータのユーザーは既成のソフトウェアを使用するのが普通であり、使用するソフトウェアの内部を理解していることはまれである。つまり、ソフトウェアに関してもブラックボックス化が進んでいると言える。
これはソフトウェアの開発者についても言える。特に商用のOSやミドルウェアがアプリケーションソフトウェアに機能を提供するために用意しているAPI群は、開発者に対して仕様は公開しているが内部は公開していないのが普通である。ソースコードを公開していないソフトウェアの内部構造は、逆アセンブルという、非常に高度なスキルを持つエンジニアが膨大な手間と労力をかけてのみ達成できる作業によってしか知ることはできない。Windowsのような巨大なソフトウェアの全貌を逆アセンブルすることは到底不可能であるし、商用ソフトウェアは(技術盗用を防ぐ為)使用契約によって逆アセンブルを禁止していることが普通である。
一方でLinuxのようなオープンソースのソフトウェアでは内部構造も公開しているが、その内容は膨大であるためアプリケーションソフトウェアの開発者が理解することは時間的に困難である。そもそもAPIを介してソフトウェアの機能を利用するだけならば、わざわざ内部の詳細を知る必要はない。結局、商用・非商用を問わず、上位のソフトウェアの開発者は、下位のソフトウェアをブラックボックスとして扱っていることに違いはない。
このようなAPI群は、公開された仕様通りに機能する限りは、優れたブラックボックスであると言える。下位のソフトウェアがAPIを介してブラックボックス化されることによって、上位のソフトウェアの開発者は下位のソフトウェアやハードウェアの詳細を理解し、それらを自らの設計に折り込む労苦から解放されるのである。ソフトウェアの発展の歴史とは、このような抽象化の積み重ねの歴史である、と言うこともできる。
逆にそのようなOSやライブラリのAPIが仕様と異なる動作をすると、利用しているソフトウェアにとって非常に根の深いバグの原因になりうる。このようなケースは稀なものではなく、また市場で広く利用されているOSやライブラリのバグを修正することは困難であるから、アプリケーションソフトウェアの開発者はバグを回避してAPIを利用する必要に迫られることもある。
一方でオープンソースのソフトウェアの場合は、アプリケーションソフトウェアの開発者がソースコードを読んで内部構造を理解してバグを修正するという最終手段を取ることは不可能ではない。もっとも現実には、それができるスキルを持つ技術者や、それに必要な時間を割くことのできる開発組織は限られている。
技術・情報・性能の流出を防止するためのブラックボックス化
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2009年3月) |
これまでに述べた、機械の複雑・高度化と簡便な利用を目指した結果として自然にブラックボックス化していったものとは別に、外部の人間に技術を模倣されたり性能を分析されないために意図的に装置の内部を見ることができない様に封印した物もブラックボックスと称する。
特に兵器に多く見られる。最新技術を積め込んだ兵器が敵の手に渡ると模倣されたり対抗手段を講じられたり自軍の情報が漏れたりする事となる。また、敵国に対するブラックボックスだけでなく、輸入した兵器ではその兵器を購入して使用する国に技術を盗まれないためという目的のものもある。また保安管理体制が十分でない国から情報が漏れるのを防ぐためでもある。重要な機器やデータの入ったコンピュータなどに封印が施されたり、自律破壊装置が組み込まれたり、無理やり分解を試みるとデータが消去されるようになっているとされる。
日本でも例外ではなく、米国から導入した自衛隊の飛行機などのレーダー制御装置・ソナー分析システムなどが、輸入後封印されたまま搭載されている。
また、宇宙開発事業団が初期にアメリカから購入したロケットエンジンや装置に頼っていた時期があるが、重要な機器は、購入すると一緒にアメリカのメーカーの技術者がやってきて、日本人が機器を触ったり分解したりしないように監視し、その機器の作業はアメリカ人技術者の手で行う様にされていた。[1]
そのほか、然るべき地位の人間以外には見られないための封印や、修理のための適切な技能を持たない人間が分解しないための封印などもブラックボックスと呼ぶことがある。[要出典]
モデルとしてのブラックボックス
複雑な系のうち、ある部分について、その内部にさらに多くの構成要素があり、それらが複雑な相互の関係を持っていて解析が難しい場合、それらを解析することをあきらめて、その部分全体の入出力だけを考える場合がある。これも一つのブラックボックスである。
例えば、生態系を考える場合、微生物が関わる部分は常に解析が困難である。それを発見すること、同定すること、量を把握すること、それらの働きを把握することのいずれの段階でも大きな困難があるためである。そこで、それらをまとめてしまう扱いが行われる例が多々ある。たとえば池の水を一定量採取し、光を当てたときの酸素発生量をもって植物プランクトンの光合成量を代表させたり、土壌の酸素消費量で土壌微生物の呼吸量としたり、といった方法である。また、栄養段階における微生物の役割を分解者とすることが多いが、実際には寄生性や捕食性などの微生物も多く、すべてを分解者として扱うのは問題が多い。しかし、それらの働きを総合して死んだ有機物を消費分解しているという把握をしたのが「分解者」という表現になるのであって、これもブラックボックス化である。
航空機のブラックボックス
航空機事故調査のために旅客機などに搭載されている、飛行データを記録するフライトレコーダー(FDR,Flight Data Recorder)と操縦室の会話と音声(警告音など)を記録するボイスレコーダー(CVR,Cockpit Voice Recorder)のこと。ブラックボックスの通称は、墜落時の衝撃と熱に耐えるよう、また故意に内容を書き換えるなどして事故原因を隠蔽されないよう、厳重に密閉・封印されていることに由来する。色は黒ではなく、発見しやすいように赤やオレンジの耐熱塗料が塗られている。
関数でのブラックボックス
関数教育の道具として、ブラックボックスが使われることがある。中学校で導入されるときは、1つの入力Xに対し1つの出力yが出るようなもの(1対1対応)を関数として説明する。教具としてのブラックボックス(厚紙または木箱)も存在し、入力(紙またはプラスチック)したものを機械的に裏返して出力している。
脚注
- ^ NHKプロジェクトX~挑戦者たち~ 第55回「激闘・男たちのH2ロケット」前編
関連項目
ブラックボックス
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「赤い光弾ジリオン」の記事における「ブラックボックス」の解説
ジリオンの中枢部品。ジリオンの銃身の機構は人類にも理解可能なものであり、ニュージリオンはその知識をもとに制作された。しかし中枢部品は人類の科学力では分解も分析もできず、動作原理はもちろん目的や機能すらわからない完全なブラックボックスであり、ゆえにジリオンは世界に3挺しか存在しない神秘の銃とされる。
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ブラックボックス(インロウマル)
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「パワーレンジャー・サムライ」の記事における「ブラックボックス(インロウマル)」の解説
初代レッドレンジャーが生み出したとされる魔除けのアイテム。未完成の状態でテンゲンゲートに保管されていた。
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ブラックボックス
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「アーティスト アクロ」の記事における「ブラックボックス」の解説
マルル アーティスト。ラウとのコンビネーションで戦う。物心付いた頃から、ラウと一緒にいた。ラウと共にアクロの秘密基地から日記を奪い、第6の演目『与える女』で、アクロ達と交戦する。デコの魂を奪うがネネにより自身が隙を作ってしまい、ラウが倒されてしまったことで怒りを顕わにした。ネネとスバルの魂を奪って彼に攻撃を加えようとしたが、クラウンに中断されて、ラウを殺してこっちに戻るという命令を受けたが、彼女は拒否する。そして、スバル達の魂を戻し、ラウと三人と一緒にブラックボックスの外に脱出した。 技巧は名称不明。パントマイムで演技したものを実体化させるというもの。武器を実体化させるほか、室内の壁などにドアを実体化させてその中に入ると、誰にも見られることなく、別の場所に実体化させたドアに移動することが可能。また、相手の体に実体化させたドアで、魂を抜き取る事が出来る。相手の魂を自身の体内に入れることで、自分の体を傷つけられると、相手の体にも同じ傷が出来る。その中の一つで「突撃風船(バルーン・チャージ)」は、様々な大きさを変えることが出来る風船を実体化させて飛ばして攻撃する。なお、演技中は常に無言でいる事。そうしないと無効になってしまう。 ラウ アーティスト。両手に手袋をつけている。マルルとのコンビネーションでは自身の技巧で彼女を援護する役割を持つ。ネネによりマルルが隙を作ってしまい、アクロに倒された。マルルと三人と一緒にブラックボックスの外に脱出した。 技巧は「演出効果(ステージ・エフェクト)」。両拳を合わせると、煙や暴風などの効果を発生させる事が出来る。 ブッチー アーティスト。ピエロのような服装を着用している。第1の演目『いけにえの男』でアクロと交戦する。自身がアクロの技巧によって、犠牲になる事を望んでいた。アクロにより服装を素材に扱われて、倒されてしまった。 技巧は自身の負の感情を空中ブランコの形に変化させて、操る「負の空中遊戯(エネルギー・ブランコ)」。他人が触れると拒絶反応を起こす。 エレバス アーティスト。象を模した面を被っている。動物に手を加える技巧を持っていた。フレイルを持っている。演目『猛獣使いの男』で、故意的にはぐれさせたデコと交戦する。自身が手を加えた象に攻撃させていたが、デコが実体化された生物により、吹き飛ばされてしまった。隙を見て彼に攻撃を仕掛けたが、象により制裁を受けた。
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ブラックボックス
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「人類は衰退しました」の記事における「ブラックボックス」の解説
ブリキの箱に何十人もの妖精さんを閉じ込めたもの、妖精さんがはいることで”分からないもの”となるので、光を反射せず黒色をしているためブラックボックスとよばれる。また、ブラックボックスを組み込んだ物は何でも超高性能化されるので一番便利な道具のひとつである。しかし時間が経つと妖精さんは出て行っていまうので効果は失われる。妖精さんによると中の居心地はとても良いとのこと。
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ブラックボックス
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グレッグ・イーガンの作品にあるように、実用的な観点では脳をブラックボックスとして扱い、単に外界からの刺激に対してどう反応するかさえわかれば脳のモデルを構築でき、精神転送が可能という考え方もある。この場合、「自己」とは何かという哲学的問題が生じる。哲学的ゾンビ・中国語の部屋も参照。
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ブラックボックス
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「ドラゴンクエストのモンスター一覧」の記事における「ブラックボックス」の解説
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ブラックボックス
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「エジプト航空804便墜落事故」の記事における「ブラックボックス」の解説
5月22日、エジプト石油省の無人潜水機 (ROV) が捜索に加わった。アブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領はこのROVは水深3,000mでの運用ができると述べた。エジプト民間航空省の主任調査官アイマン・アル=モカデム (Ayman al-Moqadem) によると、このROVはブラックボックスから発信された信号を探知できない。 5月23日、ブラックボックスから発信された信号を探知できるソナーを搭載したフランス海軍所属のデスティエンヌ・ドルヴ級通報艦「アンセーニュ・ド・ヴェソ・ジャクベ」が現場に到着した。「アンセーニュ・ド・ヴェソ・ジャクベ」は最大潜航深度1,000mのROVも搭載しており、このROVはブラックボックスから発信された信号を探知できる。 5月26日、エジプト当局はフランスやイタリアの企業にブラックボックスの捜索への協力を依頼した。水深3,000mで捜索を実施できることを条件とし、その中にはALSEAMARやモーリシャスに拠点を置くディープ・オーシャン・サーチ (Deep Ocean Search) も含まれていた。 フランス航空事故調査局 (BEA) によると、5月27日にフランス海軍所属の測量艦「ラプラス」 (Laplace) がコルシカ島のポルト=ヴェッキオ港を出港し捜索現場へ向かった。「ラプラス」はブラックボックスから発信された信号を探知できるALSEAMARの曳航式ソナー(探知距離4-5km)を3つ搭載していた。6月1日、エジプト民間航空省は「ラプラス」がいずれかのブラックボックスのアンダーウォーター・ロケーター・ビーコンから発信された「ピン」を探知したと報告した。BEAのレミ・ジュティ (Remi Jouty) はこれにより重点的に捜索すべき範囲が判明したと述べた。 エジプト当局はディープ・オーシャン・サーチの調査船「ジョン・レスブリッジ」を借りる契約を結んだ。「ジョン・レスブリッジ」は最大潜航深度6,000mのROVを搭載しており、海底地形図の作成などができる。「ジョン・レスブリッジ」は5月28日にアイリッシュ海を出発し、エジプトのアレクサンドリア港でエジプトおよびフランスの調査官を乗せ、6月9日頃に捜索現場に到着する予定であった。実際にはアレクサンドリアには6月9日に到着し、捜索現場には6月12日に到着した。6月13日、エジプトの事故調査委員会はブラックボックスからの信号が6月24日以降は途絶えるかもしれないと述べた。 6月16日、エジプト当局は「ジョン・レスブリッジ」が水深13,000フィート(約4,000m)でコックピット・ボイス・レコーダー (CVR) を発見したと述べた。CVRは損傷していたがメモリーユニットは無傷で回収され、アレクサンドリアで調査官に引き渡した後、解析のためカイロに移送された。翌6月17日、「ジョン・レスブリッジ」がフライト・データ・レコーダー (FDR) を回収したと発表された。FDRは激しく損傷しており、メモリーユニットを回収したが、エジプト当局は解析を行う前にブラックボックスの修理が必要であると述べた。 6月19日、エジプトの事故調査委員会はエジプト軍の施設でCVRとFDRから無傷で回収されたメモリーユニットの乾燥を完了し、メモリーユニットの電気検査を開始したと述べた。 6月21日、事故調査に当たった職員はCNNにブラックボックスから回収したメモリーチップは2つとも損傷していたと伝えた。ブラックボックスからデータを引き出すことができなかったため、6月23日、エジプトの事故調査委員会はメモリーチップに堆積した塩分を除去するためブラックボックスをフランスのBEAに送ったと述べた。 6月27日、エジプト当局はFDRがBEAの研究所で修理され解析のためカイロに送られたと述べた。同日、パリ検察のスポークスマンはAP通信に、テロを示す証拠はないため事故の予備調査が開始されると述べた。また、検察当局は過失致死の疑いで捜査を開始したと述べた。7月2日には、CVRが修理されカイロに送られたと発表された。
※この「ブラックボックス」の解説は、「エジプト航空804便墜落事故」の解説の一部です。
「ブラックボックス」を含む「エジプト航空804便墜落事故」の記事については、「エジプト航空804便墜落事故」の概要を参照ください。
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