「白銀の墟 玄の月」とは? わかりやすく解説

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「白銀の墟 玄の月」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 08:32 UTC 版)

十二国記」の記事における「「白銀の墟 玄の月」」の解説

一巻 慶国から戴国へ戻った泰麒と斎は、江州の墨陽山降り立つ。ここはかつて山麓に戴国道教の総本山と呼ぶべき道観寺院瑞雲観があったが、阿選の登極疑義唱えたことで誅伐を受け壊滅し以来周辺の里も貧苦に喘いでいた。そういった里の一つである東通りかかった泰麒達は、東の民に阿選が放った残党狩り勘違いされ通りすがり荒民一家巻き込んで襲撃される。ただ武器持っただけの民は、将軍である斎や武人くずれらしき荒民男の敵ではなかったが、退けた思った隙に泰麒が捕らわれてしまう。だが斎の素性気付いていた荒民の男が、泰麒に小刀突きつける若者向かって叫ぶ。「やめてくれ、その方台輔だ!」と。彼の名は項梁、かつての禁軍中軍師帥(2,500人を率い指揮官であった。泰麒を捕らえていた若者も、小刀取り落として平伏する彼の名は去思瑞雲観の道士生き残りであった。 東の民は貧困中にありながら道士達を密かに匿い、道士達は丹薬民間薬)を絶やさぬべく残され知識設備守り続けていた。王も麒麟不在の中で戴を支えてきた人々に泰麒は感謝し、角を失くした自分には麒麟が持つはずの奇蹟の力が無い分、現実的な何かで戴に貢献しなければならない決意述べる。翌日には発つという泰麒と斎に、項梁もとより去思同行申し出る神農丹薬行商人)の酆都案内として加わり、驍宗を探すため5人で文州目指すことになる。手がかりはただ一つ斎が氾王から授かった驍宗の帯の断片けだった。玉鉱に混ざって範へ届いたことから、当時国外へ出荷するほどの採掘が行われていた唯一の鉱山である函養山が疑わしかった江州から文州へ向かう道々で泰麒は困窮する民の姿を目の当たりにし、迫り来る冬を前にして、民を救わなければならないとの思い強くする。そして文州との境を控えた街で、突然項梁連れて一行離れる。天が命じるので自分は行く、時間無駄にせず文州へ向かうようにとの伝言去思から聞かされ斎は、不安を覚えつつも文州南部都市・琳宇に到着する訪ねた道観の浮丘院は、行き場失った荒民押し寄せていた。都講修行者教師)の喜溢は、斎達を十分に支援することはできない抱えている荒民の安全を何よりも優先したい詫び斎はそれで良い応える。 浮丘院の負担軽減のため、斎らは別に拠点設けることにし、酆都神農伝手辿って差配坑夫派遣役)の建中連れてくる。坑夫になる者も多い荒民顔が広いという建中は、斎が探している「主公」は反民ではないかと問うなど用心深い様子見せたが、坑夫向けの借家提供してくれる。家を整えていく斎達のところへ、喜溢が浮丘院にいる荒民の中から手伝い装って6年前の土匪討伐の際に驍宗を目撃していた者を連れてくる。数人から話を聞き、驍宗の傍にいた護衛思しき赤黒い鎧の兵士」が後に誅伐で来た阿選軍の中でも一際残虐な行いをした者であること、赤黒い鎧の兵士密かに一般人らしき男を驍宗に紹介していたこと、軍勢から離れた驍宗が赤黒い鎧の一団引き連れて轍囲あるいは函養山へ向かう山道通り半日後に数を減らした赤黒い鎧の一団だけが反対方向通ったことが判る一方項梁連れた泰麒は、首都鴻基へとまっすぐ向かった敵地飛び込もうとする泰麒を危ぶむ項梁は、「天が命じる」というのは項梁達を説得するための方便であった聞かされ愕然とする。しかし、民を放置する阿選に代わって瑞州侯である自分が民を救わなければならない、また王も王の麾下王宮囚われている可能性があり安否確認可能なら救出しなければならない告げられ殺されないだけの策はあるという泰麒の言葉信じるしかなかった。鴻基到着した泰麒は、門衛向かって堂々と泰麒を名乗り、「新王・阿選」への取り次ぎ求める。項梁のみならず門衛下官狼狽したが、取り敢えず宮城には迎え入れられ虜囚変わらないような扱いながら座所与えられ、平仲という寺人(王や宰輔補佐役)が通ってくるようになる。平仲は泰麒と面識無く高官言われるまま泰麒の世話をするけだったが、かつて典婦功(貴人雑用係)として泰麒の傍にいた浹和という女官連れてくると、浹和が間違いなく泰麒であることを確認する。驍宗に仕えた多く女官離散する中、劣悪な待遇を耐えて宮中止まっていた浹和は、6年間の空白埋めるように甲斐甲斐しく泰麒の世話をする。だが同時に浹和は、天官長・立昌と通じて泰麒の動向報告していた。 二巻 宮城入って数日後、泰麒は内殿召し出され項梁連れて阿選と対面する。泰麒は阿選に、自分を斬り驍宗に背いたことを恨んでいるが、天意の器に過ぎない自分は阿選に王気があることを認めないわけにはいかない、と告げる。冢宰張運は泰麒の言葉を疑うものの、かつての冬官長で現在の太師琅燦は、阿選が泰麒に斬りかかって使令が見逃すようであれば王だろうと提案し、阿選は泰麒に斬撃見舞う。西王母使令預けていた泰麒は身を守る術が無く深手負って頽れる帰還を許すと言い残して阿選は去り駆けつけた黄医(麒麟専属医師)の文遠が、泰麒を手当てすると共に宮中現状を泰麒と項梁に語る。泰麒の令尹側近)・正頼は、国帑(国の資産)を隠匿した罪で拘束され、酷い拷問受けているという。 阿選軍の元幕僚恵棟案内され黄袍館という建物が泰麒の正式な座所になり、生活は不自由なくなったが、張運瑞州侯の権限を泰麒に渡さず恵棟を間に挟んで押し問答が続く。州宰士遜や州六官長は張運腹心で、浅薄な言葉並べるばかりで泰麒の命に従おうとしない恵棟また、泰麒の補佐命じられはしたが正式な地位がなく、何の権限もないまま泰麒と張運板挟みになり苦悩する対す張運たち高官も、王に選ばれた阿選が相変わらずもしようとせず、前例が無いため為すべきことが判らず、困惑するしかない。泰麒は、阿選が登極するためには、二王が立つ現状正常化するため驍宗に禅譲させる必要があると語る。混乱する高官に対して琅燦は、王が玉座にいない現状天の望む事態では無いが、失道には当たらないので驍宗から天命取り上げることはできない故に天は驍宗を禅譲させることが可能な阿選に次王を確約し取引持ちかけているのではないか、と推測述べる。 事態進展しない中、黄袍館は倦怠感包まれていた。いつしか平仲は役目変えられて六寝へ移り文遠医官の徳裕も姿を見せなくなった項梁ですら疲労のためか泰麒の言動振り回されているためか、また館に住み着いた不快な鳴き声のためか、平常心保てないことを自覚していた。そんな折、高官の間で行き詰まった議論へ泰麒の意見求めるため、張運黄袍館を訪れる。泰麒は朝廷から事態を動かす策として、新王・阿選の践祚公表することを提案する同時に張運言葉尻巧みに捉えて言い逃れ封じ士遜罷免恵棟州宰任命することで人事権取り戻す。泰麒から、少なくとも項梁から敵視されていることを感じていた恵棟は、光栄思いつつ控えめに、瑞州人事整えていく。閑職追いやられていた驍宗麾下文官武官召し出され、そして州天官長になる嘉磬が雇っていた私兵という少女耶利項梁と共に泰麒の大僕護衛)になる。一見ただの小娘のようだが、立ち居振る舞いから只者では無いことを項梁見て取る一方文州斎らは、白幟という巡礼者装い建中案内土匪占拠されている函養山へ近付く。土匪領域である岨康という街で、狼藉沙汰巻き込まれ斎らは捕らえられてしまうが、斎の正体見抜いた土匪頭目朽桟は、6年前の乱の不可解さについて説明求めてくる。正当な王が立てば鉱山土匪成り立たないため、権益極力確保しながら合法存在になるため交渉する一環として暴動だと思い義理がある土匪党派協力したものの、時に民や土匪とも戦わされる奇妙な指示振り回され早期に距離を取った朽桟らは生き残った多く党派壊滅したのだという。朽桟斎が函養山周辺捜索することを許し6年前の様子を知る坑夫紹介する坑夫達は、「赭甲」と呼ばれる赤黒い鎧の兵士背中に目が付いているのかと思うほどの凄腕であること、王が消えた頃の函養山は神経質なほど人払いされていたこと、しかし操業再開した時には誰かが穴を掘った形跡や火を使った形跡があったことを語る。 無断密かに石塊掘っていた荒民が驍宗を保護したではないか、そう斎から推測聞いて喜溢が連れてきた荒民は、岨康・琳宇の東で大きな荷を載せた車を曳く集団警戒した様子南東へ向かうのを見たと語る。その近辺の里を巡った斎らは、銀川という里が一見質素だが内実裕福な様子であることを見て取るが、何を隠しているとしてもごまかし方が稚拙すぎ、驍宗を匿っているとは思えなかった。引き返す途中で出会った琳宇の神農・習行は、6年前に運ばれた荷について知っていた。函養山で驕王育てさせていた一対琅玕最高級品の玉)で「篁蔭」と呼ばれたものが、出荷直前落盤埋まっていたのを掘り当てた荒民がいたらしく、密かに至宝奪い合う凄惨な出来事の末、現在は銀川もう一つの里が妙に余裕持っているのだという。本当に篁蔭だったかは判らないが、落盤取り残された玉が稀に見つかることは函養山の坑夫語っており、充分考えられることだった。これ以後、習行の徒弟余沢と、護衛扮していた瑞州右軍旅帥500人を率い指揮官)・静之が、驍宗捜索仲間に加わる。 荒民掘った非合法な石塊売却先として、豪商赴葆葉の噂が耳に入り斎は州都・白琅の郊外にある牙門観という邸へ向かう。葆無鑑札の石を買い取っていることは認めたが、売り手詮索はしていないと言って早々に斎らを追い出す建物外部からの攻撃備えた構造になっていること、金属の精錬など違法行為行っている気配があることなど、相当に後ろ暗い面が感じられたが、驍宗の手がかりは得られなかった。また牙門観を訪ねて以来斎らを監視する男達見え隠れするようになった。葆何を警戒しているのか見定めるため、斎は敢えて気付かないふりをする日増しに寒さ厳しくなる中、習行が気になるの話を伝えに来る。山深くにあり行き来難しいため土匪略奪からも戦乱からも縁遠かった老安という里は、規模比して妙に傷薬需要多かったが、最近になって突然傷薬需要減り代わりに武器調達依頼されたという。老安へも同行したことがある静之が習行と共に武器届け行った後、喜溢が「新王・阿選の践祚」という噂があることを告げる。驍宗が人知れず身罷ったのではないか驚愕した斎は事実確かめようとし、喜溢が鴻基事情に詳しいという石林観を紹介する。白幟を在家信者として保護しているという石林観の末寺訪れると、梳道という道士から「泰麒が阿選を新王に指名した」という噂は確かに存在すること、驍宗が崩じたという噂はないことを聞かされる恨みのある相手でも天命が下れば泰麒に否やはないのでは、と梳道は言いながらも、すべては噂に過ぎない宥めるように告げる。狼狽しながら戻った斎らは、戻ってきた静之から、老安は重傷負った白髪眼の武将を匿っていたが、秋の終わりに亡くなっていたと聞かされる。それは泰麒が姿を消した時期とも近いことから、驍宗である疑惑否定できず、斎も老安を訊ねる武将世話をしていた回生という少年に間に合わなかったことを責められ、しかし遺品見覚えはなく、かといって別人と言い切ることもできない斎は、去思酆都静之に、そして自分に、もし阿選が王だとしても憎み続けるのか、と問う。 三巻 泰麒はひとり六寝に忍び込んで阿選と対面し、民を救うため采配を振るよう要請する。阿選は泰麒の大胆な行動面白がるが、民のために行動することは拒否する張運は泰麒が自分無視して阿選と接触したことに激昂し、泰麒の活動妨害するため士遜内宰として送り込む。しかし士遜愚行は泰麒の評判を落とすことに繋がらず、泰麒が率い瑞州府権威が増すにつれ次第張運権威失われていく。 建中通じて石林観の主座・沐雨招かれ斎らは、石林観に保護されていた回生から、老安で没した武将は驍宗ではなく文州将軍基寮だったと告げられる。また沐雨は、朱旌旅芸人を介して鴻基高官推測される玄管という人物から国府状況伝えられており、「新王阿選」は何者かの欺瞞であると玄管が告げてきたことを斎に語る。そして建中は、自分も白幟であること、白幟とは轍囲の生き残りが函養山周辺で驍宗の足跡探すため巡礼者装ったのであることを明かす沐雨から斎らへの協力要請された浮丘院の監院・如翰は、驍宗が襲撃されたまさにその時函養山にいた浮民の女を斎に紹介する。女は、生き物入っているらしき小屋ほどもある箱を兵士坑道運び込んでいたこと、大規模な落盤起きた直後赤黒い鎧の兵士たちが山を逃げ下ったこと、彼女を含む目撃者捕らえて暴行した兵士の長は阿選軍の卒長(100人を率い下士官)・烏衡であることを語る。帰る女を尾行しようとした牙門観の監視者斎は捕らえ、彼らが阿選に対する反民であることを見て取ると自らの素性明かす監視者こと元文州師の兵卒詳悉荒民の端直は、王師四軍離散したことで慢性的な兵力不足に陥った阿選が、密かに荒民捕らえて兵士数合わせにしていることを語る。彼らを通じて再び斎と面会したは、のような武将決起する時に備えて武器騎獣兵糧備蓄していることを告げ牙門観を自由に利用するよう申し出るまた、協力者である文州冬官長の敦厚が、病んだ州侯官吏言動決起に向け籠絡している兵力について斎に告げる。文州城を攻略できれば阿選に対抗するだけの足掛かり作れると、斎は一歩踏み出せたことを実感する。葆保護されていた禁軍中軍長の夕麗斎らとの連絡役になる。しかし葆敦厚も、驍宗の行方については何の情報もなかった。 平仲や徳裕に続き浹和も病み姿を消したことで、泰麒は再度六寝へ侵入することを考える。項梁とともに泰麒の相談受けた耶利は、「病む」とは似た妖魔・次によって魂魄抜かれることが原因だと語り医官潤達病んでいることも阿選に与していることもあり得ないとして仲間引き入れる妖魔生態に詳しすぎることを訝しむ項梁に、耶利自分が黄黄海生まれ育った民)であることを明かし、驍宗や臥信などが統治軍事に黄知恵借りていたこと、逆に対し知見広げるための支援をし、幾人かは官吏として登用していたこと、琅燦そのうち一人であることを語る。項梁耶利連れて六寝に侵入した泰麒は、牢獄見張り排除し捕らえられていた正頼救出する拷問を受け続けて弱った正頼逃亡拒み牢に残るが、英章行方国帑在処明かし情報託され項梁宮城出奔し英章の下へ向かう。 正頼への拷問単なる虐待成り果てていたことを驍宗の麾下目撃されたことで逆上した阿選は、黄袍館を訪れ泰麒を問い詰め、泰麒が退かないとみるや自分への誓約要求する天意を試さんとする阿選を潤達恵棟制止するが、泰麒は阿選に向かって叩頭する。かつて延王を相手叩頭できないことを身を持って知っていた泰麒は、抵抗意思の力でねじ伏せ血涙流しながらも叩頭してのける。却って敗北感覚えることになった阿選に琅燦は、泰麒の叩頭意思の力でどうにかなることではない、天が許容したのだと語る。 東の琳宇、西の白琅、いずれにも驍宗の足跡が無いことで、斎らは改め周囲の道を検討し建中と喜溢が函養山の北に石林観の修行道があることを思い出す。梳道の案内調査した道は、あまりの険しさ怪我人通れるとは思えなかったが、道を補修した形跡や墓らしき塚の存在から、兵卒この道を通ったことが強く推測された。修行道を抜けて辿り着いた宗教都市・高卓で、偶然顔見知り旅帥出会ったことで、斎は高卓に潜伏していた瑞州左将軍霜元再会する霜元も高卓を起点に驍宗を捜索して何の足跡得られていないことを語るが、どこにも足跡がないことから逆に斎は驍宗の居場所思い至る――驍宗は函養山を動いていない、落盤で山の中に閉じ込められてしまったのだ、と。それを聞いた静之も、如翰に紹介された女の証言思い至る。「断末魔の叫びが山の形を変えるとされる妖魔・貍力を阿選が捕らえて運び込んだのなら、意図的に落盤起こすことが可能である、と。高卓戒壇石林観が土匪支配下の街・西崔とかつての宗教都市・龍渓の道観復興という名目作り朽桟が西崔や周辺の土地提供して人員潜伏できるようにし、函養山を探索して驍宗を救出するため人が集まり始める。霜元麾下反旗を翻した承州師や委州師、牙門観勢が全員揃えば1軍当の人数になり、敦厚籠絡した文州師と連携して文州城を攻略することが可能になると、斎らは期待に胸を膨らませる。 突然阿選が玉座戻り践祚宣言し朝廷指揮し始める。国府風向き変わったことに張運追随できず孤立していく一方、泰麒は項梁変わってやってきた元禁軍左将軍巌趙大僕任じ瑞州陣容を更に厚くする。驍宗を手の内収めるため函養山を掘削するよう禁軍右将軍友尚命じた阿選は、案内として烏衡付け土匪掘削協力させた上で驍宗確保後には口封じするよう命じ非道下命友尚驚愕する。そして友尚派遣されたことで、阿選が驍宗を虜囚にし戴を苦難に陥れたことが明白になり、阿選の麾下として国を救うために働きたかった恵棟がついに阿選からの離反を口にする。泰麒は辞職申し出た恵棟真実語り、驍宗を救うために慰留する。 四巻 泰麒の妨害失敗し続けた士遜思い余って国官に直接泰麒を襲撃させて撃退され逮捕され士遜自白から黒幕として張運拘束される張運側近だった冢宰補の案作が、疑惑持たれながらも粛々と冢宰代行務めるが、裏で案作は阿選に接近していく。1師(2,500兵)を率いて文州向かった友尚支援させるため、病んだ文州侯を挿げ替えることになり、泰麒は高官根回しをして恵棟推薦させ密かに斎らを支援させようとするが、案作はこの提案乗った上で恵棟を泰麒から引き離すよう阿選に吹き込む新州侯として文州へ向かう恵棟に、次避け呪符手放さないよう耶利忠告するが、その呪符効力は阿選によって失わされていた。 潜伏していた兵卒次第集まって、西崔は俄に活気づく道観復興のための職人商人荒民なども寄りつくようになり、驍宗を救おうとする者は識別のために酆都発案した薄墨一本線引いた白幟」を掲げることにし、いつしか「墨幟」と呼ばれるうになる。そんな時、函養山を目指す友尚軍と朽桟土匪衝突する朽桟女子供逃げ時間を稼ぐために地の利活かして対抗する友尚最終的に土匪口封じする命令気が進まないため、積極的な攻勢控えて慎重な戦い徹する膠着し戦線嫌気差した烏衡は赭甲を率いて無断出撃し、廃村隠れていた女子供見付けて虐殺始めるが、襤褸を纏った異様な風体の男の反撃で赭甲は全滅する烏衡一人逃げながら、賓満憑きを容易く倒すその男太刀筋を、7年前にすぐ傍で見たことがある思い出す。 斎が朽桟協力体制作った経緯知らない霜元らは、土匪救援することに拒否感を露わにするが、斎らの必死説得に応じて出撃する。承州に潜伏していた斎軍の師帥・泓宏が折良く到着し挟み撃ちになったこともあり、想定外大勢力に包囲され友尚軍は壊滅し大半捕虜になる。そして襤褸を纏った男も拘束されるが、斎・霜元その男持っていた剣が驍宗の剣・寒玉であることに気付く。7年ぶりに驍宗と再会し斎も霜元麾下達も泣き崩れる。驍宗は函養山の縦坑の底に閉じ込められた後、地下水脈時折流れてくる供物食いつなぎ、暗闇の中で自力脱出のための努力続け裂け目遭遇した騶虞をかつて黄海学んだ騎獣狩りの術を用いて捕らえ脱出してきたのだった。驍宗が戻ったことで諸国支援求めることが可能になり、斎らは勝利を確信する斎を筆頭とする少数護衛と共に驍宗は雁国を目指し途中で江州の東を通るため去思酆都同行する捕虜になった友尚は、斎が自らの存在露見する危険を冒しながらも土匪との義理果たしたことを聞き土匪掘削協力させた上で口封じする命令受けた自分と違い嘆息して捕虜全員で阿選を見捨て墨幟に下ることを決断する友尚から宮城現状聞いた霜元は、正頼接触し出奔した項梁が、臥信が持つ国帑在処聞き出して英章の下へ向かった思い至る。驍宗麾下最大兵力維持している筈の英章国帑手に入れ臥信とともに墨幟へ加われば、墨幟、戒壇勢、牙門観勢、承州師、委州師に敦厚籠絡している文州師と合わせて4軍相当で、阿選と正面から対決可能なところまで到達することに気付き霜元ですら呆然とする。 ところが、鴻基から空行師が出撃したとの知らせが玄管から届けられたことで、事態一変する烏衡鴻基戻って驍宗の存在を阿選に報告し途中の里で驍宗を見た者の通報によって進路割れたのだった霜元急遽援軍送ったが既に遅く、驍宗は捕らえられ護衛斎と泓宏を除き全滅する酆都殺害され去思は驍宗の手で逃がされたが行不明になる。驍宗は厚い兵力取り囲まれ護送され取り戻そう攻撃した墨幟は反撃壊滅する新し文州侯は泰麒の信認篤い聞いた敦厚は、文州侯が味方になるのではないか望み繋いだが、白琅に到着した恵棟は既に病んでおり、前の文州侯と同じ虚ろな目で反民の掃討命じる。 鴻基でも嘉磬を始めとする泰麒が任じた高官が罪を捏造されて処刑され巌趙耶利潤達残して泰麒が作り上げた勢力瓦解する正式に冢宰になった案作が阿選に入れ知恵し、8年前に驍宗が登極したこと自体が阿選からの簒奪であったとの虚辞公表する。そして激昂した民を手勢煽動して刑場投石させ、民の手で驍宗を殺害させることを目論む。玄管から処刑予定知らされ斎・霜元らは、最早驍宗を救うことはできないが、せめて汚辱塗れ処刑ではなく戦死させたいと、少人数で民に紛れて刑場に行くことを決める。泰麒も驍宗を救うことはできない認め、せめて刑場駆けつけて驍宗の下で跪拝し、驍宗と共に討たれることを決意する運命の日鴻基は余州から集めた大量の兵で厳重に警備され興奮した民が宮殿招き入れられる。民とその中に紛れ斎らの前で、そして惨劇の場だというのに同席強要された泰麒が正殿から見つめる前で、驍宗が引き出されて刑台に拘束される辛抱ならず飛び出そうとする者を斎らが抑えているその時正殿で泰麒が護衛兵卒から剣を奪って殺害する。「麒麟が人を殺す」というあり得ない事態護衛全員茫然自失する中、耶利だけが動いて兵卒切り捨て、泰麒を刑台まで導く。正殿混乱起こったことを見て取った斎らも動き、刑台の周辺乱戦になる。泰麒は耶利斎に守られながら自ら兵卒切り開き、驍宗の下へ辿り着く拘束解かれた驍宗が泰麒と対面した時、泰麒は獣形転変する――7年前に阿選に斬られ、蓬莱病んだため癒えることがなかった角が、いつしか癒えていたことを味方にも隠していたのだった麒麟現れたことで民にも驍宗こそ王であることが明らかになり、一方で阿選に逆らう者が出たことでこの場にいる全員虐殺されると民が恐慌陥る激し混乱の中で驍宗・泰麒と共に脱出試み斎・霜元らは、駆けつけるかつての麾下達を吸収しながら午門到ると、そこで門を攻めていた英章軍・臥信軍と合流する項梁から泰麒と斎の状況伝えられ英章らは、文州での合流が間に合わず驍宗が奪われたと知ると、阿選が鴻基に兵を集めたためがら空きになった江州城を陥落させていた。また、驍宗によって逃がされた去思臥信保護されており、去思からの情報で既に雁国から特使――延王・延本人招いていた。江州城に辿り着いた驍宗は即座に延王へ支援要請し、延王は諸国全面支援約束する。穢瘁に塗れた泰麒も蓬山で再び西王母清められ預けていた使令返還される。戴はあるべき姿戻り始めようとしていた。 江州城には墨幟の仲間の他、阿選に反した将軍潜伏していた驍宗の麾下巌趙救出され正頼などが続々集まり斎は慶国へ赴く際に別れた友人花影再会する。だが同時にこれまでの戦いで失われた多く仲間のことが思い出された。去思目の前で酆都死んだという心の傷抱え同時に目に見えないところで姿を消した静之朽桟余沢・梳道・夕麗といった仲間に対して傷付くことすらできない思い抱える。項梁軍人としてずっとこのような経験をしてきたのだと知った去思に、瑞雲観の法統を守るのが去思戦いだ項梁語り自分も東残してきた家族のために生き残る約束する

※この「「白銀の墟 玄の月」」の解説は、「十二国記」の解説の一部です。
「「白銀の墟 玄の月」」を含む「十二国記」の記事については、「十二国記」の概要を参照ください。

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