ビル・ジョイ
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サン以降
サン退職前の1999年、ジョイはサンの同僚アンディ・ベクトルシャイムらと共にベンチャーキャピタル HighBAR Ventures を創業している。2005年1月、クライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズ(KPCB。GoogleやAmazon.com等に出資していることで有名な米国の名門ベンチャーキャピタル)のパートナーに就任。主に再生可能エネルギー関連の新技術や起業家の発掘、支援に携わる[8]。彼は「私の方法は、よいアイデアと思われるものを見て、それが本当だと仮定することだ」と述べたことがある[9]。2011年、コンピュータ歴史博物館のフェローに選ばれた。
テクノロジーへの懸念
2000年にはWIRED誌の4月号にWhy the future doesn't need us(何故未来は我々を必要としないのか)というエッセイを発表し、「ロボット工学や遺伝子工学、ナノテクノロジーといった21世紀の強力なテクノロジーが、人類の存在を脅かす」という警鐘を鳴らした。彼は近い将来、知的ロボットが人類に取って代わるだろうと主張。GNR (Genetics, Nanotechnology, robotics) テクノロジーについて、GNRを悪用しようとする側とそれを防ごうとする側で軍備拡張競争のような状態になるよりも、GNRテクノロジーそのものを放棄すべきだと主張している。ジョイの主張の多くについて、レイ・カーツワイル[10]や他の者[11][12]が反論している。
技術的特異点の提唱者であるレイ・カーツワイルとのテクノロジーについての議論で、ジョイの考え方が形成されていった。彼はエッセイの中で、その会話中まじめな科学者らがそのような事態が起こりうると考えていることに驚き、さらに不測の事態への備えがほとんど考慮されていないことに驚いたと記している。この話を何人かの知人にしたところ、多くの人がそのような未来がありうると考えたものの、ジョイが感じているような重大な懸念に誰も共感しなかったことでさらに驚かされたという。その懸念から彼はこの問題を深く考察し、科学界における考え方を調査し、現在の活動を始めるに至った。
それでも彼はベンチャー投資家であり、GNRテクノロジーへの投資も検討しないわけにはいかない。また、H5N1鳥インフルエンザや生物兵器などによるパンデミックの危険性に対処するベンチャー基金を立ち上げている。
- ^ 『Life with UNIX』邦訳版 p. 350
- ^ “UC Berkeley Online Tour: Famous Alumni”. 2010年5月27日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2010年7月1日閲覧。
- ^ G.アンダーソン、P.アンダーソン 著、落合 浩一郎、大木敦雄 訳 『UNIX C SHELL フィールドガイド』パーソナルメディア株式会社、1987年10月15日、xii頁頁。ISBN 4-89362-029-0。
- ^ Bill Joy's greatest gift to man – the vi editor, The Register
- ^ BSD Unix: Power to the people, from the code - Salon.com
- ^ 『サン・マイクロシステムズ』(ISBN 4-7561-0070-8)p. 30
- ^ 『サン・マイクロシステムズ』(ISBN 4-7561-0070-8)p. 93
- ^ Bill Joy on Green Tech, Sun's downfall, Microsoft's prospects (Q&A) May 2010
- ^ Shirky: A Group Is Its Own Worst Enemy
- ^ Ray Kurzweil, Are We Becoming an Endangered Species? Technology and Ethics in the Twenty First Century, November 20, 2001.
- ^ Tihamer Toth-Fejel, Why the future needs Bill Joy, May 20, 2000,
- ^ Catherine Borden, The Money Issue Letter to the Editor, The New York Times,
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