クラウドソーシング 現状と問題点

クラウドソーシング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/21 14:55 UTC 版)

現状と問題点

これまで、能力はありながら、地方在住者等で地域的、時間的、年齢的等の制約により都市部での企業での勤務が困難であった者にも機会が提供されるようになった。 その反面、面識の無い不特定多数と成果報酬形式で取引するため、達成率の数値化の困難な依頼内容によっては発注者、業務受託者間で認識の相違があり、係争に発展するリスクがあり、顕在化する事例も報告されている。また、それに伴い、新たな内職商法による被害も報告されており、注意の喚起が行われている。[12]

労働力の買い叩き

クラウドソーシングにはWEB記事の執筆のような「1文字0.1~0.5円程度の安価な案件」が多数掲載されている[13]。中には「1文字0.1円」など、雇用に置き換えた場合、ほぼ確実に最低賃金水準を下回る報酬しか得られない案件も掲載されている[13]。クラウドソーシングの登場で労働力の買い叩きが構造化していったという指摘がある[14]。20万円超を稼げるのは8000人に1人程度という計算もある[14]

ランサーズとクラウドワークスを当時利用していたフリーランスのWEBライターは2019年の取材に「毎日休むことなく働いても、(クラウドソーシング側への)手数料を支払った後で手元に残るのは、毎月15万円から20万円くらい。執筆本数ですか? 毎月50本くらいです」と述べた[13]。クラウドソーシングが「発注者と受注者は対等でないから、『1文字0.1円』『名ばかり事業主』などが横行する」温床となっているという指摘がある[13]

ステルスマーケティング広告の発注

映画の口コミサイトでは、上映初日からレビュワーの評価がすべて星5が書き込まれる明らかなサクラレビューが載ること度々指摘されている[15]。またAmazon楽天市場Google マップなどで、サクラとして商品や飲食店などに高評価な口コミを書き込む行為が、クラウドソーシングサイトで売買されているという指摘がある[16]

映画のサクラレビューは配給会社から発注を受けたPR会社が、次の下請けのSNSプロモーション会社に発注し、最終的にレビューを書いているのはランサーズやクラウドワークスなどに登録した人たちだといわれる[15]。サクラレビューは数十円単位の仕事を主婦にやらせて、それを元締めが数百円で売り、PR会社が数万円の仕事にする「貧者のビジネス」という指摘がある[15]。また個人のブログを装いながら、記述内容をクラウドソーシングに発注してそのまま掲載し、アフィリエイトを稼ぐ形も指摘されている[15]

ステルスマーケティングの発注について、ランサーズは原則禁止しており、「ステルスマーケティングに類する違反チェックを従来よりおこなって(中略)不適切と判断した案件については掲載を即時中断[17]」、「口コミの内容を指定するのはモラルに反するため、『依頼ガイドライン』に即して対処している[16]」とコメントしている。

保守系政治ブログ記事作成依頼問題

クラウドワークスでブログ記事作成依頼が一件800円であったが、その内容が「共産党に票を入れる人は反日」というブログ記事を書くという案件だった[18]。また他にも保守(反民進・嫌韓)系まとめブログサイトの運営管理、政治・芸能系時事ネタ動画を作成などの案件もあった[10]。 これらの案件がネット上で話題となるとクラウドワークス側は該当案件を削除し差別や政治系案件の対応を強化すると発表した[11]


  1. ^ ウィキノミクス
  2. ^ Safire, William (2009年2月5日). “On Language”. New York Times Magazine. http://www.nytimes.com/2009/02/08/magazine/08wwln-safire-t.html?_r=3&ref=magazine& 2013年5月19日閲覧。 
  3. ^ Howe, Jeff (2006年6月2日). “Crowdsourcing: A Definition”. Crowdsourcing Blog. 2013年1月2日閲覧。
  4. ^ Brabham, Daren (2008), “Crowdsourcing as a Model for Problem Solving: An Introduction and Cases” (PDF), Convergence: The International Journal of Research into New Media Technologies 14 (1): 75–90, doi:10.1177/1354856507084420, http://www.clickadvisor.com/downloads/Brabham_Crowdsourcing_Problem_Solving.pdf 
  5. ^ Howe, Jeff (2006年). “The Rise of Crowdsourcing”. Wired. http://www.wired.com/wired/archive/14.06/crowds.html 
  6. ^ a b Estellés-Arolas, Enrique; González-Ladrón-de-Guevara, Fernando (2012), “Towards an Integrated Crowdsourcing Definition” (PDF), Journal of Information Science 38 (2): 189–200, doi:10.1177/0165551512437638, http://www.crowdsourcing-blog.org/wp-content/uploads/2012/02/Towards-an-integrated-crowdsourcing-definition-Estell%C3%A9s-Gonz%C3%A1lez.pdf 
  7. ^ Claypole, Maurice (2012年2月14日). “Learning through crowdsourcing is deaf to the language challenge”. The Guardian (London). http://www.guardian.co.uk/education/2012/feb/14/web-translation-fails-learners 
  8. ^ Whitford, David (2010年1月8日). “Crowd Sourcing Turns Business On Its Head”. CNN. http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=93495217 2012年2月27日閲覧。 
  9. ^ a b c 比嘉邦彦「情報による新しい労働形態」『第三の産業革命』2015年 pp.181-190
  10. ^ a b 野党を叩き嫌韓を煽るブログ記事やYouTube動画、1本数十円のクラウドソーシングで大量生産されていた
  11. ^ a b 政治系ブログ記事作成案件の掲載中断に関しまして
  12. ^ 内職商法には気をつけよう, http://smany.jp/1011 
  13. ^ a b c d クラウドソーシングで生活する「若者の実情」(東洋経済) 2019.
  14. ^ a b 2020.
  15. ^ a b c d 2019.
  16. ^ a b 買われたクチコミ。Googleマップ、Amazon、楽天で横行か。 温床になっていたのは(BuzzFeed Japan) 2020.
  17. ^ 一部ソーシャルメディアでの発信について(ランサーズ) 2020.
  18. ^ クラウドワークスで「共産党に票を入れる人は反日」ブログ記事作成依頼、掲載中止に


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