メディア帝国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 03:46 UTC 版)
「ロバート・マクスウェル」の記事における「メディア帝国」の解説
マクスウェルはかねてから自らの政治的影響力をメディアを通じて強めるため、新聞社をもちたいと考えていた。1969年にはニュース・オブ・ザ・ワールド紙の買収に乗り出したがオーストラリア出身のルパート・マードックが最終的に競り勝ち同紙を手にした。ニュース・オブ・ザ・ワールドを巡る買収戦争は激烈で、後にマクスウェルは、自らが何か月もフェアな戦いをしたにもかかわらずマードックが最後に同紙を横取りしたことに不満を感じたと述べているが、マードックは単に同紙の株主がオーストラリアでのマードックの実績を評価してくれただけだと述べている。この後、マードックはイギリス新聞界におけるマクスウェルの宿敵となる。 1970年にはマクスウェルはタックス・ヘイヴンであるリヒテンシュタインに「マクスウェル財団」(Maxwell Foundation)を設けている。1974年には一旦手放したペルガモン・プレスを再度獲得し、1981年にはペルガモンを通じて印刷会社ブリティッシュ・プリンティング(British Printing Corporation, BPC)を買収しブリティッシュ・プリンティング・アンド・コミュニケーション(British Printing and Communication Corporation, BPCC)へと変えた(この会社は後に売却され現在はポールスター Polestar と称している)。1984年にはペルガモンを通じて情報大手リード・インターナショナル(現在のリード・エルゼビア)から労働党寄りのデイリー・ミラーなど多数の新聞を発行するミラー・グループ・ニュースペーパーズをついに買収、さらに英米の出版大手マクミラン(Macmillan publishing)のアメリカ会社をも買収した。 こうして1980年代にマクスウェルはメディア・コングロマリットを築き、デイリー・ミラー(Daily Mirror)、サンデー・ミラー(Sunday Mirror)、サンデー・メール(Sunday Mail)、スコティッシュ・デイリー・レコード(Scottish Daily Record)など新聞多数、ペルガモン・プレス(Pergamon Press)、ニンバス・レコーズ(Nimbus Records)、クーリエ・ブックス(Collier books)、マクスウェル・ディレクトリーズ(Maxwell Directories)、プレンティス・ホール・インフォメーションサービス(Prentice Hall Information Services)、マクミラン(Macmillan (US) publishing)など出版社多数、さらに語学教育のベルリッツ(Berlitz)なども傘下に収めた。さらにヨーロッパにおけるMTVの所有権の半分、マクスウェル・ケーブルTV(Maxwell Cable TV)やマクスウェル・エンターテインメント(Maxwell Entertainment)などヨーロッパでのテレビ事業も持っていた。1987年には雑誌大手のIPCメディア(IPC Media)からコミック部門を買収し漫画出版社フリートウェイ(Fleetway)を設立した。 マクスウェルは高度に専門化された科学に関する情報を広く伝える科学出版事業での先駆者でもあり、科学に対する社会からの需要の増大に応えていた。しかしマクスウェルをはじめとする学術雑誌の出版業者が設定している購読料は、1970年代以降、イギリス各地の大学や図書館からあまりにも高額であると批判された。マクスウェルはまた東欧の共産主義政権とも強いつながりがあり、当時の指導者たちの伝記をイギリスで出版したほか、彼らに対する媚びたようなインタビュー記事も多数製作していた。オックスフォード・ユナイテッドFCのオーナーでもあり、1986年のフットボールリーグカップでは優勝に導いている。1987年にはダービー・カウンティFCも買収したほか、1984年にはマンチェスター・ユナイテッドFCの買収にも取り掛かったが、オーナーのマーティン・エドワーズの提示した額を払うのを拒んだため買収はならなかった。
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