TownsOS
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 05:32 UTC 版)
TOWNSには標準のオペレーティングシステムとしてTownsOSが用意された。「32ビットシングルタスク」と称しており、当時の他機種ではi386など32ビットマイクロプロセッサを積んでいても活用されていることが少なかった32ビットモードを、DOSエクステンダで活用するものだった。PC-98などではユーザが各自に環境を設定するものであったためトラブルなども多かった点で、標準として用意し安定して活用できるものとした点に大きな意義があった。TownsOSには大きく分けて初代TOWNSからのV1.1、TOWNS IIから付属したV2.1の2系統のバージョンがあった。V1.1にはL10 - L30、V2.1にはL10 - L50・L51のマイナーバージョン(Lはレベル)があり、毎年のようにアップデートされていた。 TownsOSの基本構造は、ROM化して本体に内蔵されたMS-DOS 3.1本体およびCD-ROMドライバのMSCDEX.EXE、それに32ビットプロテクトモードでアプリケーションを起動させる「386|DOS-Extender」(RUN386.EXE)を組み合わせたものだった。また、BIOSや各種デバイスドライバに相当する「TBIOS」により、グラフィック系機能、サウンド機能、CD-ROMアクセス/CD音再生機能、マウス/ジョイスティックなどFM TOWNSのハードウェアまわりの機能が利用できた。また、ゲームソフトの組み込み用として、TBIOS互換の「VINGBIOS」、「AYABIOS」などがあった。 なおROMで内蔵のMS-DOSにはCOMMAND.COMに相当するシェルプログラムが内蔵されているがテキスト表示はサポートされておらず、コマンドプロンプトなどを使用するにはFM TOWNS専用版のMS-DOSを購入するか、TownsOSやF-BASIC386などに付属するコンソール表示ソフト、もしくはフリーソフトを使用する必要があった。この点はTownsOS V2.1において標準でテキスト表示がサポートされたことで解消された。 TownsOSにはTownsMENUと呼ばれるファイラとランチャを兼ね備えたメニューアプリケーションが搭載され、ここからアプリケーションの起動やシステムの設定などの多くの操作を行うことができた。TownsMENUから本体の電源を自動的に切断することも可能。当初のV1.1ではドライブごとに分かれたタブ型のメニューだったが、V2.1ではマルチウィンドウタイプに大きく変更され、またL30からはTownsSHELLによりノンプリエンプティブなマルチタスクにも対応した(マルチタスクアプリの拡張子は.EXG)。 TownsOSは一部の機能(システムの設定など)を省いたサブセット版が、アプリケーションなどのCD-ROMに組み込まれていることが多かった。この場合、CD-ROMから直接TownsOSの起動ができるため、フロッピーディスクやハードディスクなしでアプリケーションの利用が可能だった。 TownsOS V2.1のL40以降では、HDDにインストールしたMS-DOS 6.2(別売)をTownsOSのベースとすることが可能になった。これにより、圧縮ドライブなどの機能も利用できるようになった。 TownsMENUやアプリケーションなどの操作環境の多くはGUIだった。初期の段階では、アプリケーションごとのGUI仕様は統一されておらず開発者任せであったが、後に標準的なGUIの仕様ができ、純正のGUIライブラリも発売された。
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