TTLダイレクト測光
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 21:23 UTC 版)
「オリンパスOMシステム」の記事における「TTLダイレクト測光」の解説
オリンパスOM-2が発売されるより前の自動露出一眼レフカメラには、記憶式のTTL測光が使われていた。この装置はあらかじめ被写体の明るさを測りその露出値を記憶、シャッターを押すと同時にそのままの露出で撮影するものであった。しかしこの方式は、モータードライブ等を使用した連写の場合「最初の1コマ目」の露出を記憶してその後も撮影を続けるため「日なた⇔日陰」といった光線状態の変化には対応できず、さらに「撮影前に光量を予測する」事自体が不可能なフラッシュバルブやストロボを使用した撮影の際には当然適用外となる。よってストロボ装置では外光式オートといってフラッシュ側に付いた受光部より光量を調節していた。これは予めこちら側もフィルム感度をセットする必要性や撮影距離によって使える絞りが限られる、レンズ交換による測光条件の違いには対応できないなどの制約が多かった。 オリンパスOM-2で採用されたTTLダイレクト測光は記憶装置を用いず直接フィルム面からの反射光、また高速シャッター時はシャッター幕に描かれた白黒の不規則なドットで標準反射率を構成する「ランダム・パターン」と呼ばれる模様を、ボディ下部に置いた受光器を用いて測光するので連写中も全てのコマで露出制御が行え、フラッシュ光も絞り値や撮影距離に制約されず実際に使用しているレンズを通してボディ側での制御が可能となった。またミラー上昇時(=シャッター作動時)はファインダーからの逆入する光は塞がれるので、セルフタイマー撮影時などこの光にも影響を受けないというメリットもある。これら数々の特長は当時としては画期的な出来事であり、のちに各社カメラがこの方式を導入するに至った。 この測光方式の欠点として、フィルム面の反射率の、メーカーやカラー・白黒などの方式による違いが大きい場合、測定値に差異が生じ露出精度に問題が出る。しかし、設計陣が世界からフィルムを買い集め、実測した結果0.1EVの範囲と確認され採用されており、通常の撮影では概ね安定した露出精度を出す測光システムとなっている。 但し、オリンパスOM-2・2N及びOM2ケタシリーズの固有の欠点して、AE撮影時においてシャッターを切る直前までのファインダーに表示されるシャッター速度指針の測光回路はペンタプリズムに設けられたセンサーを使用し、実際の露光時には上述の通り「ダイレクト測光」による露出制御が行われていたため、ファインダー表示が異なる回路による「近似値」でしかなかった。なおオリンパスOM-4以降の機種はサブミラーを組み合わせてセンサーの統一がなされるよう改良され、この欠点は解消された。
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