Pollard scriptとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > Pollard scriptの意味・解説 

ポラード文字

(Pollard script から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/05 17:40 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
この項目には、一部のコンピュータや閲覧ソフトで表示できない文字が含まれています詳細
ポラード文字
ポラード文字の本(雲南民族博物館)
類型: アブギダ (アルファベットの要素も持つ)
言語: ミャオ語
発明者: サミュエル・ポラード
時期: 1936年頃から現在まで
Unicode範囲: U+16F00..U+16F9F
ISO 15924 コード: Plrd
注意: このページはUnicodeで書かれた国際音声記号 (IPA) を含む場合があります。

ポラード文字は、ミャオ語の一種である A-Hmao(大花苗)の言語(現代中国式の呼び方では苗語西部方言のうちの「滇東北次方言」)を表記するために作られた文字体系である。20世紀はじめにメソジスト宣教師サミュエル・ポラード英語版によって発明され、数回にわたって改訂された。1936年にポラード文字で書かれた新約聖書の翻訳が出版されて、このときに正書法が定まった[1]

左から右へ書かれ、母音はダイアクリティカルマークとして子音に付属して小さく書かれる。

構造

ポラード文字では頭子音を表わす文字のみが大きく書かれる。24文字の単純子音字があり、8文字の前鼻音化子音は子音字の前に n を表す字を前置する。帯気音は無気音の字の右肩に記号を加えることで表す。また無声鼻音は有声鼻音の字に記号を加えることで表す。いくつかの文字(S, T, V, L など)は、ラテン文字によく似ている。

母音は16種類のダイアクリティカルマークによって示されるが、その置かれる位置によって声調を表現する。たとえば、西部ミャオ語では母音のダイアクリティカルマークを子音文字の上に置くと音節が高声調であることを示し、右下に置くと低声調であることを示す。しかし、ミャオ語の声調が8種類あるのに対し、ポラード文字では4種類の声調しか区別できない[2]

歴史

コーンウォール出身のサミュエル・ポラードは貴州省石門坎(今の威寧イ族回族ミャオ族自治県)でミャオ族に対して宣教活動を行っていたが、ミャオ族が文字を持たないことが問題になった。ポラードはジェームズ・エヴァンズがクリー語のためにクリー音節文字を作ったことに影響されて、A-Hmaoのために音節文字を作った[1]。ポラードは1915年に没したが、ミャオ族には古代に固有の文字を持っていたが後に失ったという伝承があり、ポラード文字はその後も古代文字の再来として熱心に習得された[1]

中華人民共和国は1950年代にピン音風のラテン文字による正書法(新苗文)を制定したが、ほとんど普及しなかった。1980年代にはポラード文字を改良した新しい正書法を制定した[3]

中国国外のミャオ族はポラード文字ではなく、ラテン文字を使った RPA表記 (Romanized Popular Alphabet) などの正書法を使う傾向にある。

Unicode

1997年、ポラード文字はアップルコンピュータのジョン・ジェンキンズによってUnicodeへの収録が提案された[1]。 その後、2012年のUnicode 6.1で追加多言語面 (SMP) の U+16F00 以下に追加された[4]

Miao[5]
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+16F0x 𖼀 𖼁 𖼂 𖼃 𖼄 𖼅 𖼆 𖼇 𖼈 𖼉 𖼊 𖼋 𖼌 𖼍 𖼎 𖼏
U+16F1x 𖼐 𖼑 𖼒 𖼓 𖼔 𖼕 𖼖 𖼗 𖼘 𖼙 𖼚 𖼛 𖼜 𖼝 𖼞 𖼟
U+16F2x 𖼠 𖼡 𖼢 𖼣 𖼤 𖼥 𖼦 𖼧 𖼨 𖼩 𖼪 𖼫 𖼬 𖼭 𖼮 𖼯
U+16F3x 𖼰 𖼱 𖼲 𖼳 𖼴 𖼵 𖼶 𖼷 𖼸 𖼹 𖼺 𖼻 𖼼 𖼽 𖼾 𖼿
U+16F4x 𖽀 𖽁 𖽂 𖽃 𖽄
U+16F5x 𖽐  𖽑  𖽒  𖽓  𖽔  𖽕  𖽖  𖽗  𖽘  𖽙  𖽚  𖽛  𖽜  𖽝  𖽞  𖽟
U+16F6x  𖽠  𖽡  𖽢  𖽣  𖽤  𖽥  𖽦  𖽧  𖽨  𖽩  𖽪  𖽫  𖽬  𖽭  𖽮  𖽯
U+16F7x  𖽰  𖽱  𖽲  𖽳  𖽴  𖽵  𖽶  𖽷  𖽸  𖽹  𖽺  𖽻  𖽼  𖽽  𖽾
U+16F8x   𖾏 
U+16F9x   𖾐    𖾑    𖾒  𖾓 𖾔 𖾕 𖾖 𖾗 𖾘 𖾙 𖾚 𖾛 𖾜 𖾝 𖾞 𖾟

脚注

参考文献

  • Daniels, Peter T.. “The Invention of Writing”. In Peter T. Daniels; William Bright. The World's Writing Systems. Oxford University Press. pp. 579-586. ISBN 0195079930. 

外部リンク

関連項目


「Pollard script」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Pollard script」の関連用語

Pollard scriptのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Pollard scriptのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのポラード文字 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS