JR各社との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 16:37 UTC 版)
東海道新幹線の品川駅をめぐっては、1990年5月の決算報告で「品川のJR東日本の土地を格安で譲り受け、そこに建設する」という構想を明らかにした。その後、「時価数千億円と言われる土地を簿価(1949年の価格)で譲り受ける」という計画をJR東日本ではなく、運輸省(現・国土交通省)に持ち込んだ。しかし、この構想や計画について事前にJR東日本に連絡や相談をしなかったことや、民営化の趣旨に反して国の介入を求めたことにJR東日本が反発。その後、1992年4月に運輸省事務次官の仲介で、JR東日本の住田正二社長(当時)とJR東海の須田寬社長(当時)が会談し、須田がこれまでのいきさつを陳謝。当初の案を撤回することで品川新駅の設置が決定した。 1997年にJR東海が独自に発売した新幹線回数券「東海道新幹線専用TEXきっぷ」は、東京都区内や大阪市内など乗車券の特定都区市内制度を適用させず、さらに購入や座席指定をJR東海の窓口に限定した。このきっぷ以前から長くJRグループ各社の全国の窓口で発売していた新幹線回数券「新幹線エコノミーきっぷ」は、特定都区市内制度を適用していたため、TEXきっぷ利用者が東京都区内や大阪市内から(まで)利用できると勘違いし、乗降駅の特定都区市内駅や乗り越し駅でトラブルが続出した。JR東日本やJR西日本は「在来線にも乗れると勘違いした乗客の苦情処理を自社でしなければならない」とTEXきっぷの見直しを要請。しかし、JR東海は応じず、対立が続いた。結局、2年後の1999年にTEXきっぷと新幹線エコノミーきっぷを統合した「新幹線ビジネスきっぷ」がJRグループで発売(特定都区市内制度適用、全JRで購入や座席指定可能)になるまでこの混乱は続いた。このTEXきっぷは、前項「営業概要」で挙げられた、JR東日本やJR西日本への手数料の支払いを嫌った一例である。 JR東日本が大多数の駅を抱えている首都圏と、JR西日本が大多数の駅を抱えている京阪神圏を結んでいる東海道新幹線で、会員制(年会費が必要)の新幹線予約サービス「エクスプレス予約」やその姉妹サービスの「プラスEX」の利用を促進する背景には、このような事情もある。なお、新幹線の相互乗り入れが実施されているJR西日本とは、2005年12月より「エクスプレス予約」が山陽新幹線区間の新神戸駅まで暫定的に拡大され、翌年の2006年7月22日より東海道・山陽新幹線の全区間に拡大された。一方、JR東日本のサービス「モバイルSuica」は、JR東海の「ビュー・エクスプレス特約」サービスに契約することで、エクスプレス予約の利用が認められている。 JR西日本とは前述の「エクスプレス予約」拡大のほか、700系以降の新幹線車両の共同開発、東海 - 中国・九州地区との新幹線割引券(のぞみ早特往復きっぷ)の発売など、協業の度合いが強まっている。JR西日本とは寝台電車(「サンライズ瀬戸・出雲」用の285系)も共同開発している。 2006年11月から名古屋圏で導入したIC乗車カード「TOICA」(トイカ)が、2008年3月29日からJR東日本の「Suica」、JR西日本の「ICOCA」との間で相互利用が可能となったほか、2021年3月13日からは両者エリアと跨ぐ定期券の発行も開始した。さらに2011年3月5日にはJR九州の「SUGOCA」と、2012年4月21日に名古屋鉄道・名古屋市交通局などの「manaca」と、2013年3月23日には交通系ICカード全国相互利用サービスの実施で北海道旅客鉄道(JR北海道)の「Kitaca」や首都圏私鉄の「PASMO」、関西私鉄の「PiTaPa」、西日本鉄道(西鉄)の「nimoca」、福岡市交通局の「はやかけん」との間でも相互利用が可能となっている。 JRグループで唯一、在来線も対象としたインターネット予約サービスは展開していなかったが、2019年4月1日からJR西日本の「e5489」で予約した、JR東海エリアを含む乗車券類(東海道新幹線と在来線の乗り継ぎ割引を適用した特急券、東海道・山陽新幹線からエクスプレス予約に対応していない九州新幹線に改札内で乗り継ぐ特急券、一部を除く在来線のみの特急券)をJR東海の主要駅で受け取りが可能になった。
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