ISO10002
国際標準化機構(International Organization for Standardization)によって制定された国際規格で、企業、団体などの組織が顧客の満足度を高めるために、顧客の苦情に対して適切、かつ迅速な対応をするために不可欠な要件を指針として定めたもの。
日本では、JISQ10002として日本工業規格となっている。
ISO10002:2004(JISQ10002:2005)は、“Quality management - Customer satisfaction – Guidelines for complaints handling in organizations(品質マネジメント—顧客満足−組織における苦情対応のための指針)”の表題が示すとおり、ISO9001:2000(JISQ9001:2000)及びISO9004:2000(JISQ9004:2000)との整合性を持ち、品質マネジメントシステムの一要素として利用できるようになっている。
また、「苦情対応」のみの規格として、「品質マネジメントシステム」に関係なく単独で使用できるようにもなっている。
企業は、「お客様の声(苦情)」を資産としてその情報を活用し、顧客満足の向上、業務品質の改善につなげ、企業競争力を高めていくことが望ましい。しかし、これまで「苦情」は消費者対応部門だけの取り組みとして処理され、同部門だけの業務内容で終わってしまう企業が多く見られた。
このような状況を改善・改革するには、まずはトップが「苦情は資産である」といいった意識を強く持ち、組織内に周知していくことが必要である。この時にトップの考えを具現化する手段として、ISO10002:2004(JISQ10002:2005)のようなマネジメントシステムが有効となる。
ISO 10002
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/08 15:29 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動ISO 10002は、国際標準化機構 (ISO) により定められた、あらゆる組織における苦情対応についての品質マネジメント規格。初版は2004年に制定、2014年の改正を経て、最新版は2018年に制定された「ISO 10002:2018」である。
規格の正式名称と対応する日本産業規格 (JIS規格) は次のとおり
- ISO 10002 -- Quality management — Customer satisfaction — Guidelines for complaints handling in organizations
- JIS Q 10002 -- 品質マネジメント−顧客満足− 組織における苦情対応のための指針
概要
ISO 10002は、組織の扱うサービスや規模、営利か非営利に関わらず、あらゆる事業者が利用可能な苦情対応についてのガイドラインを示している[1]。苦情が発生した際に、その応対を行う過程「苦情対応プロセス」を通じ、当該プロセス自体や、取り扱う製品およびサービスの改善に資することを目的としている[2]。
また、国際規格であるISO認証規格へ適合することは、グローバル市場での利害関係者へ信頼性を担保するものといえる[3]。
規格
ISO 10002に対応することで次の5項目のメリットを得られ、顧客満足が高まるものとしている[2]。
- 苦情窓口へのアクセスや遣り取りが容易となる
- 苦情を出した側、受け付けた側の双方が満足できる対応能力を得る
- 苦情の傾向を見極め、適切な改善措置を行う組織へと運用を改善する
- 顧客を満足させる苦情対応および当該能力を向上する
- PDCAサイクルによる継続改善への基礎となる
PDCAサイクル
ISO 10002はISO 9000ファミリーの規格であり[4]、その中核に担うISO 9001と同様の品質マネジメントシステムモデルを採用している。すなわち、計画(箇条6)、運用(箇条7)、分析と改善(箇条8)の項目により、いわゆるPDCAサイクルによる苦情対応の改善を図るものとなる[5]。
脚注
- ^ the International Organization for Standardization(ISO). “ISO 10002:2018 Quality management — Customer satisfaction — Guidelines for complaints handling in organizations” (英語). 2021年3月17日閲覧。
- ^ a b 規格本体、箇条 0.1
- ^ 公益社団法人消費者関連専門会議 (ACAP). “Q2. ISO 10002/JIS Q 10002とはどのような規格ですか。”. 2021年3月18日閲覧。
- ^ (PDF) ISO 9000ファミリー規格類開発状況 (Report). 日本規格協会 (JSA). (2020-08-18) 2021年3月18日閲覧。.
- ^ 規格本体、箇条5
外部リンク
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