CDからストリーミングへ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 15:02 UTC 版)
「CD不況」の記事における「CDからストリーミングへ」の解説
2015年以降は、全般的に低迷傾向となったダウンロード販売に代わりSpotifyやApple Musicに代表されるサブスクリプション方式による定額制の音楽配信(ストリーミング配信)が普及、2018年以降ダウンロード販売の売上を上回る状況が続いている。世界的傾向から見ても、それは顕著であり、全米レコード協会によれば、2019年上半期のストリーミングサービス売上高は43億米ドルを計上、同国市場全体の80%を占めるに至った。これは若年層を中心に価値観が変化、音楽が"所有するもの"から"共有するもの"になったと捉えることができる。 動画サイト、特にYouTubeにミュージックビデオが公式にアップロードされることも一般的となり、音楽プラットフォームとしての地位を高めている。YouTubeの音楽部門担当リオ・コーエンによると、2021年6月から過去12ヶ月の間に世界の音楽業界(アーティスト、ライター、レーベル)に対してYouTubeから40億米ドル(約4,400億円)以上の支払いがあった。この内訳には、一般ユーザーによって作られたコンテンツのクリエイターに対する支払いも含まれる。日本レコード協会が2020年12月に行った調査によると、12歳から69歳の音楽聴取手段で最も多かったのはYouTubeであった。 メディア環境の変化に伴い、CDレンタルサービスを終了する店舗も多くなり、店舗数は減少傾向が続いている。TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブは、レンタル事業から別事業への転換を進めており、代官山 蔦屋書店は2020年にCDレンタルサービスを終了、書店特化型の店舗にリニューアルされた。 2010年代以降集計CD年間売上ランキングのTOP20は、ほぼアイドルで占められている。これについては、それぞれの業界から賛否両論が挙がっており、批判の声が後を絶たない。ただし、「CD売上=楽曲人気」や「CD売上=実演家人気」という図式からは脱却しつつあり、オリコンは2017年以降ダウンロード・ストリーミングの各ランキングを開始しているほか、ビルボードジャパンによるBillboard Japan Hot 100など、新たなヒットチャートによるヒット曲の可視化が進められている。 それでもなお、日本は世界で最もCDが売れる国のひとつであり、2020年の音楽の総売上に占めるパッケージ(CD・DVD等)の割合は約70%で、世界で最も高い水準である。日本でCD等の物理メディアが根強く支持される要因として、日本の音楽業界においてストリーミング配信への取り組みが遅れていることのほか「目に見えるもの、形に残るもの」を好む日本人の国民性が指摘されている。またダウンロード形式と違いジャケットや歌詞カードもひとつの魅力となり、現在では、ジャケット写真を目的に購入する人も少なくない。
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