BSDの子孫達の棲み分け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 05:35 UTC 版)
「BSDの子孫」の記事における「BSDの子孫達の棲み分け」の解説
各々のBSDの子孫達はセキュリティやファイルシステム、デバイスドライバのソースコードなどで交流があり、複数のBSD系のコミッターとなっている開発者も存在する。そんな中で、おのおのが目指すところの相違によりある種の棲み分けがなされている。 最近では*BSD Usage StaticsにてBSD系の子孫達の利用者数などの統計を取るというプロジェクトが始まっており、これを見るとBSDの子孫達の利用者の分布がわかる。しかしながら、このプロジェクトはFreeBSDから始まったのでその分の下駄があることを考慮して見るべきである。 FreeBSD 元々はインテルのx86プロセッサでのサポートの充実を念頭に置いて開発されており、x86環境でサポートしているハードウェアの数は多い。また、x64など複数のプロセッサをサポートするという方向性もある。 newbus vs newconfigの争いに対する不公平な決着への反省から、選挙により選ばれたコアチームがプロジェクトの今後の開発の方向性などを決めるというシステムを採用している。 かつてComputer Systems Research Group (CSRG) でBSDの開発に参加していたマーシャル・カーク・マキュージック (Marshall Kirk McKusick) もSoft updatesやbackground fsckなどのUFSまわりの実装で参加している。 NetBSD 多くのコンピュータ・アーキテクチャでBSD系Unixを動かすというのを念頭に置いて開発されているプロジェクトで、30種類以上のアーキテクチャで動作する。元々BSDがPDP-11からVAXに移植される際にアーキテクチャ依存なところ (machine dependent、略して MD) とアーキテクチャ非依存なところ (machine independent、略して MI) に分けられているが、NetBSDはこれをさらに推し進めていったものと言えよう。 また、NetBSDは将来まで見越して拡張性のあるしっかりした設計をすることでも知られている。 シャープ製パーソナルコンピュータ「X68000」シリーズ上でNetBSDが動くようにしたのは日本人であり、日本人の開発者も多い。 OpenBSD NetBSDから分岐してセキュリティに注意して開発が進められているBSD系Unixであり、最新版のリリースにおいてはインストール直後の標準状態にて10年で2つしかリモートから攻撃可能なセキュリティホールが発見されていなかった。 OpenSSHやOpenNTPDなどセキュリティに注力したソフトウェアの開発もよく行っている。 DragonFly BSD DragonFly BSDはFreeBSDとは異なったSMP対応をするためにFreeBSD 4.8Rから分岐したBSD系Unixであり、スケーラブルで理解しやすいカーネルを開発することを目指している。 FreeBSDは共有する資源に対してロックを行うというモデルを採用しているのに対し、DragonFly BSDはカーネルサービス同士がメッセージをやりとりするというモデルをとっている。 このような実装だとロックのために開発者が気を遣わなくともよいため、共有資源を使うような箇所の実装において、FreeBSDでカーネル開発をするのに比べて簡単に開発が行えるという利点がある。なお、FreeBSDでの実装とDragonFly BSDでの実装のどちらの実装が良いかという決着はまだ出ていない。 DragonFly BSDはこのほかにもプロセスのチェックポイントを作成するという機能などFreeBSDにはない様々な興味深い機能が実装されている。 Bitrig OpenBSDはセキュリティ重視であり高い安全性を持つが、一方で新機能の導入に消極的という意見もあった。Bitrigは、過剰とも言われる安全性に対する制限を緩和することで新しい機能を積極的に取り入れていくという開発方針を採るとしている。
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