BSD予想とは? わかりやすく解説

バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想

(BSD予想 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/11 05:42 UTC 版)

数学において、バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想(バーチ・スウィンナートン=ダイアーよそう、英語: Birch and Swinnerton-Dyer conjecture)は、数論の分野における未解決問題であり、略してBSD予想 (BSD conjecture) と呼ばれる。予想はクレイ数学研究所によってリストされた 7 つのミレニアム懸賞問題の 1 つとして選ばれ、最初の正しい証明に対して100万ドルの懸賞金が約束されている[1]。予想は機械計算の助けを借りて1960年代の前半に予想を立てた数学者ブライアン・バーチピーター・スウィンナートン=ダイアーにちなんで名づけられている。2014年現在、予想の特別な場合のみ正しいと証明されている。

予想は代数体 K 上の楕円曲線 E に伴う数論的データを Eハッセ・ヴェイユの L-関数 L(Es) の s = 1 における振る舞いに関係づける。より具体的には、E の点のなすアーベル群 E(K) のランクL(Es) の s = 1 における零点の位数であり、s = 1 における L(Es) のテイラー展開における最初の 0 でない係数は K 上の E に付属しているより精密な数論的データによって与えられる、ということが予想されている (Wiles 2006)。

概要

楕円曲線上の有理点(x 座標も y 座標も有理数になる点)は、加法 '+' を定義することができる。楕円曲線 E 上の2点 P = (x1y1), Q = (x2y2) に対し、直線 PQE との交点と x 軸に関して対称な位置にある点 (x3y3)を P + Q で表される点と定義する。(詳細は楕円曲線の記事を参照)

このような演算により、有理点全体は無限遠点を付加することで、アーベル群をなすが、さらに有限生成アーベル群になることが証明されている。

アーベル群の基本定理から、この有限生成アーベル群は、無限巡回群 Z と素数べきの位数を持つ巡回群 Z / m1Z, ..., Z / mtZ直積

X が最初の 100000 個の素数を変化するときの曲線 y2 = x3 − 5x に対する カテゴリ

BSD予想

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 09:49 UTC 版)

楕円曲線」の記事における「BSD予想」の解説

詳細は「バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想」を参照 BSD予想は、クレイ研究所ミレニアム懸賞問題一つである。予想は、問題楕円曲線により定義される解析的数論的な対象依拠して記述している。 解析側での重要な側面は、複素変数関数である K 上の E のハッセ・ヴェイユのゼータ関数 L E / K {\displaystyle L_{E/K}} である。この関数リーマンゼータ関数ディリクレのL-関数変形である。有理数体上の楕円曲線の場合、L は全ての素数 p について一つ要素を持つオイラー積として定義される整数係数 ai で、 y 2 + a 1 x y + a 3 y = x 3 + a 2 x 2 + a 4 x + a 6 {\displaystyle y^{2}+a_{1}xy+a_{3}y=x^{3}+a_{2}x^{2}+a_{4}x+a_{6}} の最小多項式与えられる Q 上の曲線 E に対する法 p での還元は、有限体 Fp 上の楕円曲線定義する有限個の例外を除く素数 p で還元され曲線特異点持ち、従って楕円曲線ならないそのような場合を p では E は悪い還元英語版)(bad reduction)であるという。) 有限体 Fp 上の楕円曲線ゼータ関数は、ある意味で、有限な体の拡大 Fp の中の E の点の数の情報集め母関数 Fpn である。この母関数は、 Z ( E ( F p ) ) = exp ⁡ ( ∑ card ⁡ [ E ( F p n ) ] T n n ) {\displaystyle Z(E(\mathbf {F} _{p}))=\exp \left(\sum \operatorname {card} \left[E({\mathbf {F} }_{p^{n}})\right]{\frac {T^{n}}{n}}\right)} で与えられる。 冪の右肩乗っている指数の和は、対数の展開に似ていて、実際そのように定義されるゼータ関数有理関数 Z ( E ( F p ) ) = 1 − a p T + p T 2 ( 1 − T ) ( 1 − p T ) {\displaystyle Z(E(\mathbf {F} _{p}))={\frac {1-a_{p}T+pT^{2}}{(1-T)(1-pT)}}} である。 よって、Q 上の E のハッセ・ヴェイユのゼータ関数は、全ての素数 p についてのこれらの情報互いに集めることにより定義される。すなわち、 L ( E ( Q ) , s ) = ∏ p ( 1 − a p ps + ε ( p ) p 12 s ) − 1 {\displaystyle L(E(\mathbf {Q} ),s)=\prod _{p}\left(1-a_{p}p^{-s}+\varepsilon (p)p^{1-2s}\right)^{-1}} と定義される。ここに、E が p で良い還元を持つ場合は、ε(p) = 1 であり、そうでない場合は 0 である(良い還元持たない場合は、ap上記とは異なる定義となる)。 この積は Re(s) > 3/2 でのみ絶対収束する。ハッセ予想はこの L-関数は全複素平面解析接続され、任意の s に対して、L(E, s) を L(E, 2 − s) へ関連付ける関数等式満たすではないかと言う予想であった1999年、この予想は、谷山志村予想の証明結果であることがしめされた。谷山志村予想は、Q 上の全ての楕円曲線モジュラーであるいう予想であり、このことは、楕円曲線L-関数解析接続知られているモジュラー形式L-関数であることを意味する。 このことにより、任意の複素数 s での L(E, s) の値についていうことができる。BSD予想は s = 1 での曲線L-関数振る舞い曲線数論関連付けるさらに詳しくは、s = 1 での L-関数位数は、E のランク等しく楕円曲線関連するいくつかの量を表すこの点での L(E, s) ローラン級数の主要項であることを予想している。 リーマン予想良く似ていて、この予想次の 2つを含む多く結果持っている。 n を奇数の非平方である整数とする。BSD予想が成立することを前提とすると、n が有理数の辺の長さを持つ直角三角形面積となる(合同数である)ことは、 2 x 2 + y 2 + 8 z 2 = n {\displaystyle 2x^{2}+y^{2}+8z^{2}=n} を満たす整数 (x, y, z) の三つ組の数が、 2 x 2 + y 2 + 32 z 2 = n {\displaystyle 2x^{2}+y^{2}+32z^{2}=n} を満たす三つ組の数の 2倍であることと同値である。このステートメントは、タネルの定理により n が合同数であることと、楕円曲線 y 2 = x 3 − n 2 x {\displaystyle y^{2}=x^{3}-n^{2}x} が無限オーダー有理点持っていることに関連付ける(BSD予想を前提とすると、L-関数は 1 で零点を持つ)。ここで言っていることの主眼は、条件簡単に評価されることである。 別な方向としては、ある解析的方法L-関数の族の臨界帯の中心での 0 のオーダー見積もることを可能とする。BSD予想を仮定すると、これらの見積もりは、問題楕円曲線の族のランクについての情報対応する例えば、 は、一般化されたリーマン予想とBSD予想を想定して、 y 2 = x 3 + a x + b {\displaystyle y^{2}=x^{3}+ax+b} で与えられる楕円曲線平均ランクは 2 よりも小さいことが示された。

※この「BSD予想」の解説は、「楕円曲線」の解説の一部です。
「BSD予想」を含む「楕円曲線」の記事については、「楕円曲線」の概要を参照ください。

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