タネルの定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/08/15 17:16 UTC 版)
1983年、タネル(en:Jerrold B. Tunnell)は完全な解決ではないにしても、合同数問題における革新的な定理を発表した。その内容は次の通りである。n は平方因子をもたない自然数とし、整数 An、Bn、Cn、Dn を以下で定義する。 A n = # { x , y , z ∈ Z | n = 2 x 2 + y 2 + 32 z 2 } B n = # { x , y , z ∈ Z | n = 2 x 2 + y 2 + 8 z 2 } C n = # { x , y , z ∈ Z | n = 8 x 2 + 2 y 2 + 64 z 2 } D n = # { x , y , z ∈ Z | n = 8 x 2 + 2 y 2 + 16 z 2 } {\displaystyle {\begin{matrix}A_{n}&=&\#\{x,y,z\in \mathbb {Z} \,|\,n=2x^{2}+y^{2}+32z^{2}\}\\B_{n}&=&\#\{x,y,z\in \mathbb {Z} \,|\,n=2x^{2}+y^{2}+8z^{2}\}\\C_{n}&=&\#\{x,y,z\in \mathbb {Z} \,|\,n=8x^{2}+2y^{2}+64z^{2}\}\\D_{n}&=&\#\{x,y,z\in \mathbb {Z} \,|\,n=8x^{2}+2y^{2}+16z^{2}\}\\\end{matrix}}} このとき、n が奇数の合同数ならば 2An = Bn を、偶数の合同数ならば 2Cn = Dn を満たす。さらに、バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想が正しければ、合同数はそのような数に限る。 与えられた n に対して、上記の条件を満たすか否か判定するのは易しい。したがって、バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想が肯定的に解決されれば、合同数問題も自動的に解けたとみなせる。 さて、n を 8 で割ったあまりが 5 または 7 の場合、An = Bn = 0 であり、n を 8 で割ったあまりが 6 の場合、Cn = Dn = 0 である。したがって、これらの場合は上記の条件を満たすため、以下の事実が期待される。 平方因子をもたない整数 n を 8 で割ったあまりが 5, 6, 7 のいずれかである場合、n は合同数であろう。 これは合同数問題の一部であるが、これさえも未だ証明されていない。なお、この命題の逆は成り立たない。n = 34 がその最初の反例であり、8 で割ったあまりは 2 であるが、これは合同数である。実際、直角三角形 (24,17/6,145/6) の面積が 34 である。
※この「タネルの定理」の解説は、「合同数」の解説の一部です。
「タネルの定理」を含む「合同数」の記事については、「合同数」の概要を参照ください。
- タネルの定理のページへのリンク