AEW&C機器と電子戦能力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 00:48 UTC 版)
「ボーイング737 AEW&C」の記事における「AEW&C機器と電子戦能力」の解説
737 AEW&CにはE-10 MC2Aの開発で培った技術が投入されており、戦術データ・リンクとしては、従来使われてきたTADIL-A/B、TADIL-Cのほか、多機能情報伝達システム(MIDS)によりTADIL-Jにも対応する。またVHF/UHFのHAVE QUICK(英語版)アーキテクチャ対応の航空無線機、衛星通信を含めた大規模通信システムを有するほか、高精度PコードGPS受信機などが搭載される。ただし2013年時点では、共同交戦能力(CEC)には対応していない。高解像度の多機能コンソールは6-8基。アメリカ空軍のE-3 セントリーや航空自衛隊のE-767 AWACSと連接する事が可能であり、米軍と共同作戦を行う国には有利な点である。 機体後部背面上に搭載される細長い板状のMESA(Multi-role Electronically Scanned Array(英語版):多機能電子走査アレイ)レーダーは、1990年代にウェスティングハウス・エレクトリック社(現ノースロップ・グラマン社の電子システムズ部門が)が開発したLバンドのアクティブ・フェイズド・アレイ・レーダーでトップハットレーダーとも呼ばれる。MESAレーダーは7度に前傾して取り付けられており、3.5トンとされる重量は左右11個計22ヶ所の取り付けポイントで支持されており、機体側もそれに合わせて強化されている。アンテナアレイの下のフェアリング内にはレーダ信号処理装置とセントラル・コンピュータが設置されている。アンテナは、フェアリング前後とパイロン両側面に内蔵されており、前後に60度、パイロン側面部は120度の探索が可能である。10秒以下で360度を電子的にスキャンする事が可能でアンテナは、改良型IFF(Identification, Friend or Foe:敵味方識別)装置のアンテナも兼ねている。薄い板状のアンテナは従来の円盤状のロートドーム (rotodome) よりも空気抵抗を少なくしているものの前後方向の覆域が短くなるという欠点を生んでいる。探知距離はルックアップモードで600km以上、ルックダウンモードかつ戦闘機サイズの目標に対しては370km以上である。海上目標に対しては、フリゲートサイズの目標に対して240km以上である。同時追尾目標数は180機で、内24機に迎撃を行うことが可能。ELINTアンテナとしての機能も備え、その場合の探知距離は高度9000mにおいて850km以上である。アンテナのスキャン時間は、3秒から40秒に設定することができレーダのビームは、2°から8°の幅に設定することができる。また、機首下面と胴体最後部下面にも比較的大きなレドームが備わっており、その他にも、胴体上面と下面に多数のフィンアンテナ類が取り付けられている。左右の主翼端にはウィングレットの代わりにESM用センサーが備わっている。 追尾・管制システムはオープンアーキテクチャに基づいており、アップグレードを行う事で機能を拡張する事ができる。
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