2019年12月から2020年8月にかけての噴火に伴う経過
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「西之島」の記事における「2019年12月から2020年8月にかけての噴火に伴う経過」の解説
2020年1月26日時点の西之島(NASAの衛星画像)。自然色の画像に熱赤外線データ(赤色)を重ね合わせている。 2019年(令和元年) 12月5日 - 気象衛星の観測により、西之島で温度の上昇が確認される。噴火の可能性があるとして気象庁が火口周辺警報を発表。警戒すべき範囲を約500メートルから約1.5キロメートルに引き上げた。 12月6日 - 海上保安庁が前年7月以来の噴火を確認し、この時点で溶岩が海岸から約200メートルの地点まで到達していたと発表。 12月7日 - 航空機による調査で溶岩が海に達したことが確認された。 12月15日 - 海上保安庁の上空からの観測により、新たに北側に出現した火口からの溶岩も北西側の海岸に到達していることが確認された。気象庁が火口周辺警報と海上警報を発表し、警戒が必要な範囲を山頂火口から約2.5キロメートルに引き上げた。 2020年(令和2年) 1月17日 - 海上保安庁の観測で、北東側の海岸に溶岩が流出していることが確認された。2月4日の観測でもさらに活動が高まっており、島の北側の拡大が予想された。 3月9日 - 海上保安庁による航空機からの観測で、山頂火口の南西側の中腹からも新たな溶岩流が確認された。衛星画像では2月末頃からその兆候が見られており、それが裏付けられた形である。またガスの放出量が増え、島の北側への拡大も依然として継続。 6月15日 - この間も断続的な噴火が続き、6月12日から噴煙を高く上げる噴火が目立つようになる。特に6月14日と15日には噴煙がこれまでで最大の2,600メートルに達したと推定され、この日の午後0時53分に気象庁が父島周辺に降灰予報を発表した。ただし、このとき該当地域での降灰は観測されなかった。また、同日の海上保安庁の上空からの観測によれば、中高火砕丘の北東側中腹からの溶岩が海に達していた。 6月29日 - 海上保安庁の航空機による観察では、新たに南西方向の海岸に溶岩が流出していることが確認された。これに先立ち26日には上空4,400メートルまで立ち上る噴煙も確認されており、依然として島は拡大を継続していると見られる。この日の観測によりわずかに残っていた旧島の台地部分も火口からの噴出物により埋め立てられていたことが判明した。 7月3日 - 気象庁は気象衛星ひまわり8号での観測の結果、火山活動が活発化した2013年以降で最も高い「噴煙が4700メートルまで噴出している」ことを確認したと発表した。火口周辺警報(入山危険)を継続し、山頂火口から2.5キロメートル圏で飛散する大きな噴石、溶岩流に警戒を呼び掛け、付近を航行する船舶に注意を呼び掛けている。また、だいち2号による干渉合成開口レーダー (InSAR) 画像で、6月19日から7月3日までの14日間で火砕丘の直径が1.5倍に拡大し、南斜面の地形変化・島北部から東部にかけて噴出物による干渉性の低下が見られた。 7月4日 - 前日に更新した最高記録をさらに上回る8,300メートルの噴煙が確認されたことを気象庁が発表。海洋気象観測船凌風丸を派遣して現地の海域で観測した結果、7月11日には山頂火口から大量の火山灰を連続噴出、夜間には溶岩が火口縁上約200メートルまで噴出する活動を確認した。一方で、7月中旬には地表面の高温はほぼ確認されなくなった。 7月30日 - これまでは概ね溶岩流に覆われていたが、島全体が火山灰に覆われていることが朝日新聞によって確認された。 8月2日頃 - 西日本の空が曇りはじめる。西之島の噴煙によるPM2.5の影響とみられ、特に沖縄では8月5日には注意喚起レベルとなった。 8月4日 - 韓国気象庁は西之島の噴煙の一部が朝鮮半島南海岸に達し、PM2.5の数値が上昇していることを発表した。 8月19日 - 海上保安庁の上空からの観測では、これまでのような大量の火山灰を放出する噴火は確認されなかった。 10月5日 - 海上保安庁の上空からの観測で噴火は確認されず、噴煙だけが観測された。10月28日の観測でも噴火は確認されず、気象庁は噴火がほぼ停止しているという見方を示した。 12月18日 - 8月下旬以降噴火が確認されず火山活動が低下しているとして、気象庁は警戒範囲を約2.5kmから約1.5kmに縮小した。ただし警戒は引き続き必要としている。 2021年(令和3年) 1月4日 - 山頂の火口から噴煙が上がり、島の南側から600mまで黄色い変色水が確認された。茶色や黄色の変色水は火山活動が激しい証拠で海中噴火していると考えられる。 1月27日 - 噴煙は上がり続け、島の西側に多く黄色い変色水が観測され、全体的に広がっていた。 3月6日 - 噴煙は激しくなり、島の西側に黄色い変色水が観測された。 3月7日 - 噴煙は急激に弱まるが、依然として島の西側に黄色い変色水が観測された。 4月8日 - 噴煙は完全に収まる。なお島の西側から南側にかけて黄色い変色水が観測された。
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