1997年宗教法とは? わかりやすく解説

1997年宗教法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 00:01 UTC 版)

政教分離原則」の記事における「1997年宗教法」の解説

1991年12月ソ連崩壊したソ連崩壊とともに社会的混乱生じてカルト集団大きな影響力を持つようになったこの頃から正教君主制復活ロシア正教国教化説くロシア正教ナショナリズム台頭していった。ロシア正教会は「事実上ロシア国教会」を自認し外国からの宗教活動宣教師入国制限するように政府圧力をかけていった1993年6月ロシア正教会要望で、「非ロシア的・非伝統的」な宗教の登録を厳しく規制するゴルバチョフ宗教法改正法案が議会承認したが、反対もあり廃案となった1993年12月12日制定されロシア連邦憲法ロシア連邦世俗国家であり、宗教団体国家分離され第14条)、信教の自由保障された(第28条)。 1996年7月ロシア国会議新宗教法改正案を作成し信教の自由の保障原則としていたのに対してロシア正教会は「非ロシア的・非伝統的」な宗教排除求めた1996年調査ではロシア正教肯定する国民88%にのぼった1996年エリツィン大統領就任式には総主教アレクシイ2世最前列並んだ1997年9月26日エリツィン政権で「良心の自由信教の自由)と宗教団体に関するロシア連邦法」 ( 宗教法 )が発効した。この1997年宗教法は、1990年信教の自由に関するロシア・ソヴィエト連邦共和国法の改正作業結果であり、またロシア正教会意向を相当程度受け入れたものであった前文で、ロシア連邦世俗国家であるが、『ロシアの歴史、その精神性および文化形成と発展における正教特別な役割認める』と謳われた。これによって、ロシア正教会法制上も事実上国教会地位確固たるものにした。また、それに続く前文ロシア伝統的な諸宗教である「キリスト教イスラム教仏教ユダヤ教その他の宗教」に触れていることから、正教とこれらの宗教伝統宗教として明文化されとされる良心の自由信教の自由対す権利第3条)、公教育機関における教育世俗的性格宗教教育を受ける権利保障され世俗国家ロシアにおける国家宗教的中立宗教団体政治的中立明文化された(第4条)。一方で国家登録を済ませ15年上の存続条件満たさない宗教団体には法人格与えないとし(第11条)、外国宗教組織ロシア宗教活動できないとされた(第13条)。さらに、民族的宗教的不和煽動や、人間憎悪煽動家族崩壊強制自殺医療拒否勧誘義務教育妨害財産団体への譲渡強制などの活動禁止された。この宗教法の下、宗教組織ヒエラルキー成立し最上位多数派正教とし、イスラム教仏教ユダヤ教ローマ・カトリックプロテスタント諸宗派までが伝統宗教であるとされ、その他の宗教セクトとして古儀式派その他のプロテスタント新宗教運動などが位置づけられた。このように1997年宗教法信教の自由よりも、宗教ヒエラルキー強化しているため、ロシアは「正教国家」に向かっているとも指摘されている。この宗教法欧米ローマ教皇から批判があったが、エリツィンロシア憲法とこの宗教法矛盾しているが、宗教野放しにすると混乱生み出すためにこの法を制定した回顧している。 しかし、この宗教法以後宗教団体へのロシア政府扱いには問題多く発生している。エホバの証人正教徒7千万人、イスラム教徒900万人仏教徒90万人次いで信徒数28万人達すロシア第四宗教団体であるが、エホバの証人に対して検察団体録取訴訟開始したエホバの証人側が勝訴)。

※この「1997年宗教法」の解説は、「政教分離原則」の解説の一部です。
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