麻原彰晃(松本智津夫)ら13人に対する死刑執行
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「オウム真理教事件」の記事における「麻原彰晃(松本智津夫)ら13人に対する死刑執行」の解説
死刑が確定した13人は全員が東京拘置所に収監されている状態が続いていた。通常、3人以上の共犯死刑囚が存在する場合は同日に死刑執行されるのが原則であるが、同日に同じ刑場で3人以上の死刑を執行するのは困難であるため、1つの施設あたり2人以下になるよう全国7か所の刑場のある拘置所・拘置支所へ死刑囚の分散が図られる。オウム事件の13人についても2011年秋の遠藤誠一の死刑確定によりそれまでに逮捕・起訴されていた被告人の裁判が全て終結したため、2012年の春に刑場のある7施設への分散の予定があったが、前述の2011年末以降の逃亡していた平田らの逮捕・起訴により裁判が再開されたため、移送が立ち消えになった旨の報道があった。 平田ら3人の裁判員裁判には、2013年から2015年にかけて、井上嘉浩、中川智正、新実智光、林泰男、広瀬健一の5名が出廷している。この出廷に関しては、検察側は死刑囚の心情の安定の問題、死刑囚に危害が加えられる可能性など、移送に伴う混乱は必至であるとし、「裁判所に呼ぶのはリスクしかない」と反対した。これは、死刑囚13名を全国7箇所の拘置所・拘置支所へ分散しようと計画していたこととは大きな矛盾であった。一方で、拘置所で行なった死刑囚の出廷の予行演習の情報は外部へ漏れ、テレビで放映された。実際の死刑囚の出廷は厳戒態勢のもと行われ、事なきを得た。 2018年1月、高橋克也の無期懲役確定により、オウム事件の刑事裁判は終結。裁判終結に伴い、同年3月14日、麻原を除く死刑囚12人のうち、7人について、死刑執行設備(刑場)を持つほかの5拘置所(宮城刑務所仙台拘置支所・名古屋拘置所・大阪拘置所・広島拘置所・福岡拘置所)への移送が行われた。札幌拘置支所が除外されたのは、東京拘置所からの自動車移送が困難なためとみられる。 法務省は、7人を移送した事実を公表したのみで、死刑囚の氏名・それぞれの具体的な移送先については明らかにしていないが、支援者などの調査によれば、移送先は、以下の通りである。 小池(林)泰男 - 宮城刑務所仙台拘置支所 宮前(岡崎)一明・横山真人 - 名古屋拘置所 井上嘉浩・新実智光 - 大阪拘置所 中川智正 - 広島拘置所 早川紀代秀 - 福岡拘置所 この移送について、産経新聞・中日新聞・TBSテレビなど複数の報道機関は「法務省は死刑執行の時期を慎重に検討しており、その準備の一環とみられる」と報じているが、法務省は、「心身の状態などを考慮して、7人を移送対象に選んだ」と発表した上で、この移送について、「共犯者を分離するためで、執行とは関係ない」という見解を示した。 2018年7月6日、当時の法務大臣上川陽子の死刑執行命令により、松本智津夫・早川紀代秀・井上嘉浩・新実智光・土谷正実・中川智正・遠藤誠一の計7名の死刑が執行された(執行命令は7月3日付)。なお、上述のとおり、同日に同じ刑場で3人以上の死刑を執行するのは困難であると見られていたが、実際には、松本・土谷・遠藤の3名は東京拘置所で処刑された。 20日後の7月26日、残っていた小池(林)泰男・豊田亨・端本悟・広瀬健一・宮前(岡崎)一明・横山真人の計6名の死刑が執行され(執行命令は7月24日付)、オウム真理教事件の死刑確定者(死刑囚)全員の処刑が完了した。宮前、端本、土谷の3名を除く10名が再審請求中であった。 移送先執行命令日執行日麻原彰晃東京拘置所 2018年7月3日 2018年7月6日 早川紀代秀福岡拘置所 井上嘉浩大阪拘置所 新実智光大阪拘置所 土谷正実東京拘置所 中川智正広島拘置所 遠藤誠一東京拘置所 小池(林)泰男宮城刑務所仙台拘置支所 2018年7月24日 2018年7月26日 豊田亨東京拘置所 端本悟東京拘置所 広瀬健一東京拘置所 宮前(岡崎)一明名古屋拘置所 横山真人名古屋拘置所
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