預金の安全確保(詐取防止)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 03:34 UTC 版)
預金通帳やキャッシュカードを盗難や亡失により失った場合、第三者に不正な払戻が行われ詐取されるおそれがある(過誤払い)。通帳は印鑑照合により、またキャッシュカードの場合は暗証番号照合により預金者の真正を確かめるが、印影の電子的複写による偽造や暗証の盗用等、さらにはキャッシュカードの磁気エンコードの盗取による偽造(スキミング)による被害が発生し、さまざまな対策が講じられるようになっている。 不正な払戻に対する銀行側の賠償責任については、2005年2月28日に東京地方裁判所で二つの訴えに対して全く逆の判決が下った。1998年に不正引き出しに遭った被害者に対しては、「印影が一致していた」という理由で銀行側に賠償責任がないとしたが、2002年に不正引き出しに遭った被害者に対しては、「当時は不正払戻事件が多発しており、伝票の氏名に誤字があり、払戻額も高額だった」という理由で銀行側の賠償責任を認めた。2000年までに発生した事件については銀行に手落ちがない限り免責を認めたが、以後は犯罪技術の向上に鑑み、不審な事例には印鑑照合以外に本人確認の手段を講じる責任を加重する判断が出ている。 現在、不正な払戻から預金を防衛するために、次のような手段が肝要である。 通帳と届出の印章を同一の場所に保管するのは避ける。 現在通帳に副印鑑の表示がある場合には、取り除く(ゆうちょ銀行などのように、副印鑑票を外すのに窓口での手続きが必要な場合には利用者自身で取り除いてはいけない)。 特に、高額の預金口座や担保預金の預入がある総合口座では、キャッシュカードやインターネット取引による一日当たり払戻限度額を低めに設定する。欧州における限度額に鑑みれば、10万円程度となる(金融庁海外調査報告 (PDF) ※より)。 キャッシュカードには誕生日、住所番地、電話番号等、第三者に推測されやすい暗証番号を用いない。 暗証番号を他者に告げて払戻を依頼することは避ける。 暗証番号やパスワードをカード類に書き留めることは絶対に避ける。またメモ書きして保管することもできるだけ避ける。 自動機による払戻を必要としない預金者は、キャッシュカードの申込みを行わない。 生体認証サービスを利用する。 おれおれ詐欺(振り込め詐欺)や架空請求詐欺の多発を認識し、電話指示等による不用意な振込は絶対に行わない。警察官が家族に対し示談(和解契約)の斡旋(あっせん)や和解金の支払い要請を行うことはない(警察庁ウェブサイト~いわゆる「オレオレ詐欺(恐喝)」事件にご注意!)。
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