音楽著作権問題の活動
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旧態依然の音楽業界に対してインターネット時代の音楽や著作権のあり方について具体的な提言を行う日本音楽著作権協会評議員として十数年間活動した。 テレビ朝日ミュージックの著作権管理の問題点をホームページ上で指摘したところ、記事の削除と金1000万円の損害賠償の支払いを求めて提訴されたことがある。しかしこれは、自作品の出版管理にかかる至極当然な主張であったため、裁判長の勧告によって和解となり、テレビ朝日ミュージックに関する記述は削除された。 なお、ホームページ上で指摘した問題点の詳細については、和解条項により公表できないことになっている。 穂口は、40数年在籍していた日本音楽著作権協会を2012年3月31日付けで退会した。穂口が作詞・作曲した「春一番」と「夏が来た!」は、日本音楽著作権協会の管理下から離れ、穂口自身の管理楽曲となった。穂口は、代表取締役を務める法人のウェブサイトにて「春一番」と「夏が来た!」について引き続き同一条件にての使用許諾を表明したが、一部の音楽配信事業者は「春一番」と「夏が来た!」の音楽配信を停止した。日本放送協会は穂口との年間契約に合意したが、通信カラオケ事業者の大手である第一興商とエクシングは、「春一番」と「夏が来た!」のカラオケ配信を停止した。 穂口が「春一番」と「夏が来た!」の著作権を日本音楽著作権協会の信託から引き上げ、自己管理下に置いたことには理由があった。穂口は、放送局および広告代理店系列の音楽出版社が著作権および著作隣接権(原盤権)を掌握しているという現状の構図に対して、疑義を呈する意思があったからであると述べた。 音楽業界は、この半世紀に至るまで、放送局と一蓮托生の関係にあった。しかし、CD不況のみならず、音楽配信の売り上げもまた低迷するなか、音楽業界にとって命綱ともいうべき存在であった放送局の大衆への影響力が低下したことが、音楽業界をさらに窮地へと追いやった。音楽業界にとって絶頂期であった1998年のレコード生産金額は4924億円。しかし2010年には、それが1874億円にまで減少した。減少率は62%にまで達してしまった。 事態が事ここに至ってもなお、音楽業界は、自らを省みる行動には出なかった。それどころか、キャンディーズの一員であった田中好子の没後、彼女を偲ぶコメントが多く寄せられていたYouTubeの動画を、ソニー・ミュージックエンタテインメントの代理人である日本レコード協会は、ソニー・ミュージックエンタテインメントが保有する著作隣接権(原盤権)を根拠に削除した。穂口はこれらの行為を、YouTubeが提供する「収益化」という機能を利用すれば「著作隣接権者として収益を得ながら、ファンの皆様のために動画を掲載し続ける選択肢もあった」にもかかわらず、「ファンの皆様のコメントもろとも削除するという血も涙もない行動を、たかだか自分達の金銭的利益のために行った」として、「レコード協会の行動は著作権法の立法の精神を踏みにじる暴挙」と批判した。 なお、「春一番」のカラオケ配信は、「当初の目的を達成した」として穂口が2015年初めに著作権を米BMI経由で日本音楽著作権協会の管理に戻したことにより再開している。
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