音楽理論への貢献とは? わかりやすく解説

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音楽理論への貢献

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/10 10:20 UTC 版)

ペトルス・デ・クルーチェ」の記事における「音楽理論への貢献」の解説

計量記譜法発作的に発展をとげたのは13世紀通じてであった。古いリガトゥーラないしはリズム・モードが、後述のようにさまざまな理由から、ポリフォニーのかつてなく微妙な表記堪えうるものではなくなったからである。少なからぬ問題は、総譜のかたちにして記譜するより、各声部ごとに記譜して別々に製本するほうが安上がりだったので、そうするための方法を見つけなければならなかったということである。この方法は、1音符ごとの時価表示することによって、信頼できる譜表発達巻き込むことになったそのような解決始まりフランコ記譜法であった。その通称は、音楽理論家ケルンフランコにちなんでいる。理論書計量音楽技法 Ars cantus mensurabilis 』において、この体系概略をまとめたのがフランコだったからである。 ロンガ(longa)、ブレヴィス(brevis)、セミブレヴィス(semibrevis)が、音価セットとして理解され互いに3つのグループ関連けられる二重ロンガduplex longa)は常にロンガ2個分に相当するが、ロンガ1個分は、「完全ロンガ longa perfecta」(ブレヴィス3個分)とも、あるいは「不完全ロンガ longa imperfecta」(この場合はブレヴィス2個分)ともなり得る。完全ロンガと不完全ロンガ判別は、前後関係しだいである。ブレヴィスはテンプス("tempus")と呼ばれる。「テンプス」とは、近代記譜法の「拍」または「単位拍」に該当する概念である。すなわち、完全テンプス3拍子(または3連符)、不完全テンプス2拍子(または2連符ということになる。フランコ記譜法によれば、ブレヴィス1個は、理論的にセミブレヴィス3個分(セミブレヴィス・ミノル)か2個分(セミブレヴィス・マイヨル)のどちらかということになる。ただしセミブレヴィス・マイヨルの場合は、セミブレヴィス・ミノルの倍の長さ(つまりブレヴィスの2/3長さ)でなければならないフランコ記譜法では、音価2等分するという規定や不完全テンプスという発想がまだなく、フィリップ・ド・ヴィトリが著書『(計量音楽の)新技法 Ars nova 』(1322年)の中でプロラツィオの概念成文化するのを俟たざるを得なかった。(ちなみにヴィトリの書名が「アルス・ノヴァ」の由来である。) 1280年代になるまでに、トリプルム(モテートゥスなど多声音楽最上声部)は、従来より速く、かつ独立して動くようになるにつれ、定旋律置かれたテーノル声部テノール語源)の動きはより緩慢になり、補助的な声部となった作曲家は、話すようなリズムをトリプルムに押しとどめたいと望んだので、テンプスをセミブレヴィス3つ分より細く分割する方法探り出したこのようなリズム分割表記する方法一つは、総譜にして、それぞれの声部並行書くことだった。トリプルム以外の2声部検討すれば、テンプス分かるからである。このやり方は、貴重な物資浪費つながったであろうが、それでも従来とは違って総譜がもはや選択肢にとどまるということは無くなる。 ブレヴィスの再分割は、近代記譜法で言うなら、連符(4連符、5連符、7連符、9連符・・・・・・)に相当しよう。3分割以外の方法強行したモテートゥスは、この荒業を最も駆使した先駆者にちなんで、「ペトルス風」の名で通った。その典型として最もよく知られる作品は、ペトルス・デ・クルーチェ作のポリテクストのモテートゥス「ある人達は慣習的に歌を作るが/長いこと私は歌わなかったが/示し Aucun ont trouvé chant par usage / Lonc tans me sui tenu de chanter / Annuntiantes」である。ペトルス・デ・クルーチェは、しばしば最高7分割まで試みたまた、セミブレヴィス同士まとまりを「分割点」(プンクトゥス・ディヴィジオーニス、単にプンクトゥスとも)で取り囲みこうすることでブレヴィスの長さ相当するグループ楽譜読み手にも伝わるようにした。 ところで、プンクトゥス・ディヴィジオーニスは、フランコの「ディヴィジオ・モディ(divisio modi)」から発達した、本来はブレヴィスとセミブレヴィスの集合グループ分けするための記号であり、したがって上記のような用法は、規定から外れていたことになる。しかも15世紀から16世紀にかけて、新たに付点記号開発されると、付点分割点の混乱きたした実際には、前後関係テンプス、プロラツィオから見分けが付く)。ということは実のところブレヴィス細分化のための分割点は、いたずらな混乱招いただけの、無用の長物だったということになる。そもそもセミブレヴィスの走句が2つリガトゥーラ挟まれていれば明らかにグループ分けだからである。 それでもペトルス・デ・クルーチェ考案した、ブレヴィス分割自由な用法は、音楽様式にとってはかり知れない意義があった。中世音楽テクスチュアでは、音符の数が多くなればなるほど、トリプルムが3声部のうちで最も目立つ声部となり、残る2声部補助的な役割に甘んぜざるを得なくなる。また、音符多くなってテンプス再分割込み入ってくるほど、概してテンポ遅くなる。つまり、セミブレヴィスが、従来慣習よりも遅く演奏され真の単位拍となり、中・低声部リズム活力失って、単にブレヴィスやロンガ連続体にすぎなくなるのである

※この「音楽理論への貢献」の解説は、「ペトルス・デ・クルーチェ」の解説の一部です。
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