電源供給法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 08:17 UTC 版)
エレクトレット方式の場合は、高い直流電圧の供給が不要となるが、いずれにせよ増幅器を内蔵しているため、コンデンサマイクは一般に直流電源を必要とする。電源供給は、本体に乾電池を入れるものや、本体には電源回路を持たずに外部の専用電源を利用するもの、ミキサーやマイクプリアンプ等からマイクケーブルを通して供給する方式(Phantom(ファンタム)電源方式)がある。ファンタム電源は多くの場合48V、消費電流は最高14mAで、規定の抵抗値を持ったブリーダ抵抗を介して平衡接続端子のHOT及びCOLDと、GNDの間に印加される。 直流電圧成分はマイクプリアンプの入力部分にあるトランスでカットされる。応答と周波数特性を重視し1980年代から登場して来るトランスを内蔵しない(Transformerless)プリアンプでは、大容量コンデンサーで直流成分を除去する。 回路の破損原因になるためダイナミックマイクにファンタム電源を掛ける事は厳禁である。しかし21世紀に入るとファンタム電源で駆動する小型の増幅器を搭載して低出力やインピーダンスの問題を解消した「アクティヴ・リボンマイク」、ファンタム電源を掛けた信号経路に挿入し20dB以上の増幅を行う「インライン・プリアンプ」がそれぞれ複数機種登場し、コンデンサーマイク以外の方式でもファンタム電源を要求する場合が出て来ている。 ダイナミックマイク側の回路でファンタム電源が印加されても問題無い場合も有る。例えばHOTとCOLDが同位になるように電圧を印加する、コンデンサを直列に入れるなどしてムービングコイルに電圧が印加されないようにしている。 増幅器に真空管を用いたモデルは概ね外部電源に拠っており、付属の専用電源ユニットによって内蔵増幅器や真空管のヒーター電力、成極電圧に信号と別回路で高い電圧が供給される。DPA(旧B&K)の製品でも通常3極のキャノン端子に4極を用いて130V、7極を用いて190Vの成極電圧を、音声と別回路で供給する製品があった。 民生用途、例えばパソコンに接続するマイクや民生向けポータブル録音機器、家庭用ビデオカメラ、アマチュア無線用などでは「プラグインパワー」や“接続ケーブル供給”方式が用いられている。数Vから十数Vであり、接続も不平衡である。 商用電源からの整流、バッテリーからの昇圧のいずれによっても、ファンタム電源生成の回路自体が微弱な音声信号を汚すノイズ源になり易く、インピーダンス整合やノイズ対策が欠かせない。
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