鑑定審査について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 14:04 UTC 版)
「日本美術刀剣保存協会」の記事における「鑑定審査について」の解説
日本刀の鑑定審査に関連し数々の問題点が指摘された。2007年には監督官庁の文化庁が行政指導しても財団が問題点を改善していなかったことが報道された。その主な要旨は協会関係者や一部の刀剣店などが所有する刀剣への審査で不当な便宜が図られているのではないかというものである。 2001年、文化庁は財団役職員の刀剣類審査への応募を禁じ(いわゆる「窓口規制」)、財団もそれを受け入れる旨を文書で表明した。 2006年8月14日、会長の橋本龍太郎の死去にともない佐々淳行が会長に選ばれた。その後、佐々は事務局長に解職を告げ、会計課長、庶務課長に1か月の自宅待機の後解職とする旨を告げた。 2006年10月、衆議院文部科学委員会にて、実際には窓口規制が行われていないことを衆議院議員保坂展人(社会民主党)が指摘し、文部科学大臣伊吹文明(自由民主党)が「インサイダーなどの疑い」を払拭するため指導の徹底を図ると答弁した。 2007年3月1日、衆議院予算委員会第四分科会にて、財団側が文化庁の窓口規制を再度拒否していることが衆議院議員佐々木憲昭(日本共産党)の質問主意書により発覚した。佐々木が「(重要刀剣指定を発表する機関紙に)現職理事の名前が堂々と記載されている。大臣、どうお感じですか?」と問いかけ、文部科学大臣の伊吹も「私も先生と同じ気持ちだ」と同調し、内部統治への疑義や、改善命令を視野に入れると答弁した。さらに、佐々木は、理事が他人名義で審査申請している、特定業者にのみ申請期間が過ぎても申請を許可している、2業者からの申請だけで全申請の57%を占めている、といった点から「癒着」の可能性を指摘、現地での実態把握が急務と主張した。文化庁は、現職理事の窓口規制違反だけで既に27件発生しており、財団の客観性、透明性が求められており、さらに努力したいと回答した。 2007年5月9日から5月11日にかけて、文化庁は日本美術刀剣保存協会に対し刀剣審査事業に関する臨時検査を行った。この結果、平成16年4月の特別重要刀剣審査の対象378点について、非会員もしくは非会員と思われる申請が約一割の37件、役員、職員、親族等からの申請が9件あったことが確認され、文化庁次長高塩至は、「こうした検査結果を踏まえまして、今後、改善を要する事項につきまして適切に協会を指導していく考えでございます」と述べた。これに対し保坂展人は「事実に即して文化庁の指導を強めていただきたい」と述べて、等級審査問題に関する国会における論戦は終結した。 2008年5月20日、事務局長らの地位確認訴訟の判決が東京地裁で出され、原告の全面勝訴となる。(東京地裁 平成20.5.20 平成18(ワ)19133 地位確認等請求事件) 2009年3月18日、東京地裁は、会長の佐々淳行の発言などによる名誉棄損を認め、元事務局長ら3人に対しての計125万円の損害賠償を命じる判決を下した。2006年、協会が文化庁から等級審査の改善報告を求められた後、佐々は、職員への訓示や協会関係者への配布文書で、元事務局長らが勝手に協会幹部名義の報告書を文化庁に提出したり、自分らの給与を不正に増額したりしたと主張していた。 判決は、「文化庁に提出した文書は協会幹部も了解しており、給与の不正増額も認められない」とした。 2009年5月19日、事務局長らの地位確認訴訟の控訴審判決が東京高裁で出され、再び、原告が勝訴した。(東京高裁 平成21.5.19 平成20(ネ)3144 地位確認等請求控訴事件) 2010年6月24日、佐々淳行が会長を辞任し、村山弘義が会長となる。
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