鑑定委嘱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 05:33 UTC 版)
「別府3億円保険金殺人事件」の記事における「鑑定委嘱」の解説
1982年(昭和57年)2月8日、福岡高裁は、成蹊大学教授の江守一郎に鑑定を依頼した。鑑定事項は、「事故車両のフロントガラスが割れた原因及び時期」と、妻と事故車両の傷等から「転落時の妻の乗車位置の確定が可能か、可能であるとすればその乗車位置及び根拠」であった。 3月5日、荒木は「鑑定人の良心に訴え、公正な鑑定をしてもらう」ためとして江守教授に手紙を出した。内容は、フロントガラスは海面激突と同時に割れたのであるから海面に激突した衝撃か車両に生じた歪みが原因と思われる、妻や車の傷は事故で生じたのか事故以前からあったのか不明でありこれらから妻の乗車位置の特定は不可能などと自らの主張を示したうえで、「もし先生が、国家権力の歓心を買わんが為に迎合して、あいまいなインチキ鑑定などなさったばあいは、マスコミ注視の法廷において追及せざるを得なくなります」として、「どうか先生には、真に科学的な公正な鑑定をしていただきたい」と求めるものであった。 これに対して福岡高裁第三刑事部は、3月8日付で刑事訴訟法八一条に掲げる理由(被告人が逃亡し、又は、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由)があるとして、荒木からの江守教授に対する文書の発信を禁止する決定を下した。荒木は「公正な鑑定を要請し、不正な鑑定をおこなわないよう必要な措置を講ずるのは、被告人の当然の権利」だと異議を申し立てたが、福岡高裁第一刑事部も、荒木の手紙は「被告人自身の見解を、科学的かつ公正なものとして、右鑑定人に、これに副う鑑定をするよう要請」し「意に副わない場合には」「その非良心的不正鑑定を厳しく糾明されるであろうことの予告をふくむ」ものであり「心理的威圧を加えるものであって、罪証の隠滅工作に相当する」として異議申し立てを却下した。
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