遠藤謙とは? わかりやすく解説

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遠藤謙

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/15 23:30 UTC 版)

遠藤 謙(えんどう けん、1978年昭和53年)7月10日[1]- )は、ロボット義足を専門とする日本の研究者エンジニアマサチューセッツ工科大学Ph.D[4]ソニーコンピュータサイエンス研究所アソシエイトリサーチャー、株式会社Xiborg[注 1]代表取締役として、ロボット義足途上国用義足[注 6]、競技用義足(パラリンピック用)の研究開発に取り組む[21]。子供にスポーツ義足を貸し出す「ギソクの図書館」[注 3]を設立し[7][8]静岡県でも「Blade for All」を立ち上げた[15]乙武洋匡とは「OTOTAKE PROJECT」[注 4]も推進している[12][13]。D-leg[注 2]やSee-Dの代表[22]北海道科学大学[23][24]熊本大学[25][26]客員教授を歴任。2014年には世界経済フォーラムの「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出されている[18][19]


注釈

  1. ^ a b Xiborgはサイボーグと読む[3]
  2. ^ a b c D-legは遠藤がマサチューセッツ工科大学で取り組んでいたD-labから派生したNPOで、発展途上国への義肢、装具の普及を目的とする。現在は東京工業大学の学生らが中心になって、主にインドで支援を行っている[5][6]
  3. ^ a b c 報道では「義足の図書館」であるが[7][8]、公式サイトの表記「ギソクの図書館」[9]に従った。
  4. ^ a b c 「乙武義足プロジェクト」[10]という呼び方もされるが、遠藤の所属するソニーコンピュータサイエンス研究所(SCL)の公式サイトなど[11][12][13]にならった。遠藤自身は「Ototake Project」と記すこともある[14]
  5. ^ a b Xiborg νはサイボーグ・ニューと読む[16]。「ν」はギリシア文字ニュー(小文字)。
  6. ^ 先進国においても入浴時に使用するなど、安価な義足を使い捨て感覚で使うことも検討されている[20]
  7. ^ フラワーガール「Posy」は日本SGIの受け付けロボットとして企画され[38]、同社のCIキャラクターとなった[39]松井龍哉が立ち上げたフラワー・ロボティックス社の第一弾ロボットで、2台で連携した動きをしたり、ダンサーやバレリーナと共演したりした[38][40]浅田稔は、自由度は多くないが外観デザインとトータルデザインで鑑賞に堪えるエンターテイメント性を実現したと評価している[40]
  8. ^ IAP(Independent Activity Period)と呼ばれ、学生が学科に関係なく参加できる[48]
  9. ^ a b 原題は『Out of Poverty: What Works When Traditional Approaches Fail』。序文を遠藤、解説を槌屋詩野が担当した[53]
  10. ^ 「DX経営(ロボティクス ビジネス概論)」の講義を担当[26]
  11. ^ テーマ「100m走で10秒を切ることができる靴の開発」[83]
  12. ^ 原文は「100 People Transforming Business in Asia」。ヘルスケア分野で選出された[84][85]
  13. ^ TBS「夢の扉+」 (2012年11月4日). TBS「夢の扉+」11月11日 #79「天才エンジニアが義足の概念をくつがえす」 - YouTube
  14. ^ TVTOKYO (2017年3月23日). 義足エンジニア・遠藤謙【みらいのつくりかた】 - YouTube

出典

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  6. ^ 中村竜也 (2017年9月26日).“エンジニアとして世界と戦う、終わりなき挑戦。Xiborg代表 遠藤謙×HERO X編集長 杉原行里【サイバスロン】”. HERO X. 2018年10月5日閲覧。
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