運慶作と強く推定される作品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 14:10 UTC 版)
作風、納入品、伝来などから運慶ないし運慶工房作であることが強く推定される作品として次のものがある。 奈良・興福寺 木造仏頭(重要文化財) - 文治2年(1186年)。興福寺西金堂(廃絶)旧本尊・釈迦如来像の頭部である。仏頭のほか、仏手と、光背にもと付属していた飛天・化仏が残っている。『類聚世要抄』に西金堂釈迦像を運慶が造立したことが記されるが、これと現存の仏頭等との関連についてはなお慎重な見方もある。 和歌山・金剛峯寺 八大童子立像(国宝) - 建久8年(1197年)。『高野春秋』。ただし、8体のうち2体は南北朝時代の補作である。 京都・六波羅蜜寺 地蔵菩薩坐像(重要文化財) - 運慶が京都に建立した地蔵十輪院の旧像とする説がある。 栃木・光得寺 大日如来坐像(重要文化財) - 建久10年(1199年)以前。東京国立博物館寄託。栃木県足利市にあった樺崎八幡宮旧蔵で、同八幡宮の前身である樺崎寺に伝わったものと推定されている。山本勉は、樺崎寺の縁起にみえる大日如来像が本像にあたり、作者を運慶と推定した。X線透過撮影により、他の運慶作品と共通する五輪塔、珠、人間の歯などの納入品の存在が確認されたことからも、運慶作である可能性が高くなっている。樺崎寺を建立した足利義兼の没年建久10年(1199年)が制作の上限とされるが、異説もある。 愛知・滝山寺 聖観音菩薩・梵天・帝釈天立像(重要文化財) - 正治3年(1201年)(『滝山寺縁起』) 東京・宗教法人真如苑蔵(半蔵門ミュージアム保管) 大日如来坐像(重要文化財) - 建久4年(1193年)。 - もと個人蔵で、2008年3月にクリスティーズ社のオークションに出品され、真如苑が三越に依頼して1,280万ドル(約12億5千万円)で入手した。その後東京国立博物館への寄託(7年間)を経て、東京都千代田区の半蔵門ミュージアムで公開。『鑁阿寺樺崎縁起并仏事次第』に見える、樺崎寺安置の厨子に建久4年(1193年)銘のあった大日如来像に当たるもので、その作風やX線写真によって知られる像内納入品の状況から運慶作品と推定する説がある。
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