運動への評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 04:34 UTC 版)
初期のベルマーク運動に対して、「学校設備の貧困は教育行政の貧困が根本で、その充実は本来行政の仕事だ。それをPTAや子どもたちに肩代わりさせるのは筋違いではないか」といった声が寄せられたが、「なんでもかんでも政府がやってくれるという考えは、いわば政府が主人公という発想。自分たちでできることはやろう」との意見もあり、運動の精神は徐々に浸透した。 愛知・岡崎の市民団体によれば、切手代より少ないベルマークしか送れないながらも「これが私のいきがいになりそう」という者、「生活保護を受けている身なので、一度にたくさんは集められないが…」としながら30点分を送った72歳の老人、「ベルマーク集めは、生涯ボランティアだと思う」として息長く続けていくつもりだという者などが運動をささえていた。 問題校として有名だった名古屋市立港南中学校は、ベルマーク運動を行うことによって「荒れる中学」という汚名を返上し、非行はほとんどかげをひそめた。 宮城・石巻市立田代小学校の教員から「子供たちの喜ぶ顔を早くみたいのが教職員一同の切なる願い」という手紙を受け取ったベルマーク運動の運営団体は、全国から贈られたマークの一部を田代小へ送った。教員は子どもと共に「子供たちにとっては、手紙を書いた方々が、今までに知り合った一番遠くの人でした。マーク集めは亀の歩みより遅いけれど、運動から子供たちが感じとるこういう気持ちを大切にしたい」と喜びをかみしめた。 元・小学校長は、「体を動かさず、お金だけを出してすべてを解決するのでは、ひとに奉仕する心や自分で努力することの大切さはわからない。ベルマーク運動は本当に小さな努力だけど、皆で力を合わせれば大きなものになることを教えてくれるところが素晴らしい」と話している。 朝日新聞社の社長は「この世界に類のない運動を朝日新聞社としても二十一世紀へ向けて大きく育てていきたい」と述べた。 愛知県春日井市・主婦は、「このごろは「ベルマークちょうだい」と言ってくる子がいなくなりました」としながらも、「ベルマーク集めは、老いの暮らしの張りとなっているのです」と言う。 ベルマークの収集・整理は、高齢者の「居場所」になっている。 (財)ベルマーク教育助成財団は、中央防災会議において、ベルマークの収集・整理は、「作業が案外楽しい」、「手間暇のかかる作業を通じて、思いやりの心とか心の効用をつくり出すことができる」、「効率一遍がいいとは思っていない」と述べた。
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